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BITTER 90'S BLUES
最近は少しずつ精神に平穏が戻ってきたので、一日に数回程度はタイムラインに目を通すようになった。そんな中流れてきた「91年生まれ大反省会」のツイート。自分も今年30になる91年生まれではあるが、個人的には「時代の移り変わりと共に価値観もアップデートされていく」というのは社会進化論的な傲慢に基づいた幻想であり、単に信奉する権力が変わっているだけに過ぎないと考えている。
当該ツイートの内容を概観
Who killed His Majesty The Emperor?
今、X上でにわかに「自己肯定感」が話題になっている。話を掘り下げていくとどうやら"なぜ「自分が人から大切にされる価値がある」と思えるのか教えてほしい"という内容のポストが発端のようだが、個人的な肌感覚としては「自己肯定感」という概念自体が自己肯定感の低い人間特有のものであり、いわゆる”自己肯定感の高い人間”というものは、初めから存在しない可能性が高い。一見対極のように見えるが、実は全く別の存在で
もっとみる「デリヘルなんです。」
都心では新型コロナウィルスが猛威を振るい始めていた昨年のGW。俺は矢面に立つ覚悟ひとつぶら下げて、五日間に渡る一人旅を敢行した。春先に完成した自著を友人の営む古本屋に届けに行くついでに、瀬戸内の町々を徒然に巡ってみようと衝動的に思い立ったのだ。内容はと言えば、尾道で深夜の商店街の静謐を軽やかに乱してみたり、キャリー片手に因島を徒歩で縦断したり、古色ゆかしき今治の街並みの猥雑に耽溺したり、道後で懐
もっとみるreal emotion
「エモい」という言葉が人口に膾炙するようになって久しい。おそらくその源流は音楽にあり、十年ほど前からライブハウスや終演後の居酒屋などで局地的に耳にしていた言葉ではありましたが、まさかここまで覇権を握ることになるとは想像だにしていませんでした。実際のところ、自分の中の「エモい」は未だに「eastern youthを評する時に用いられる語彙のひとつ」という認識で止まっています。「一切合切太陽みたいに
もっとみる心中したいならONE PIECE
ワンピースが好きだ。「ワンピースが嫌いそう」というパブリックイメージを逆手に取り、「こう見えてワンピースが好きです」的なギャップを演じていると見せかけて実は本当に好きなのだ。小学生の頃、誕生日に単行本を1〜10巻まで買って貰ったことに始まり、今は無き地元の東映劇場へ「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム」と同時上映だった「劇場版 ONE PIECE」を観に行った時には、最初は渋々の同伴だ
もっとみる君はロックを知らない
今朝、中学時代の担任のエピソードをツイッターに投稿したのだが、実はこの担任と自分との間には浅からぬ因縁がある。人生の第一期「スクールカーストウォーズ」において、彼女は自分の前に明確な「敵」として立ちはだかった初めての大人であり、卒業までその立場を頑なに貫き続けた人だった。そして彼女のその選択が、当時の自分にとって「最も忌むべき偉業」であったことは疑いようのない事実だ。今回はそんな彼女と自分の戦い
もっとみるマイ・アンビエント・ミュージック
ツイッターで音楽の話をすることはあまり無い。わざわざ公の言論空間で発信するからには最低限「オピニオン」もしくは「エンターテインメント」たるものでなくてはならないという自身の強迫観念めいた拘りから、私的要素の濃い領域に関しては意識的に遠ざけるようにしているが、あくまで積極的に話すことがないというだけであって、改めて振り返ってみると、それなりにノーミュージックではノーなライフだったと思う。
表題
こんな時代に生き延びるだけでも
ここ数日、「いじめ」についての議論が紛糾している。個人として「いじめ」の是非を問われれば、おそらくノータイムで「到底許しがたい卑劣な行為」と心から答えるだろう。しかし、過去の被害経験に基づいた当事者の「怒りの声」に関しては、発生の抑制や制度の是正といった対策よりも加害者に対する断罪や追及という目的へと向かいやすいため、オピニオンとして扱うことにはある程度慎重を期するべきではないかと、個人的には考
もっとみる愛しさを知るほどに老いてゆく
恋愛脳と言うわけではないが、恋愛について考えることは多い。基本的に、何もしていない時はだいたい性愛か恋愛、もしくは暴力と差別について考えている。こう書いてしまうとただの異常者だが、単純に人と人との関わりの種類の中でも、より対象への強烈な指向性を帯びたものに興味があるというだけのことだ。幼稚園の頃、七夕の短冊に「好きな子と同じクラスになれますように」と書いたのが、自分の原初の恋愛感情だったと記憶し
もっとみるWe're lost in a "tasquerade"
昨年秋に、軽度のADHDと診断されました。思い当たる節はいくらでもあったので、診断そのものに対して抱いた感想は「ですよね」くらいの素っ気無いものではあったものの、長年悩まされていた自身の不具合に正式な病名が付いたことで、常に張り詰めていた気を少しだけ、緩めることができるようになりました。薬はストラテラを処方して貰いましたが、あろうことか服用を始めて僅か一日で不能の兆候が表れたので怖くなって辞めま
もっとみる「しない」ということを「する」ということ
「言ってほしいことを言ってくれる人」よりも、「言わないでほしいことを言わないでいてくれる人」の方が人間関係において大切なのではないか、という話。
思わず頷いてしまいそうになるが、「言わないで欲しいことを言わない」というのはそれ自体が行為を伴わない相対的なものであるために、その達成が相手に伝わりにくくなっている。実行、貫徹には相当な配慮と想像力が求められるにも関わらず、短期的なリターンはほぼ無