マガジンのカバー画像

気に入り

3
運営しているクリエイター

記事一覧

連載*バタイユとアナーキズム 第1回

連載*バタイユとアナーキズム 第1回

バタイユとはどういう人だったのか酒井健

1 生きることを不可能にするアナーキズム

 バタイユは、第2次世界大戦の末期、『ニーチェについて──好運への意志』(1945)の序文でアナーキズムを批判している。

 普通法(droit commun)とは、社会のなかで人間が生きることを可能にする法、つまり共同体の成員の生存権を保障する法のことである。バタイユは普通法それ自体を擁護したいのではない。まし

もっとみる
顔|レヴィナス【君のための哲学#6】

顔|レヴィナス【君のための哲学#6】

◻︎提供スポンサー
ハイッテイル株式会社
Mofuwa

☆ちょっと長い前書き
将来的に『君のための哲学(仮題)』という本を書く予定です。
数ある哲学の中から「生きるためのヒントになるような要素」だけを思い切って抜き出し、万人にわかるような形で情報をまとめたような内容を想定しています。本シリーズではその本の草稿的な内容を公開します。これによって、継続的な執筆モチベーションが生まれるのと、皆様からの

もっとみる
誘惑する文化人類学|馬場紀衣の読書の森 vol.41

誘惑する文化人類学|馬場紀衣の読書の森 vol.41

悪魔への誘い、物品への誘い……「誘惑」という言葉には、甘美な響きがある。でもそれだけじゃない。誘惑という言葉には、危険なニュアンスもある。

人は自分の身体を安定したものとみなしがちだけれど、内外的な影響を受けて簡単に形を変えてしまえる身体の在り様というものは、不完全で不安定ともいえる。わたしと他者とを結びつけることを可能にするこの身体が、誘惑が、破滅を招くほど危険なのは、それが身体的な行為である

もっとみる