淵つぐみ

ふちつぐみと申します。音楽と文学と動物のある(いる)暮らしでありたい。

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記事一覧

3月

飼っていたハムスターが2週間前に亡くなった。この気持ちを誰かに話して楽にはなれないし、なりたくもなかったので、ずっとひとりで考えていた。 1才9か月になり、もうそ…

淵つぐみ
2年前
8

コンビニエンスストア

思えば私は、今まで様々な仕事をしてきた。基本的に自分の事を余りよく分かっていないせいか職種も多岐にわたる。 コンビニ、洋食屋のウェイトレス、本屋、服屋、温泉地で…

淵つぐみ
2年前
8

ピースのソファーに座り、ピンポンズさんのライブと、とりとめのないことを考えた日

幼少期、別の町内に住むいとこの家に夏休みによく泊りに行っていた。その家でいとこの女の子と一緒にイトトンボを大量に捕まえてきては、カーテンにイトトンボを等間隔につ…

淵つぐみ
2年前
19

親切をされたが怖かった話。

先日、飼っているハムスターを健康診断のため病院へ連れてった。 うちのハムスターは生後2か月でお迎えして、現在9か月ほど経つ。ありがたいことにいまのところ病気もせず…

淵つぐみ
3年前
9

くせ毛の果てしない物語

わたしは酷いくせ毛だ。今までにも何度だってこの髪質に泣かされてきた。この世には2種類の人間がいる。くせ毛の人間とくせ毛ではない人間だ。 そうやって、天敵である湿…

淵つぐみ
3年前
5

置き去りにされたシールと落としたエリマキトカゲ

子供の頃にふいに落としてしまったもの、つい置き去りにしてしまって失われたもの。大事にしてたけど壊れてしまったもの。 わたしはそのときの感覚がいまでも残っている。…

淵つぐみ
3年前
6

ゲームでも迷子になる話

わたしはゲームが好きだ。RPGや初期のバイオハザードのような謎解きホラーゲーム、探偵や推理もの。サウンドノベル、たまにぼくのなつやすみや牧場物語みたいなものもする…

淵つぐみ
3年前
17

不便に暮らす。命と暮らす。

いまの家に引っ越してきて1年が過ぎようとしている。いまのわたしの家には電子レンジもオーブントースターも炊飯器もTVもない。家具家電といえばエアコン、洗濯機、冷蔵庫…

淵つぐみ
3年前
10

依存の切れ目(掌の力を弄ぶ)

昔もらった手紙や 互いの輪郭の判断がつかなくなる程  近づいて撮った写真 読み返したり 写真の中にトリップしてみたり 雨で消えた足跡の中 目を凝らして君の形を探…

淵つぐみ
4年前
5

掌の力を弄ぶ「夕焼け晩町」

人から置いて行かれた僕は自分の中の弱さという弱さを ダンボールの中に押し込める様にして 猫と一緒に川に流した 押し込んでも押し込んでも頭を出してくる猫3匹、それ…

淵つぐみ
4年前
4

掌の力を弄ぶ「其の内(そのうち)」

先日、表通りのバス停の所に老夫婦がいました 腰が曲がってもう地面に合わせられなくなった体は きっと正しいと思うのです 腰が引けている私よりはそれはもう神々しいの…

淵つぐみ
4年前
3

又吉さんの本

又吉直樹著「人間」を読み終えた。よかった。近いうちもう一度初めから読み返したい。 又吉さんの書く文章を、又吉さん自身を好きになったきっかけは「第2図書係補佐」と…

淵つぐみ
4年前
15

私と言葉について

noteを前から始めたいとは思っていた。理由は、誰かに私の書くものを見てもらえるかもしれないから。遥か昔18才の私は、あるきっかけで自分で言葉を綴るようになった。それ…

淵つぐみ
4年前
7

3月

飼っていたハムスターが2週間前に亡くなった。この気持ちを誰かに話して楽にはなれないし、なりたくもなかったので、ずっとひとりで考えていた。

1才9か月になり、もうそろそろシニア。色々な変化が起きていた。ここ最近はペレットをよく残すようになっていた。好きだったキャベツもブロッコリースプラウトもあんまり食べなくなって、色々な食べ物を買ってきて試したり、ペレットをふやかして団子にして渡してみたり、試行錯

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コンビニエンスストア

コンビニエンスストア

思えば私は、今まで様々な仕事をしてきた。基本的に自分の事を余りよく分かっていないせいか職種も多岐にわたる。

コンビニ、洋食屋のウェイトレス、本屋、服屋、温泉地でのリゾートバイト、病院、施設、フィットネス、ヨガスタジオ、コールセンター、事務職、百貨店、郵便局や工場の短期バイト。他にもあっただろうか。今はちょっと思い出せない。

新たな年が始まったことだし、シリーズで気軽に読める文章を書きたいなと思

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ピースのソファーに座り、ピンポンズさんのライブと、とりとめのないことを考えた日

ピースのソファーに座り、ピンポンズさんのライブと、とりとめのないことを考えた日

幼少期、別の町内に住むいとこの家に夏休みによく泊りに行っていた。その家でいとこの女の子と一緒にイトトンボを大量に捕まえてきては、カーテンにイトトンボを等間隔につけて遊んだり、叔母さんにプールに連れて行ってもらった帰りにレンタルビデオ屋に寄り、「好きなもの借りておいで」と言われ、選んだ楳図かずおのビデオをタオルケットに包まって見たりした。

