まさとしの小欄

大学卒業後、介護職に就く。新卒2年目。記者、編集者として働く日を夢見る、一介護職員の世…

まさとしの小欄

大学卒業後、介護職に就く。新卒2年目。記者、編集者として働く日を夢見る、一介護職員の世迷い言。

マガジン

記事一覧

ポスターから見えた日本のステレオ社会

 先日、久しぶりに駅前の家電量販店へ足を運んだ。そこは酒類も数多く取り揃えてあるから、日本酒が飲みたくなったときに手軽に買えると思い、これまでにも何度か訪れてい…

米抗議デモから見えてくるもの

6月に入ってからというもの急に蒸し暑くなった。身体にまとわりつくようなじめっとした肌ざわりが早くも真夏の到来を予兆させるかのようである。おまけに季節柄には合わぬ…

裸の心

駅前にある商業施設は、先日から一部の店舗で営業を再開した。退勤後に少しばかり店内の様子を覗いてみたが多くのテナントが感染防止対策の一環として透明な仕切りを設けて…

空疎なイメージビデオとは一線を画するアーティストの言葉

小欄は一週間ぶりのご無沙汰である。何を書こうにも思い浮かぶのはコロナの話題ばかり。頭の中を覆うコロナ災禍に平常ではない心の絵模様を重ね合わせながら、一体いつの時…

目で見た街の様子、人の様子

緊急事態宣言の発出から最初の休養日を迎えた。今日は日中、銀行に寄ってその後スーパーに買い物に行った。 銀行に着くと訪れた人たちが皆ロビーの前で待っている。密接…

約束

 人は自分では如何ともし難い理不尽さや不自由に出食わすことを知っている。  だがここまで切迫した事態を私は味わったことがない。  街が封鎖されたわけではない…

青春の思惟的遊戯を超越した思想形態の確立を軸に

純粋無垢なる高校生活に別れを告げて今日で5年が経ったのか。世間の規矩に染められて遠い昔を懐かしむ余力も無くなり、今や我が身は冷厳で残忍な生の姿しか残されていない…

心化粧

16年間通い続けた理髪店を離れ、今日初めて美容院デビューを果たした。2年ほど前から行ってみたいと思っていたのだが、当たりはずれを考えるとなかなか腰が上がらず、時間…

愛嬌のあるローカル線

自分を見つめる時間欲しさに三度長野を訪れている。昨日の夕方、特急あずさ号で松本へ。松本からは篠ノ井線の快速列車に乗り継ぎ長野に着いたのは21時を少し回ったころだっ…

コミュ力の欺瞞性

人と会話をするとき私は一対一の空間を好む。したがって人と会食するとなれば男女問わず2人でということの方が必然的に多い。向き合うべき対象が他にはなく、相手の話すそ…

あの日の二人へ

北風が木々の枝葉を揺らし、人影のない公園にいっそうの寂しさを漂わせる。 背高の時計に、少しだけ錆びれたブランコと滑り台。そして剥げたベンチ。あの頃と何も変わって…

画一化の進行に対するアンチテーゼ

通常国会がスタートした。疑惑ばかりの現政権。もうなんの希望も抱けぬことは言うまでもないが、ここまで劣化が極まればあとは没落の一途を辿るしかないのではと思ってしま…

大陸の冬

昨年暮れの大みそかから約1週間余にわたって実家のある中国・瀋陽に帰省していた父親が先ほど帰国の途についた。みやげに天然石の翡翠(ひすい)を使ったブレスレットをく…

思潮〜2019年の総括〜

最近印象に残った言葉がある。戦前の治安維持法下で軍部による独裁や言論弾圧を激しく批判したジャーナリストの言葉で、名前を桐生悠々(1873-1941)という。「他山の石」…

ある少女の視線から感じたこと

年末の買い出しにと思い休みの日に池袋へ行ってきた。御用納めの日だったせいもあって、西武の地下街は私と同じように買い出しに来ている人たちでごった返していた。狭い空…

アナログの衰退

師走も後半に差しかかってきた。例年になく1年が終わる気がしない。なぜだろう。ここ何年か年の瀬を迎えると毎年同じようなことを思う。そして恒例の年賀状の執筆も始まる…

