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三大心理療法について。

三大心理療法というものがあります。

それは、

①精神分析療法

②行動療法

③クライエント中心療法

です。

①の精神分析療法は、知ってる人も多いと思いますが、フロイトが創始したものです。

これは、無意識を重視して、不適応行動は過去の心的外傷が原因だと考え、それを表出し、セラピストが解釈を与えることでクライエントの自己理解が進み、症状を克服していく、というものです。

このように、精神分析療法は、言えば過去志向の療法だとイメージできます。

②の行動療法は、基礎心理学における「学習理論」を基にしたものです。

つまり、「不適応行動は学習されたもの」と考え、その不適応行動を消去し、新たに適応的な行動を学習しなおす、というものです。

これは未来志向の療法だと言えます。

③のクライエント中心療法は、「いま、ここ」に注目しながらクライエントの話を傾聴し、クライエント自らが持つレジリエンスを高めていく、というものです。

これは、現在志向の療法だと考えられます。

この三大心理療法を基に、現在につながる様々な心理療法が生まれ続けているわけです。

①の精神分析療法は、自由連想法といって、クライエントに、頭に浮かぶことを整理せずにそのまま発言してもらうという手法をとります。そしてそれをセラピストが解釈し、クライエントに渡し返すという手続きをとります。

そのことにより、クライエントは無意識に押し込んでいた過去の心的外傷の意味を見出し、不適応症状を改善・緩和していく、というものです。

この療法は数年単位の時間がかかり、即効性がないのが難点ですが、ピッタリ合うクライエントには完全にアジャストするので、根本治療が望めるという利点があります。

②の行動療法は、基礎心理学の「学習理論」を応用した心理療法です。

ここで、「学習理論」とは、端的に「条件づけ」を差します。

もっとも有名な学習理論は、何と言ってもパブロフによる条件反射の研究でしょう。

詳細は他にお譲りしますが、条件づけの理論(レスポンデント条件づけ&オペラント条件づけ)により、不適応行動を消去し、適応的な行動の生起頻度を上げるというものです。

この療法は、比較的短期間のセッションでも効果が期待されるところにあります。

精神分析療法と比べて、かなりドライな感じなので、「とにかく私の話を聞いて欲しい!」というクライエントには向かないかもしれませんが、特定された不適応行動を消去して、適応的行動の生起頻度を上げることに集中できるクライエントには、まさにもってこいです。

現在では、認知の面の修正を行う認知療法とミックスされて、認知行動療法として、発展を続けています。

認知行動療法についてはまた今度お話しさせて頂きます!

③のクライエント中心療法は、カール・ロジャーズによるもので、クライエントの「いま、ここ」に注目し、真実性・無条件の肯定的配慮・共感的理解の三つを実践して、クライエントの持つ自己実現傾向を引き出し、適応行動を獲得していく、というものです。

この療法における、上記の三要件は、今ではあらゆるカウンセリングにおける基礎になっています。

例えば強迫性障害の場合、上記の心理療法の中では、②の行動療法における、「新行動SR仲介理論モデル」というものの中の、「暴露反応妨害法」という心理療法がピッタリです。

強迫性障害は、強迫思考と強迫行為から成り立っています。

例えば、「手がばい菌に汚染されてて汚い」という強迫思考にとらわれている人が、生活に支障が出るほどに何度も何度も手を洗い続ける・・・という強迫行為に出てしまう、というものが有名かと思います。

手を洗った瞬間は、その強迫思考は治まるのですが、暫くするとまた「手が汚染されている!」という強迫思考にとらわれ、また何度も何度も手を洗い続ける・・・という悪循環に入ってしまうのです。

「手を洗う」を越えて、もっと進行した場合には、毎回シャワーを浴びなければならない、というところまでいくクライエントもいるのです。

これに対して、先の暴露反応妨害法は、単純ですが、効きます。

どうするのかというと、強迫思考にとらわれ、強迫行為に出てそれを解消しようとするクライエントに、その強迫行為を禁じる、というものです。

本当に単純な方法なのですが、これがかなり効くということが実証されています。

先ほどの例なら、「手が汚れている!」という強迫思考から、「手を洗わなきゃ!」と、強迫行動に出ようとする際に、それを止める、という本当に単純なものなのです。

しかしこれを何回も繰り返すうちに、手を洗わなくても「あれ?なんともないや。。」という境地に入って行くことが可能になります。

これが新しい適応的行動を学習した結果なのです。

強迫性障害、とまでは行かないまでも、皆さんにも「自分のルール」というものがあったりしませんか?

おなじないとかジンクスとか、そんな形で表れていることも多いかと思います。

強迫性障害のクライエントは、それが過度になっている状態なのです。

自分で不合理なルールや儀式を決めてしまい、それを行わない限り、次の行動に進めないのです。

過度なジンクスなどで苦しんでる方なども、一度試してみてください!

と言っても、自分で自分の強迫行為を制止するのは相当困難だと思いますので、可能であれば、周りの人に指摘してもらいましょう。

そしてしばらく辛抱して、その行為を実際止めてみてください。

かなり効くのではないかと思います。

パニック障害の方などは、系統的脱感作法やエクスポージャーなどが効果があります。

これもまた今度お話しさせてもらいますね。

PTSDの方には、斬新な心理療法である、EMDRという療法が効果を上げているとの報告があります。

これについても、また!

何が自分に合うのか、なかなか分かりづらいので大変かと思われますが、臨床心理士や公認心理師に相談に行かれることをお勧めします。

相談を受けた臨床心理士や公認心理師が、自分では無理だと思われる場合は、責任をもってリファー(適当な他の機関に紹介すること)するはずですので、ご安心ください。

ということで、今回はこの辺で!

心理学的な話題はまたこれからも書いていく予定ですので、その際もどうぞ宜しくお願い致します。

音楽や心理学以外の話題についても予定しております。
しっかり頑張って書いていこうと思います!

それでは一旦!


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