そのビデオで楳図かずおが「身に覚えのないあざがあなたのから

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親切をされたが怖かった話。

親切をされたが怖かった話。

先日、飼っているハムスターを健康診断のため病院へ連れてった。

うちのハムスターは生後2か月でお迎えして、現在9か月ほど経つ。ありがたいことにいまのところ病気もせず、元気に暮らしてくれている。

その病院に行くのは今回で2回目であった。1回目は8月にお迎えして2か月ほど経った頃に、その時も健康診断のために診察を受けた。

ハムスターなどの小動物は犬や猫に比べて診察してくれる病院自体がとても少ない。

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くせ毛の果てしない物語

わたしは酷いくせ毛だ。今までにも何度だってこの髪質に泣かされてきた。この世には2種類の人間がいる。くせ毛の人間とくせ毛ではない人間だ。

そうやって、天敵である湿気を憎み、わたしは美容院を恐れて生きてきた。

好きな洋服を纏うように、ファッションの一部としてヘアスタイルを自らのものにし、自分の髪の毛を使いこなしているお洒落な人たちはわたしの憧れであり、同時に恐怖と嫉妬の対象でもあるのだ。そんなわた

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置き去りにされたシールと落としたエリマキトカゲ

置き去りにされたシールと落としたエリマキトカゲ

子供の頃にふいに落としてしまったもの、つい置き去りにしてしまって失われたもの。大事にしてたけど壊れてしまったもの。

わたしはそのときの感覚がいまでも残っている。もう大人になったいまであれば、それは欲しいものでは決してない。だけどそれらは、その瞬間の自分にはとても大切なものだったり、すごく好きなものたちだった。その気持ちが高いところにある時に、自分の意思に反してふいに失くしてしまった。ちょっとした

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ゲームでも迷子になる話

わたしはゲームが好きだ。RPGや初期のバイオハザードのような謎解きホラーゲーム、探偵や推理もの。サウンドノベル、たまにぼくのなつやすみや牧場物語みたいなものもする。でもクリア出来たものはそんなに多くない。途中でやめてしまったもののほうが多い。それには、やむを得ない事情がある。

RPGなどは特に主人公に「戦わなければならない理由」があることが、ゲームを選ぶうえでとても大事だ。わたしはそう強く思う。

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不便に暮らす。命と暮らす。

いまの家に引っ越してきて1年が過ぎようとしている。いまのわたしの家には電子レンジもオーブントースターも炊飯器もTVもない。家具家電といえばエアコン、洗濯機、冷蔵庫、テーブル、ノートパソコンくらい。ベッドも買おう買おうと思いながら、いまだフローリングに敷布団を敷いて寝ている。ラグも買おう買おうと思いながら300円ショップで買ったレジャーシート。その上にぺらぺらの薄いギンガムチェックの布をかけている。

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依存の切れ目(掌の力を弄ぶ)

昔もらった手紙や 互いの輪郭の判断がつかなくなる程 

近づいて撮った写真

読み返したり 写真の中にトリップしてみたり

雨で消えた足跡の中 目を凝らして君の形を探すのは少し恥ずかしい

だからこの土地で一番高い所から 指をくわえて見送るよ

君がどんどん前に進んでいくのなら

僕はどんどん還って(かえって)いこうか

君が塵(ちり)ほどにしかみえないところまでいって僕を確かめてみようか

僕は

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掌の力を弄ぶ「夕焼け晩町」

人から置いて行かれた僕は自分の中の弱さという弱さを

ダンボールの中に押し込める様にして

猫と一緒に川に流した

押し込んでも押し込んでも頭を出してくる猫3匹、それが

弱さは隠せないと云っている気がして ついムキになって押さえつけたら

猫は ぐっと云って大人しくなった それを川に流した

少し戸惑っている僕の中から流れがダンボールをさらっていった

僕はもう戻れない 僕は最低だ

橋の向こう

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掌の力を弄ぶ「其の内(そのうち)」

先日、表通りのバス停の所に老夫婦がいました

腰が曲がってもう地面に合わせられなくなった体は

きっと正しいと思うのです

腰が引けている私よりはそれはもう神々しいのです

それよりもこうしている間にもどんどんと

漏れていっているかもしれない感受性

私はそれを防ごうと必死に子供ぶってみるのです

食事を左手で行ったりするのです

不意打ちに飛ばされた青光りのする風船を残念がってみるのです

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又吉さんの本

又吉直樹著「人間」を読み終えた。よかった。近いうちもう一度初めから読み返したい。

又吉さんの書く文章を、又吉さん自身を好きになったきっかけは「第2図書係補佐」というエッセイ集を読んだことに始まる。この作品は本好きの又吉さんが尾崎放哉、太宰治、江戸川乱歩などの作品紹介を通して自身を語る形式のエッセイで、本自体の紹介は末尾のほんの3行ほどで、ほとんどが又吉さんの「その本に絡むようなテーマではあるが、

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私と言葉について

noteを前から始めたいとは思っていた。理由は、誰かに私の書くものを見てもらえるかもしれないから。遥か昔18才の私は、あるきっかけで自分で言葉を綴るようになった。それを続けているうち、自分の中でその行為が目標として明確になってきた。その目標とは「いま、この10代のうちに自分の文章で誰かの心に響くような本を出したい。」ということだった。どうしても19才までには本を出したかった。その頃は実家暮らしだっ

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