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メンタルパートナー

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私の使命である「メンタルパートナー」の基本概念に関する投稿を集約しています。
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2022年1月の記事一覧

「カカ・ムラド」

「カカ・ムラド」

私が中村哲さんを知ったのはABCラジオ「おはようパーソナリティ道上洋三です」のインタビュー対談でした。アフガニスタンの現状をとつとつ話される中村哲さん。現地に根ざした活動を二十年以上も続け、そして凶弾に倒れた。

アフガンやイラク、中東に関してほとんど知識がなかったというか、興味がなかった私が、中村哲という人の死で、少しは学ぼうと手にしたのが、対談音声を文字起こしした新刊『わたしは「セロ弾きのゴー

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「思いを馳せるチカラ」

五十代の私が若かった頃と今の若者世代との恋愛事情の違いについて考えてみた。

パソコンも携帯電話もない時代、仲良くなるキッカケはとにかく話しかけるしかない。その機会を増やそうと用事もないのに彼女のいそうな場所をウロウロしたり、わざと近くでとっておきのおもしろ話をしたり、気を惹くために頭を使った。

仲良くなって、電話ができるようになっても気軽にはいかない。だって固定電話だもの。「今晩は。夜分恐れ入
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「一人は賑やか」

「一人は賑やか」

先日から茨木のり子さんに関する投稿をしていたら、25日の毎日新聞「余録」にも彼女に関する記事が掲載されていた。
キーワードは「孤独」。

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コロナ禍3年目を迎えた今、社会で、学校で、若者らは強いられた孤立に苦しむことになった。「無気力になる」「自分に価値を感じない」「新たな人間関係を作るのが困難」は日本赤十字社の調査が示す学生らの不安と焦(しょう)燥(そう)だ
2022.01.

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「本当の怒りとは(怒りの鮮度)」

「本当の怒りとは(怒りの鮮度)」

「怒り」はなるべく出さないようにした方がよいと思っている人が多いように思うのですが、あなたはいかがですか?

前回も書きましたが、「怒り」は大脳辺縁系(扁桃体)で発生する心の動きです。しかし、人として当たり前に発生する感情をどのように相手に伝えるかで、昇華されてスッキリとするか、抑圧されて悶々としてしまうかに分かれます。

例えば、「怒り」を爆発させ、相手を攻撃してしまう人で、ある程度の共感性を持

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「本当の怒りとは(怒りの対象)」

「本当の怒りとは(怒りの対象)」

「怒り」とは何か?「怒り」とはただの感情です。動物に古くからある脳で発生する自然な心の動き。そのものに良いとか悪いとか、ポジティブとかネガティブはありません。ただし、その向けられる対象によって性質が変わるものだとは思っています。

先日、日本民間放送連盟のグランプリを獲得したドキュメンタリー番組「チョコレートな人々」(東海テレビ制作)を観ていて、それを感じました。女性や障害者がスタッフの9割を占め

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「幸福寿命」

「幸福寿命」

ある対談記事を見ていて、慶應義塾大学医学部の伊藤裕教授が「幸福寿命」という提言をしていました。

「健康寿命の大切さが繰り返しいわれてきましたが、これは人生の目的ではありません。健康は、あくまでも人生を楽しく過ごすための手段です。(中略)人生の本当の目的は、幸せになることではないでしょうか。」(対談記事より引用)

また、伊藤さんは「幸せ」に関してこう述べています。「僕は、幸せというのは生きたいと

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「木を見る人と森を見る人」

「木を見る人と森を見る人」

毎日新聞のコラム「火論」で、Qアノンを取り上げ、欧米でなぜ陰謀説が流布しやすいのかを考察していた。その中で紹介されていたミシガン大学心理学部のリチャード・ニスベット教授のベストセラー「木を見る西洋人 森を見る東洋人」によると、
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矛盾する事象に直面すると東洋人は「中庸」を求めるが、西洋人は「一方の信念が他方より正しいことにこだわる(中略)人間には普遍的な思考があると思われてきた

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「アインシュタインから若者へ」

「アインシュタインから若者へ」

物理学者アルベルト・アインシュタイン(1879-1955)は、晩年、若者に対して「成功する人になろうとするのではなく、価値のある人になろうとしてほしい」と言い残したそうです。

私は、こう解釈しました。人間には「欲」があります。「欲」はモチベーションとなりますが、自分だけが「金持ちになりたい」「美味いものを食いたい」「生き残ることができればいい」これでは原始的な生物と同じです。

いや、彼等は大自

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「第4回 八川とんど」

「第4回 八川とんど」

住んでいる町に「とんど(焚き火)」がなくて困ってた。だから、自分で企画した。手伝ってくれる仲間ができた。今回で4回目。困っていたのは私だけではなかった。自分が楽しめて、オマケで周りの人が喜んでくれるなら、これほどうれしいことはない。

「オープンダイアローグ」

「オープンダイアローグ」

私が「うつ」と診断されて通院していた15年ほど前に比べると「うつ」を巡る状況はかなり変わりました。関連本や映画、メディアでの啓蒙もあり、心に不調を感じた人がお医者さんを訪れるハードルもかなり下がっています。

それでも初診の方がまず戸惑われるのが診療時間のあまりの短さです。心の病の診断は、チェックリストで相当の症状が確認されればすぐに「~障害」とか「~状態」と名付けられれ、お薬を処方されて終わりで

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「嘘と秘密」

「嘘と秘密」

「嘘と秘密」

親であるあなたは、子どもに嘘をつかれたり、隠し事があったりするのをある程度認めることができますか?子どもが成長の過程でつく「嘘」や持つ「秘密」がどういう意味を持ち、彼らにとって必要性があるということを認めることができますか?

子どもに正直で誠実であってほしいと願う気持ちは理解できます。だからといって、子どもにすべての「嘘」や「秘密」を許さないというのは違うと思うのです。だって、あ

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「メタファーのない世界」

「メタファーのない世界」

中川くんから年賀状が届きました。手書きのメッセージが添えられたこの1枚の葉書は唯一のものです。ここから抽象度を上げていきます。年賀状→葉書→郵便物→通信手段→コミュニケーション…と具体性は薄くなりますが、より大きな概念を表すことができます。メタファー(隠喩)も同じようなところがあります。

昨今「具体的で」「簡単で」「わかりやすい」表現は、テレビでもインターネットメディアでも求められるでしょう。冒

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「年始のご挨拶」

「年始のご挨拶」

あけましておめでとうございます。

唐突ですが、2022年に私がやることは、「対話の場」をプロデュースすること。

「言いたいことが言えたなぁ」「相手が言っていることを受け止めることができたなぁ」「今までとは少し感覚の違う話し合いができたなぁ」そんな感覚を持ってもらえる「場」をどれだけ創れるかに注力します。

「対話」こそが世の中の分断と閉塞感に風穴をあけ、安心感と満足感を与えます。人間が社会的な

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