私、ヲタク先生。【15】
前回多くの方が来てくださり、驚き桃の木山椒の木です。
こんなにもスキをもらえたのは初めてで、どうしたものかと思いました。ですが、こんなにも応援してもらえたのは初めてでした。
では、今回のラインナップはこのような形です。
二度目の面接試験
さて、二回目(正確には3回目)ともなると、変な自信と諦観があるためか、緊張しなかった。緊張はしたけれど、その緊張は
「私がここにいていいのかな?」
から来るものだった。
たしかに、先生になることは憧れでもあったし、夢でもあったし、親からの期待でもあった。でも、ふと思った。
「この電車を乗り過ごせば、棄権したことになって、迷わなくて済む」
だけれど、私は迷わずに電車に乗った。やっぱり、私先生になりたいんじゃない。
壊れて、壊されて、狂って、迷って、狼狽えているくせに先生になりたいんじゃない。あの世界に帰りたいんじゃない。
「先生の勉強頑張ってね」
うん。頑張るよ。私の夢だもの。
砕け散った夢だけれど、私の大切な夢。私を私にしてくれた確かな光。
蒸し暑さの残るアスファルトの上に立ち、私は思いました。
「私、帰りたい!」
平行線の私達
夢が砕け散った時、私の中で隠れていた私がいた。
「私、小説家になりたい。
幼い私の世界を作ってくれた物語を編んでくれた人に、
物語で恩返しがしたい!」
そうだね。その夢もあったよね。でもね、先生になるんだったら、その夢は壊さなきゃいけないんだよ。
「嫌だ! そっちのは壊れているじゃない!
ほら、こっちのはまだ壊れてなんかないわ。こっちにしましょうよ?
私達なら、大丈夫よ。私達ならきっとこの夢を育てていけるわ」
そうかもしれないね。だって、そっちの方はずっと昔に捨てたままだもの。宝箱の奥底に”幸せ”と一緒にしまい込んだんだもの。きれいなのは当然よね。
私はまだ小さく、そしてきれいなそれに手を触れようか、それとも砕け散った破片を拾い集めるか迷っている。
まだ私は決められずにここにいる。
蝉しぐれの中、私はここにいる。
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