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#わたしの本棚
今日も、読書。 |【岸政彦作品】ままならない思考と、日常の断片
岸政彦さんの本で描かれているのは、私たちが日々過ごす、日常の断片です。
どこかの街の航空写真の、どこかの中層マンションの、どこかの角部屋の窓から漏れる、ほのかな明かり。
どこかの街の午前8時、駅に吸い込まれる人と吐き出される人、たった今駅からどっと溢れ出てきた人の流れの、その中のひとり。
そんな不特定多数の、不特定な瞬間の何気ない日常、でも当人からすればそれがすべてである日常を、強調も脚色も
今日も、読書。 |”色彩”を持つ文章、キャンバスに絵の具を乗せるように
皆さんは、小説を読んでいて、”色”を感じた経験はあるだろうか。
一般的な書籍は、基本的にモノクロである。白地の紙に、黒の活字が印刷されている。
もちろん、小説を読みながら、書かれている情景描写を思い浮かべて、色彩を感じることはある。
どこまでも広がる海の青、鬱蒼と生い茂る植物の緑。脳内に色とりどりの情景が浮かび、美しさを感じることはある。
今回ご紹介するのは、その色彩感覚とは少し異なる種類
今日も、読書。 |ラスト3行の感動を味わうために
長い読書の旅の末に辿り着く、ラスト1ページ。そのラスト3行。
その3行を読んだとき、ああ、この本を読むことができて本当に良かったと、幸せな感動に包まれた。
長い時間をかけて読み進め、登場人物との距離を縮めてきたからこそ、ラスト3行を読んだときの感動がひときわ大きくなる。
そんな最後の数行で感動のピークが訪れる小説が、私は好きだ。
今回は、”ラスト3行を読んだときの感動”を皆さんにもシェアし
今日も、読書。 |幼い頃のワクワクした読書を、無意識に探している
幼い頃、読書は今よりももっと新鮮で、キラキラしていた。そんな気がする。
私が本格的に本を読むようになったのは、大学生になってからだ。
しかし、高校までの期間にも、ごくたまに本を読んでは、「読書って楽しい」となんとなく感じていた。
小学生の時には、エミリー・ロッダのファンタジー小説『デルトラ・クエスト』に夢中になった。中学生の時に伊坂幸太郎さんの『ラッシュライフ』に度肝を抜かれ、高校生の時に森
今日も、読書。 |今の私にできる、暇と退屈との戦い方
なんとなく暇だ。理由は分からないが、なぜか満たされない。
誰しも、そんな感覚を抱いたことがあるだろう。日常の中で、ふとした瞬間に押し寄せる「暇」と「退屈」の波。はっきりとした原因も、解決するための対策もわからない……。
今回ご紹介する國分功一郎さんの『暇と退屈の倫理学』は、そもそも「暇」「退屈」とは何か?という根本的な問いから、「暇」「退屈」とどう向き合うべきかという実践的な問いまで、「暇」と
今日も、読書。 |「Vシリーズ」を読み終えてしまいました
森博嗣|Vシリーズミステリ好きなら誰もが知っている『すべてがFになる』から始まる、「S&Mシリーズ」。
本シリーズを読み終えた私は、しばらく犀川・萌絵ロスから立ち直れずにいたが、やがて導かれるように、『黒猫の三角』から始まる「Vシリーズ」を読み始めた。
そしてとうとう、Vシリーズ全10作品を読了した。初めは犀川・萌絵ロスがあまりに大きく、保呂草や紅子ら、Vシリーズの登場人物たちになかなか馴染め