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逆さまの世の中で

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記事一覧

ポスターから見えた日本のステレオ社会

 先日、久しぶりに駅前の家電量販店へ足を運んだ。そこは酒類も数多く取り揃えてあるから、日本酒が飲みたくなったときに手軽に買えると思い、これまでにも何度か訪れている。

 お会計のためレジで並んで待っていたときのことである。ふとあるポスターが目に入ってきた。そこに書かれてあった文言が気になりしばらく考え込んでしまった。

 「コロナに負けるな」「コロナに打ち勝て」

 どこかで聞いたことのあるような

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米抗議デモから見えてくるもの

6月に入ってからというもの急に蒸し暑くなった。身体にまとわりつくようなじめっとした肌ざわりが早くも真夏の到来を予兆させるかのようである。おまけに季節柄には合わぬマスクをつけての外出にもうんざりしている。顔はもはや蒸しパン状態。背中をしたたる汗は例年以上であるから脱水の兆候にも例年以上に注意しなければならない。

アメリカでは過去数十年で見たことのない規模のデモが繰り広げられている。ミネソタ州ミネア

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空疎なイメージビデオとは一線を画するアーティストの言葉

小欄は一週間ぶりのご無沙汰である。何を書こうにも思い浮かぶのはコロナの話題ばかり。頭の中を覆うコロナ災禍に平常ではない心の絵模様を重ね合わせながら、一体いつの時代を生きているのかという時代錯誤を感じずにはいられない。とっくの昔から政権の愚策を見抜いてきたつもりであるが、今はそんなことを考えるのもあほらしいと思えてしまうくらいにどこもかしこも感覚が鈍麻してきたような気がする。おそらく私だけではないだ

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青春の思惟的遊戯を超越した思想形態の確立を軸に

純粋無垢なる高校生活に別れを告げて今日で5年が経ったのか。世間の規矩に染められて遠い昔を懐かしむ余力も無くなり、今や我が身は冷厳で残忍な生の姿しか残されていない。かの時代の恋愛劇も、いつの日か子どものお遊びと同じようなものとして映るようになった。未練心はいつしか政治や社会の醜悪を見る視点にとって代われ、そのおかげもあってかいくらか容易には人に騙されないような確固とした素地が築き上げられただろう。そ

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画一化の進行に対するアンチテーゼ

通常国会がスタートした。疑惑ばかりの現政権。もうなんの希望も抱けぬことは言うまでもないが、ここまで劣化が極まればあとは没落の一途を辿るしかないのではと思ってしまう。そもそも矛盾に満ちた人たちが、矛盾に満ちた政策を打ち出したところでことがうまくいくことは一つもないのである。カジノ、桜、それに加えて例の学園の問題は一体どうなったのか。まさか「まだそんなことを言っているのか。早く暮らしのことについて考え

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ある少女の視線から感じたこと

年末の買い出しにと思い休みの日に池袋へ行ってきた。御用納めの日だったせいもあって、西武の地下街は私と同じように買い出しに来ている人たちでごった返していた。狭い空間にいると年末の空気感を味わえない。あえて人混みに飛び込んでみることで、今世の中はどんなふうになっているのかを素直に感じ取ることができる。

今年はなにかと池袋に足繁く通った。単純に西武が気に入ったというのもあるのだが、ジュンク堂という大き

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原水禁ルポを書き終えて思うこと

原水禁世界大会から1ヶ月が経過した。終わってからルポルタージュを書いてほしいという依頼があちこちから寄せられた。稚拙な文面にもかかわらず載せていただけたことに感謝している。世の中の諸問題に関して我ながら深く取り上げようとしながらも、その一方で多数派が無意識に醸成している諸問題考察への冷笑と諦観にどう向き合えばいいものか。大学時代に自ら問題意識を持ち始めたときから少なからず思っていることである。

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それって、あなたの言葉ですか

新緑の清々しさを通り越して早くも猛暑の到来か。異常なまでの季節の先走り具合に我が身が追い付いていない感じがする。人に会えば、「お仕事慣れましたか」「新生活はどうですか」としたり顔で質問してくる相手に、「ええ、まあそこそこ」「少しは慣れてきました」「疲れました」などと、まるで壊れたカセットデッキから流れてくる音のように同じ返答を繰り返すばかりの単調な毎日がまだ続いているというのに。これだけ早くから暑

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