【映像を構成しよう①】映像変化の付け方
さて、ここまで【フレーミング】から始まり、コンテ制作の為の様々な基礎知識を学んできました。今回の【画面の組み立て方】が終われば次はいよいよ具体的な書き方の説明に入ります。
シーンの組み立て方には大原則があります。
それは各ショットに変化を付ける事です。
実は人間は3秒以上、何の変化のおきない映像を見ると飽きてしまいます。
これが、以前少し言及した3秒ルールです。なので、シネマトグラファーは常に画面の中に変化が現れるように工夫します。
例えば誰も居ないリビングルームのロングショットを撮影する場合。
①カメラをゆっくりパンする
②窓を開けて、風を通して、カーテンをたなびかせる
③置いてあるテレビに何か映像を映しだす
など、ただ単にリビングを撮影するだけでも画面が静止画に見えない様な工夫をします。
変化の付け方は大きく分けて2つの方法があります
①フレーミング方法
②画面上の動き
①から見ていきましょう。
この方法は同じフレーミングを続けないと言う事です。
【ミディアムショット+ミディアムショット+ミディアムショット】
と言う様な同じフレーミングを続けるのではなく、その並びに変化をつけます。
以下は戦艦ポチョムキンのあるシーンです。
ここでは1つのシーンで多様なショットが使われています。
【ロングショット+クローズアップ+ミディアムショット+ニーショット】
この様に、同じフレーミングをしないことで、画面に変化が現れ観客の注意を画面にとどめておく事が出来ると同時に、同じようなショットが続くことによって観客を混乱させないようにしています。
②画面上の動き
まずはこちらをご覧下さい。
おなじみ『シャイニング』のオープニングシーンです。
このシーンは極端に言うと、ただ単に風景映像とその風景の中を車が走っているだけの映像です。しかし、私たちは映画の導入シーンとして、これを飽きずに見る事が出来ます。
その理由は画面の動きにあります。
まず1ショット目では画面は中央に向かい、この様に動いています。
次のショットで、道とその上を走る車が映し出されます。ここで言う画面の動きは車の動きとイコールとなります。ここではほぼ垂直に下から上に画面の動きがあります。
次も、車の動きに沿って、右から左へと動きがあります。
このショットには続きがあり、最終的に画像下の図の様な動きでショットが終わります。
ですので、次のショットも同じように右から左の動きで始まっても変化を感じる事が出来ます。さらに、重要なのが景色が前のショットと全く変わっている事です。ショットのつながりで大切なのは前のショットの終わり方がどのようになっているかです。
さらに、このショットは続きます。
走っている車にカメラが追いつき、追い越して、また風景へと被写体を変えます。
そして、カメラによる目線誘導の末、タイトルが現れます。
この様に、画面の動きは2つの要素 ①カメラの動きと、②被写体の動き によって決定づけられます。
次回は実際にシーンを分析ながら見ていきましょう。