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読書記録

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#私の本棚

横山起也著「編み物ざむらい」/糸と編み針で悪と闘うお侍さんの話。

横山起也著「編み物ざむらい」/糸と編み針で悪と闘うお侍さんの話。

書店で目が合い、「何だこりゃ?」と手に取り購入しました。

時はおそらく江戸時代^^;
主人公感九郎は、悪徳医者の不正を暴こうとした事で、仕えていた家から召し放ち(首)となり、さらに親からも勘当された。
実家は落ちぶれた武家という家柄ゆえ編み物の内職で食いつないでいた感九郎。自分にできる事は編み物だけ。という事で、仕方なく編み針を持って家を出る。

【自分の中にあいている「穴」と向き合う】
本来な

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森永卓郎著「ザイム真理教」/財務省の不都合な真実

森永卓郎著「ザイム真理教」/財務省の不都合な真実

話題の本を読みました。

今まで政治経済にほとんど興味を持っていなかった私ですが、
コロナ騒動以降この国の施策に失望した事から、そういった動画をたくさん観るようになり、この本に辿り着きました。

森永卓郎さんは、財務省の告発本のようなこの著作を書き上げ、今まで付き合いのあった出版社に持ち込んだがどこからも断られた。しかし1社だけ、たった1人の出版社があり、出版にこぎつけたのだそうです。命の危険も覚

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池谷裕二・中村うさぎ著「脳はみんな病んでいる」/脳は不思議、脳は面白い♪

池谷裕二・中村うさぎ著「脳はみんな病んでいる」/脳は不思議、脳は面白い♪

突然ですが、実は私、はっきりとした幻聴を経験したことがあります。
生きている人が吹くブルースハープの音が、本当に耳元で聴こえたのです。かなり長い時間でした。
その時私は、なんとなくですが、これは脳の誤作動的なものなのかなと思いました。生きている人(息子なんですが^^;)がさっきまで吹いていた音が、確かに聴こえる。これが幻聴なのかと思いました。

で、この本では、幻聴には触れていませんでしたが、「幻

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町田そのこ著「52ヘルツのクジラたち」/救いはどこかに必ずある。

町田そのこ著「52ヘルツのクジラたち」/救いはどこかに必ずある。

2021年本屋大賞受賞作。
実の母と義理の父から壮絶な虐待を受けていた主人公が、同じように虐待を受けている男の子と出会う。

子供への虐待、それは
閉ざされた空間で、まだ1人で生きる力のない子供に対して行われる、この世で最も残酷で卑劣な犯罪ではないかと思います。

主人公は、親からの虐待という壮絶な経験を経たのち、全てのしがらみを断ち祖母が残した大分の古い家に1人移り住みます。
そこで出会った、声

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齋藤綾著「母という呪縛 娘という牢獄」/歪んだ支配欲に溺れた母と、そこから逃れられなかった娘に起きた悲劇

齋藤綾著「母という呪縛 娘という牢獄」/歪んだ支配欲に溺れた母と、そこから逃れられなかった娘に起きた悲劇

書店で見かけて衝動買いしました。
一気読みでした。

医学部合格を母から強要され9浪の末、滋賀医科大学の看護学科にやっとトップで合格。
就職内定まで取れたというのに看護師は許さない(看護師に対して異常なほどの差別感情があった。)医者が無理なら助産師になれと、どこまでも自分の望みを押し付けて来る母。

以下ネタバレありですので、本をお読みになりたい方はスルーしてくださいね。

✳︎✳︎✳︎

言葉の

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逢坂冬馬著「同志少女よ、敵を撃て」/戦争の真実とその虚しさを描く大作。

逢坂冬馬著「同志少女よ、敵を撃て」/戦争の真実とその虚しさを描く大作。

長男から激推しされた本を読みました。
凄い本でした。
1941年〜1945年に及ぶ独ソ戦で戦地に立った女性兵士や従軍看護婦の真実の姿に迫った超大作。
逢坂冬馬氏のデビュー作というから驚きです。
アガサクリスティ賞、本屋大賞受賞。2022年の直木賞候補作。

あまりに凄惨な戦場の様子が巧みな筆致で描かれており、戦争小説なんて読めるのだろうかと思っていた私なのに、見事に引き込まれ500ページにも及ぶ長

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東京サザエさん学会編「磯野家の謎」

東京サザエさん学会編「磯野家の謎」

以前、老婆の日常茶飯事さんのこちらの記事を拝見して、昔読んだ「磯野家の謎」を思い出しました。

本を探したら見つかったので、抜書きしてみます。

※1982年に創設された東京サザエさん学会は、作品内容を細かく読み取り分析する団体だそうです。
代表者は慶応大学文学部教授、故 岩松研吉郎。(現在も存在するかは不明。)

◆磯野家は元々は福岡にいた。元々はイソベ姓を名乗っていた事から、何かしらの事情を抱

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ノバク・ジョコビッチ著「生まれ変わる食事」/不調は小麦のせいかもしれないと考えてみる。

ノバク・ジョコビッチ著「生まれ変わる食事」/不調は小麦のせいかもしれないと考えてみる。

最近仲良くさせて頂いている
terucchiteruteruさんのこちら↓の記事を拝読して興味を持ち、この本を読んでみました。

旧ユーゴスラビア、現セルビアに生まれたジョコビッチ。優れた身体能力と心身の鍛錬により優秀なテニスプレイヤーである事はご承知の通りだと思いますが、ここぞという時に突然喘息の発作が起きて倒れたり力が入らなくなったりという謎の症状に悩まされていたそうです。

彼が試合中に倒れ

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喜多川泰著「運転者」/報われない努力はないということの意味♪

喜多川泰著「運転者」/報われない努力はないということの意味♪

ミイコさん のこちらの記事を拝読して興味を持ち読んでみました。

中古車販売会社から保険代理店に転職した修一。仕事も家庭も何もかもうまくいかない日々だった。
仕事中に出会った、不思議なタクシー運転手に導かれ、彼は初めて自分と向き合い、今までの生き方を俯瞰で見る事をし、運を味方に付けていく、そんなお話です。

タクシー運転手は言います。
いつでも上機嫌でいる事。これが基本。そして、損得勘定で動くので

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高見純代著「愛」It begins quietly as intense love./珈琲の香り漂う愛の物語。

高見純代著「愛」It begins quietly as intense love./珈琲の香り漂う愛の物語。

仲良くして頂いている
高見純代さんの「愛」を拝読しました。
「幸せ白書」「追憶の光」に続いて3作目になります。

story

読み始めてすぐ、この小説の持つ雰囲気に惹かれました。
2人が出会った喫茶店「ココ」のお店の設え(ステンドグラスの色彩が伝わってくる表現が印象的でした)、コスタリカコーヒーを愛する店主と、そのコーヒーを愛する神矢。それぞれがぼんやりとオーバーラップし、レトロな喫茶店が大好き

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高見純代著「追憶の光」/崇高な愛の物語

高見純代著「追憶の光」/崇高な愛の物語

仲良くさせて頂いている
高見純代さん のご著書「追憶の光」を読みました。とても読みやすい文章で、すぐに物語に引き込まれ読み進む事ができました。

story

過酷な現実に翻弄される主人公、優子。そして出会った2人の男性の間で心揺れる優子。
彼女はあまりに美しく、その容姿の美しさは内面から滲み出る本物の美しさ。その魅力に心奪われた旧知の仲である2人の男性と共に、運命の歯車が狂っていく。

私は途中

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