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心理的虐待を受けて,精神科に入院もしていた私が,臨床心理士になった話(心理学を学ぶ当事者の方/当事者を教える方へ)

こんにちは。臨床心理士/公認心理師/精神保健福祉士のまりぃです。

大学院を終了してまだ一桁年の若輩心理職で、臨床心理士試験・公認心理師試験のダブル受験生応援公式LINE臨床心理学専攻大学院受験・Gルート公認心理師自己研鑽専用公式LINEtwitterYouTubeの運営や,豊かに学び豊かに生きる臨床心理士のためのInstagram、最近ではSNS発信/起業のお手伝いなんかもやっています。

さて,重たい記事をついに始めます。
この記事は,こちらの続きで,さらに詳細な話になっていますが,
「私は虐待を受けて育って,辛かった」という生い立ちの話ではありません。
この記事の要点は,目次をご覧いただくと分かるように
・虐待被害者/精神科に通っていた当事者/精神科に入院していた当事者が
精神保健福祉士になり,公認心理師/臨床心理士になる際に
・どんな困難があるのか。
働いていく際に,何に気をつけないといけないのか。福祉職と心理職では,何が違うのか
ということです。それを語るに際して,多少必要な部分として自分語りが入ります。ですから,「心理学を学びたい当事者」「心理学を学ぶ当事者を支援/教育する立場の方」のご参考にしていただける記事になっています。

なお,約一万字のnoteでありますが,noteにしては,ちょっと購入に勇気がいるような金額設定にしております。それは,真剣に読んで欲しいから。「お金」は「価値」です。上記の事項に興味がある方には,是非読んで欲しいと思っております。
なおこのシリーズには無料記事もあります。
*無料記事1 Wounded Healerとしてのまりぃ先輩について書こうと思った理由
*無料記事2 彼女も,傷ついている

ことの始まり


ことのきっかけは,2022年7月8日のことでした。
いつものように,乳幼児発達健診のお仕事をしていました。
いつものようなお昼休みでした。
スマホを開くと,普段あまり連絡の入らない,私がボランティアで関わっている,あるライングループに,未成年の子からLINEが来ていました。
ゲームでいいことでもあったのかな?
と思いつつ,大人が誰も返事をしないと可哀想だし,と思って開くと,あのニュースについての言及でした。

すぐにその子にはケアのLINEをしましたし,そのボランティアグループの代表さんや大人スタッフ数名の方にも,子どもたちのケアについて,いくつかお願いLINEをしました。「あまりにショックなことがあると,子どもたちは再演遊びをするけど止めないで」とか,まあ臨床心理士にとっては当たり前の初動をお伝えしただけです。

それ自体は,びっくりはしましたが,私にとっては,そこまでショックなことでもなく,地域的に関西人なのでちょっと身近ではありましたが,そこまで身近な出来事でもなく,午後からも健診はごく普通に進みました。
……数日後,加害者のバックグラウンドについて「宗教2世」というワードが飛び交い始めるまでは。

声を聞き始めた日本社会


 今までも,宗教2世は被害の声をあげていました。でも,まともに取り合ってもらえませんでした。
 なぜなら,日本には「信教の自由」があり,加えて「家族神話」の強い文化だからだと思います。昔は,DVですら取り合ってもらえませんでしたよね。例えば,親が「出来の悪い息子を殺した」事件でも,比較的親に同情の声が集まったりして(*農林水産省の事務次官だった父親が、東京都練馬区の自宅でひきこもり状態にあった当時44歳の長男を刺殺した事件など),「家族のことに公は触れない」「なぜなら親は子を愛しているはずだから」「だから親は子に対して,どうこうしていい権利がある」みたいな思い込みが社会全体をまだまだ覆っているように思います。

 もちろん,DVに関する法律も整備されてきましたし,虐待を受けている子どもを保護する権利も公にはありますし,世の中は変わってきました。
 しかし,それでも。

 それでも,さらに触りにくいところが「家族×宗教」でした。
そして,事件は起こってしまったのです。

「心理的虐待」として認めてもらえた

日本社会はいつもそうです。実質的な被害を被ったら,動き出す。
今回も,残念ながらこんなに大きな事件が起こって初めて,ようやく,宗教2世たちの声をマスコミが,国会が,社会が聞き始めました。
そんなムーブメントを見ながら,心の痛みを訴える2世たち,保護を求める2世たちを見ていて,私も動かずにはいられなくなり,活動を開始しました。

そして,ついに。
2022年12月27日。「信仰でも児童虐待は一時保護」とする厚生労働省の通知が出て,ついに,私たちが受けてきた教育が,「心理的虐待である」と公に宣言されました。(毎日新聞 2022/12/27)

そうです。私は,宗教2世,それも2歳からガチガチの宗教2世として育ちました。

当事者が心理学に興味を持つまで

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