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孤独の裏グルメ

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モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず自由でなんというか(以下略)
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#グルメ

合成酢は本当にダメなのか ~合成酢と食文化~(後)

合成酢は本当にダメなのか ~合成酢と食文化~(後)

※上記は前回の記事となります。

きっかけは2020/6/17の日刊スポーツによる記事だった。

スっぱすぎる酢にハマるのはなぜ?佐々木朗希のス顔

鳴り物入りでドラフト1位入団したロッテ佐々木朗希投手が、関東に来てから恋しくなった地元の食べ物として、酢の素(合成酢)を挙げたのだ。

「酢の素という、大船渡のしょうゆ店で作られたお酢があるのですが、とっても酸っぱいです」

「1度これに慣れたら、普

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合成酢は本当にダメなのか ~まるこめ酢問題を解く~(前)

合成酢は本当にダメなのか ~まるこめ酢問題を解く~(前)

※上記は以前の記事です。

先日、『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』(樋口耕太郎)という書籍が出版された。

この書籍は沖縄タイムズ紙に連載された記事の収録が主になっており、現代の沖縄における貧困や経済格差、文化格差の問題などを取り上げたものとなっている。

その中で、沖縄で使われている「まるこめ酢」について書かれている部分があった。沖縄タイムズのサイトにも現存している。

そして経済評論家

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美味しんぼ13巻『柔らかい酢』への疑問 ~合成酢でサバ寿司を作ってはダメなのか~

美味しんぼ13巻『柔らかい酢』への疑問 ~合成酢でサバ寿司を作ってはダメなのか~



美味しんぼ13巻の『柔らかい酢』で、こんな話が取り上げられた。

合成酢で作ったサバ寿司は危険!サバ寿司を合成酢で作ったら食中毒を起こした、だから鹿児島に本物の酢を捜しに行ったとうい話なのだが、これは本当なのだろうか。

そもそも、サバが当たりやすいと言われるのはなぜか。「鯖の生き腐れ」については作中でも言及されている。

じんましんと青魚の関係(神奈川県衛生研究所)

>ヒスタミンが多量に蓄

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ラーメンは世界を目ざす

ラーメンは世界を目ざす

君は、さつまラーメンを知っているだろうか。

昭和36年、大分県にて創業。

莫大な費用をかけて開発した「さつまラーメン」を世界へ展開させるべく、独特のチェーン店を日本各地に100店舗以上展開。

1990年代には当時の業界最大手であった「どさん子」チェーンなどと並ぶ、有力ラーメンFC店の一つと数えられていた。

公式ホームページにも自店の素晴らしさを堂々とうたっている。

「世界を目ざす さつま

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美味しんぼ38巻における「かん水」描写への疑問を解決する(後編) ~ラーメン苦いかしょっぱいか~

美味しんぼ38巻における「かん水」描写への疑問を解決する(後編) ~ラーメン苦いかしょっぱいか~

<4.塩はどこへ行った?> 前回の話では、雁屋氏が「重合リン酸塩はタンパク質を溶かす」と間違えて覚えていたため、中華麺でも同じことが言えるはずだと勘違いした――というテーマを取り上げた。

 だが中華麺やうどん、そしてパスタを作る際にも塩は入れられることが多い。塩は何のために入れるのだろうか。
 
 美味しんぼの6巻『江戸っ子雑煮』では、カマボコの製法を取り上げているが、「すり身に塩を入れて練れば

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美味しんぼ38巻における「かん水」描写への疑問を解決する(中編) ~タンパク質は異なもの、味なもの~

美味しんぼ38巻における「かん水」描写への疑問を解決する(中編) ~タンパク質は異なもの、味なもの~

前回はかん水とは何か、その働きは……という観点の記事でした。

<3.重合リン酸塩とは何か> テーマはラーメンであるが、最初は動物タンパクの話から始めたい。

 中学の理科の時間に、ATP(アデノシン3リン酸)という単語を習った記憶がないだろうか。
 食品添加物として認められているポリリン酸塩やピロリン酸塩といった物質も、ATPと同じく「リン酸」であり、似た性質を持つのである。

 どうしてこんな

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美味しんぼ38巻における「かん水」描写への疑問を解決する(前編) ~またはラーメン三銃士は如何にしてスフィンクスの罠にかかったか~

美味しんぼ38巻における「かん水」描写への疑問を解決する(前編) ~またはラーメン三銃士は如何にしてスフィンクスの罠にかかったか~

 有名なグルメ漫画である『美味しんぼ』において、中華麺の製造時に入れる「かん水」はこう表現された。

「ラーメン界のスフィンクス」であると。

※注:「ラーメン屋のスフィンクス」と言ってるが、誤植

 一体何がスフィンクスの謎だというのか。

 「かん水がなくても麺のコシが出るのは確かだが、かん水が麺のコシを出すのも確か」、これが解答不能の謎であると言うのだ。

 果たしてかん水を入れる理由は本当

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