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【詩】

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心に浮かんだまま書き殴られたものたち。
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#眠れない夜に

【詩】蒼い満月

【詩】蒼い満月

息苦しい夜に唄う

ブラックホールみたいに闇を吸う月
過換気症候群の肺胞が求めるその瞳
僕は忽ちきみの虜になってしまった

ブルー・ムーン?
君はちっとも青くない
黝いのは腕だけにしておきな

西洋の古人は月光に誑かされたと伝わる

嗚呼、美しきその輪郭よ!
息苦しい世界から連れ出しておくれ
アイスココアじゃまだ眠れないんだ

厭世、此処に極まれり。

誰が為に灯を照らす?
胸に十字を突き立てば

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【詩】陽気で妖気な歯車よ

【詩】陽気で妖気な歯車よ

毎日死んでもいいと思って生きている
それは不思議と生きる気力を与えてる
「死」が「生」の歯車を回すとは滑稽滑稽

数奇な運命の出会い
これは偶然か必然か
河童は私に微笑んだ

いと不気味にして小気味良い
死へと接近するチキンレース
その気になればいつでも終る
それが強さの糧となる

今晩は湿気った曇り夜
錠剤の空を捨てるのは
もう飽きてしまったよ

十三日目の決断
階段は何段目?

馬鹿正直は捨て

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【詩】禁欲絶頂承認欲求娑婆Life.

【詩】禁欲絶頂承認欲求娑婆Life.

孤独に耐えられなくて
絶叫しながら外に出た
オレンジ色の満月明け
南西の風が背中を押す

気が触れて揺らめくネオンライト
時折突風が長丈の上着に風を与え
夜の田舎町に奇天烈な変質者の影

認められたいなぁ
褒められたいなぁ
賞賛が欲しいなぁ

実力も無い癖によく言うぜ
所詮貴様はその程度なんだ

理解してはいる
それでも、さぁ
生きる理由的な
何かが欲しいの

腐れ外道真っ逆様
風通しの良い玉座

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【 】南京錠

【 】南京錠

私は狂人と為ってしまった
それが故に軟禁状態になってしまった

私の狂人っ振りは酷く惨い
周囲の優しい人々を巻き込んでは
迷惑という名の厄災を撒き散らす

狂人はものすらろくに考えられない
狂人刃物を皮膚に当てては引くを
狂った様に繰り返して醜悪な顔

狂人に向かって
強靱な言葉は
凶刃と化す

嗚呼哀しきかな狂人よ
自らの過ちは己で償え
災厄をばら蒔いた罰だ

ピッツァのチィズとケチャップが

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【詩】水底

【詩】水底

瞳を閉じて 宙に舞う
逆さまに 落ちていく

酒に入り浸った二十五時半
空は二十時間前と同じ色をしていた

微睡む御月様
睡魔を誘う浅い雲

毎晩飲み込む十一錠
未だ無人の十二号室

駆け上がる十三階段
二十四時に駆け抜ける貨物列車

愛の正体は深い水の奥に在る
水底まで辿り着くには溺れなければ
泳いで着く所には誰もが辿り着ける
故に溺れなければならぬと思ふのだ

酒浸り
己に課す安易な試練
容易

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【詩】Tick-Tack-ing

【詩】Tick-Tack-ing

曲の合間で微かに聞こえる
黒猫が尾を振り秒針を鳴らす

タック

朋輩は帰ってしまった
私の飯を美味い、うまいと言いながら
沢山食べていってくれる
朋輩は帰ってしまった

チック

換気扇のごうごう唸る音

タック

冷蔵庫が突然叫び出す

チック

夜に考えてはならぬ
理解している
頭で分かっていても
脳を制御できず回転

タック

あと何年間燃え続けるの
あと何年で灰になれるの

チック

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【詩】某

【詩】某

某、文字を綴る者
某、言葉を教える者

理想の私は文壇に
現実の私は教壇に

カウントダウンは始まっている
十三階段の果てに見る景色は何

十三階段が十三周続いている
ひとつ終えてもまた次へ
登り終えてもまた次が
脈打つ限り這い登る

途中で投げ出しちまってもいい
それくらいの覚悟で今は良いよ

半端な思いで生きるつもりは無い
半端に生きるくらいなら死ねよと
半端者の私は常に思っているのです

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【詩】Sei.