ポスターから見えた日本のステレオ社会

 先日、久しぶりに駅前の家電量販店へ足を運んだ。そこは酒類も数多く取り揃えてあるから、日本酒が飲みたくなったときに手軽に買えると思い、これまでにも何度か訪れている。

 お会計のためレジで並んで待っていたときのことである。ふとあるポスターが目に入ってきた。そこに書かれてあった文言が気になりしばらく考え込んでしまった。

 「コロナに負けるな」「コロナに打ち勝て」

 どこかで聞いたことのあるような

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米抗議デモから見えてくるもの

6月に入ってからというもの急に蒸し暑くなった。身体にまとわりつくようなじめっとした肌ざわりが早くも真夏の到来を予兆させるかのようである。おまけに季節柄には合わぬマスクをつけての外出にもうんざりしている。顔はもはや蒸しパン状態。背中をしたたる汗は例年以上であるから脱水の兆候にも例年以上に注意しなければならない。

アメリカでは過去数十年で見たことのない規模のデモが繰り広げられている。ミネソタ州ミネア

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裸の心

駅前にある商業施設は、先日から一部の店舗で営業を再開した。退勤後に少しばかり店内の様子を覗いてみたが多くのテナントが感染防止対策の一環として透明な仕切りを設けていた。そして従業員は皆マスクの上からさらに防護用のフェイスシールドをかぶっていた。コロナ禍以前の通常の光景が当たり前のように映っていたのが遠い昔のようで、一体自分たちはこれからどういう世界を生きていかなければならないのだろうか。そう考え始め

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空疎なイメージビデオとは一線を画するアーティストの言葉

小欄は一週間ぶりのご無沙汰である。何を書こうにも思い浮かぶのはコロナの話題ばかり。頭の中を覆うコロナ災禍に平常ではない心の絵模様を重ね合わせながら、一体いつの時代を生きているのかという時代錯誤を感じずにはいられない。とっくの昔から政権の愚策を見抜いてきたつもりであるが、今はそんなことを考えるのもあほらしいと思えてしまうくらいにどこもかしこも感覚が鈍麻してきたような気がする。おそらく私だけではないだ

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目で見た街の様子、人の様子

緊急事態宣言の発出から最初の休養日を迎えた。今日は日中、銀行に寄ってその後スーパーに買い物に行った。

銀行に着くと訪れた人たちが皆ロビーの前で待っている。密接を防ぐために支店内への出入りを制限していた。どうやら感染防止の措置らしい。支店に入ると間隔を開けて椅子が並べられていた。

キャッシュカードの有効期限が切れて、新しいカードが届いたものの思わぬことに磁気不良で使えない。口座からの引き

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約束

 人は自分では如何ともし難い理不尽さや不自由に出食わすことを知っている。

 だがここまで切迫した事態を私は味わったことがない。

 街が封鎖されたわけではない。車は走っている。電車も動いている。空も晴れている。戦前のモノクロ写真のように色のない世界ではない。

 でもお店はシャッターを閉めていて、通りは人もまばらだ。

 この状況下において、怒りや疑心暗鬼の矛先を互いに向け合い、

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青春の思惟的遊戯を超越した思想形態の確立を軸に

純粋無垢なる高校生活に別れを告げて今日で5年が経ったのか。世間の規矩に染められて遠い昔を懐かしむ余力も無くなり、今や我が身は冷厳で残忍な生の姿しか残されていない。かの時代の恋愛劇も、いつの日か子どものお遊びと同じようなものとして映るようになった。未練心はいつしか政治や社会の醜悪を見る視点にとって代われ、そのおかげもあってかいくらか容易には人に騙されないような確固とした素地が築き上げられただろう。そ

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心化粧

16年間通い続けた理髪店を離れ、今日初めて美容院デビューを果たした。2年ほど前から行ってみたいと思っていたのだが、当たりはずれを考えるとなかなか腰が上がらず、時間だけが過ぎてしまった。今日急遽行こうと思い立ったこの心境の変化は一体何だったのだろう。人間の心の絵模様とは実に素朴なものである。

