「狂惚」

中学時代
付き合っていた女の子は
趣味もあって、少しチャラくて
それでいて優しさを備えた女の子だった
進路が変わって自分に余裕が無くなって
些細なことで怒って別れてそれっきりだ

その子と別れたり付き合い直したり
それを繰り返していた空白の時期
幼馴染で転校して以来音沙汰の無かった
女友達を試合会場で見かけた
あのチームでの中で唯一
片手でシュートを放る姿に惚れていた
それから一年が過ぎた時
その両想いは実ったのに
調子に乗った自分の振る舞いに
愛想を尽かされて呆気なく終わってしまった

高校時代
二人の女の子に惚れた
心臓を鷲掴みにされて
握り潰されてしまう様
その人の事しか考えられなくなった
いずれも玉砕しておしまいだった

大学時代
一人の女の子と交際した
散々失敗したから
次の子は幸せにしてあげたい
その一心で振り回されながら
時に己の欲で振り回してしまったが
結局七年付き合って、三年半は同棲した
「金」という現実的問題に直面して
お互い時間差の涙を流してお別れした

現在
心臓を鷲掴みにされる様な
その人の事しか考えられなくなる様な
狂った様にもどかしくなる様な
貴方が私の傍に居てくれたら
それ以上の幸福が世界に存在しない様な
そんな相手とは出会えていない
募集するつもりもない

時折恋人という存在を求めてしまうのも事実
だけどさぁ
精神疾患人で、タールとアルコール漬けで、
挙句親へ毎年百万円ずつ返さなねばならない
ぶっちゃけ借金と鬱病抱き抱えてる馬鹿を
誰がサルベージしてくれるってんだよって
こればかりは諦めちゃってるよね
だって俺個人の問題じゃないから

もしまた狂った様に惚れた人ができたらさ
その人を全身全霊で幸せにしてみせますよ