【詩】Sei.

静かな北西の風の夜
喉を流れるアルコール
月と星が夜空に吹き飛ぶ

成り上がりの金持ち共よ
俺は軽蔑も嫉妬もしない
只只賞賛の拍手をしよう
祝砲のシャンパンを送る

整うにはまだ時間が必要
武れ腐れの理想像
俺は何処へ進むのだろう
砕け散った瓶ビールの破片

生きていくのは簡単だ
生きないこともまた簡単
遮断機の降りない踏切
目の前を流れるLEDの流星

清らかに心を癒し
なおそれを生と呼べぬなら

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【詩】光影

【詩】光影


光在りて存ずる

白の上に黒く在る


太陽が
月が
照らしたものの名残


街灯の裏側
裏表の無いものは無い
その裏側に私は居る


もうそろそろ良いかな

陽向で生きるのは疲れた

暗いところでゆらゆらと


死にたくないが生きたくない

この生き辛さを何処へ逃がせばいい


誰かの、或いは何かの
裏側でのんびりさせてくれ


スポットライトなんて要らない

生き辛い

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「極寒」

「極寒」

煙管の火が熱を帯びる
ラムの熱が喉を燃やす

マッチを擦って火が点る
宝船の葉薮に温度が移る

表へ出る

寒波の風が頬を冷やす
雪の名残が道を滑らす

中華饅頭を頬張る

灯る居酒屋の提灯
歩く孤高の帰り道

我は今何を思う?
我の糧は何処に?

小難しい事は後回しにしよう
温かいココアを飲んで寝よう
きっと明日は明日の風が吹く

Que Será, Será.

「狂惚」

「狂惚」

中学時代
付き合っていた女の子は
趣味もあって、少しチャラくて
それでいて優しさを備えた女の子だった
進路が変わって自分に余裕が無くなって
些細なことで怒って別れてそれっきりだ

その子と別れたり付き合い直したり
それを繰り返していた空白の時期
幼馴染で転校して以来音沙汰の無かった
女友達を試合会場で見かけた
あのチームでの中で唯一
片手でシュートを放る姿に惚れていた
それから一年が過ぎた時
その

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「諦念」

「諦念」

「無理」
停止
底に至ったが最後
願いは叶わぬよ

「不可能」
本当かい?
そう思ったらもう終わりよ
それより先は絶対に無い

「可能」
例え微かな希望でも
諦めた瞬間に潰えてしまう
裏を返せば
捨てず拾えば輝くかもしれぬ

「思考」
さぁお前はどう考える?
自分には無理だって捨ててしまうのかい?
もしかしたら出来ると拾ってみたらどう?
其処に何かを探して諦めずに潜ってみろよ

人生所詮
その程度

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黒雲と救いの言葉

黒雲と救いの言葉

再び湧き上がる黒雲
一滴ずつ墨液が垂れるが如く
心に黒い虹が架かる

その中で私に救いの光となった言葉
大学時代の恩師の言葉

それはできものと違って目に見えないから
休むことはさぼることとは違う
自分が健康であることで
教え子が健やかに育ってゆく
だから、自分を一番大切にしなさい。

突然の連絡にも関わらず
お電話にて直接お話して下さった先生
この上なく嬉しくて震えた

私が初めて産み落とした創

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「朦朧」

「朦朧」

酒、煙草、薬
意識が朧気になった時に
脳の制御が麻痺して
腹ん中を晒け出せる

暗闇は良い
感覚が麻痺する
この世の終わりはこんな感じなのかな
世界が終わる時はこんな甘美な闇なのかな

欲を言えば素敵な人と過ごしたいよ
自制しなければならないけれど
親への借金は八桁
俺とくっ付く人に申し訳ねぇんだ
孤独を受け入れろ
受け入れて孤独と思わなければ良い

今の生活に慣れていけ
高い生活水準を求めるな

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