「若々しく、爽やかに」という私の要望に美容師さんは快く応じてくださった。数多くの髪型が載っている専門誌が手

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愛嬌のあるローカル線

自分を見つめる時間欲しさに三度長野を訪れている。昨日の夕方、特急あずさ号で松本へ。松本からは篠ノ井線の快速列車に乗り継ぎ長野に着いたのは21時を少し回ったころだった。

ローカル線の場合、ドアの開閉はボタン式がほとんどだ。長野駅で降りる際に、後方にいた女性が親切にボタンを押してくださった。ところがドアが開かない。どうして開かないのか。ボタンを押す女性の手をよく見ると、どうも「閉まる」のボタンを押し

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コミュ力の欺瞞性

人と会話をするとき私は一対一の空間を好む。したがって人と会食するとなれば男女問わず2人でということの方が必然的に多い。向き合うべき対象が他にはなく、相手の話すそぶりや手のしぐさを見ていると、大抵は真剣に話をしようという姿勢が如実にあらわれている。無論、私の方もそうである。話すときは相手に伝わるような言葉の選び方を脳内コンピューターで探り、一方で話を聴くときはなるべく傾聴に徹する。つまりは相手の言い

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あの日の二人へ

北風が木々の枝葉を揺らし、人影のない公園にいっそうの寂しさを漂わせる。

背高の時計に、少しだけ錆びれたブランコと滑り台。そして剥げたベンチ。あの頃と何も変わっていない。

なぜ私の心はこれほどまでに移り変わっているというのに、この公園だけは何一つとして変わっていないのか。

誰もいないベンチに座って一人瞼を閉じる。そしてこの4年半の身の回りで起こった出来事を思い起こす。良いことも悪いこと

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画一化の進行に対するアンチテーゼ

通常国会がスタートした。疑惑ばかりの現政権。もうなんの希望も抱けぬことは言うまでもないが、ここまで劣化が極まればあとは没落の一途を辿るしかないのではと思ってしまう。そもそも矛盾に満ちた人たちが、矛盾に満ちた政策を打ち出したところでことがうまくいくことは一つもないのである。カジノ、桜、それに加えて例の学園の問題は一体どうなったのか。まさか「まだそんなことを言っているのか。早く暮らしのことについて考え

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大陸の冬

昨年暮れの大みそかから約1週間余にわたって実家のある中国・瀋陽に帰省していた父親が先ほど帰国の途についた。みやげに天然石の翡翠(ひすい)を使ったブレスレットをくれた。

あちらの親戚の人たちは今年の干支である子年生まれの人が多い。祖父母もおば(父親の妹)も私と同じ子年生まれだ。確か祖父の父にあたる曽祖父も子年生まれだったか。とにかく子年の人が多い。これから旧正月にかけてはイベントもたくさん行わ

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思潮〜2019年の総括〜

最近印象に残った言葉がある。戦前の治安維持法下で軍部による独裁や言論弾圧を激しく批判したジャーナリストの言葉で、名前を桐生悠々(1873-1941)という。「他山の石」に次のように書いている。 

《人間は他の動物なみに概して安心せしめられるよりもおどかされやすい動物である。特に群衆心理が手伝った場合には常軌を逸して、狂態をすら演ずる。狡猾なる政治家はこの群衆心理を利用して自家の利益に資する。

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ある少女の視線から感じたこと

年末の買い出しにと思い休みの日に池袋へ行ってきた。御用納めの日だったせいもあって、西武の地下街は私と同じように買い出しに来ている人たちでごった返していた。狭い空間にいると年末の空気感を味わえない。あえて人混みに飛び込んでみることで、今世の中はどんなふうになっているのかを素直に感じ取ることができる。

今年はなにかと池袋に足繁く通った。単純に西武が気に入ったというのもあるのだが、ジュンク堂という大き

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アナログの衰退

師走も後半に差しかかってきた。例年になく1年が終わる気がしない。なぜだろう。ここ何年か年の瀬を迎えると毎年同じようなことを思う。そして恒例の年賀状の執筆も始まる。

昨年までは100枚超の年賀状をすべて手書きで書いていた。今回も手書きの通例はゆるがない。だがコストパフォーマンス等を考慮ないし、時代潮流に逆行する気力も体力も以前ほどはなくなってしまったこともあり、現行より20枚から30枚は削減しよう

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