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緩やかな日々

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書き留めたことを、ほんのちょっとだけ公開中。
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2023年2月の記事一覧

旅先で受けた親切は…

旅先で受けた親切は…

知る人もない旅先で、ちょっと声をかけてもらったこと。
見ず知らずの人に助けてもらったこと。
そういうことは、心の中に『ウレシイ』の旗が立って、いつまでも忘れない。

昨日、久しぶりに乗った特急電車で隣に座ったのは、桜見物に行くインドネシア人の女性だった。
「このままこの電車に乗っていて、目的地に着くかしら?」
「大丈夫、大丈夫」
そんなやりとりをしていたら、自分が旅した時のことを思い出した。

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耳からきくものがたり

耳からきくものがたり

今日は、春は名のみの風の冷たい一日だった。
久しぶりに電車で遠出して、子どもの絵本についての講演会に行った。

ここ数年、日本では年間2000冊近い絵本が出版されているそうだ。
溢れんばかりの絵本の海から、子どもたちにどんな本を選んで読み聞かせをしたらいいか、とまどうことばかりだ。
今日の講演会では、絵本を選ぶための指針と、何より子どもたちに接する時に大切にしなければならない心構えを学ぶことができ

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書くことの筋トレ?

書くことの筋トレ?

毎日書く。これは、なかなかに難しい。
noteに投稿する他の人は、そんなことはないのかしら。
ネタを探すのが大変だし、頭に浮かんだことはすぐに逃げていく。
せっかく書いても、書いたことが書きたいこととビミョーにずれていて、もやもやする。

若い頃から、毎日ではないけれど日記みたいなものを書いてきた。
誰も見ないと思えば、ボロボロな文章でもドロドロな中身でも気にならない。
むしろ毒を吐くために書いて

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桜の色

桜の色

早咲きの桜があちこちで咲き始めた。
若い頃から、桜はあんまり好きじゃないと思っていた。
春になると「さくら、さくら」と騒ぎ立てる世の中が、好きじゃなかったのかもしれない。
でも近頃は、素直に「さくら、いいなぁ」と思う。
来年も見られるかどうかわからない。そういう年齢になったせいかもしれない。

今の時期は河津桜が満開だ。
河津桜はピンクが濃くて、一昔前の小さな女の子のほっぺのようだ。
一足早い春を

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山わらう季節に

山わらう季節に

伊豆半島は山の半島だ。川や海に沿った平地と盆地に開けた町のまわりには、なだらかな山が連なり、家々のすぐ裏手に里山が続く景色が、あちこちにある。
「山が笑ってる」
今朝、伊東の市街地に向かって車を走らせながら、なんだか嬉しくなった。

2月も半ばを過ぎると、伊豆半島ではあちこちで早咲きの桜が咲き始める。
雑木林では、コナラやクヌギなど葉を落とした木々が春の支度を始める。
寒風に耐えて灰褐色に固まって

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春は空からやってくる

春は空からやってくる

数日前はとても暖かかったのに、今日の風は身を切るようだった。
『三寒四温』とでも言うのだろう。
風は冷たいけれど、空の色は変わった。
真冬の空の磨き上げられた青に、白い絵の具を落としたように。
湿り気を含んで、ほんの少しずつ柔らかく。

私の住む街は、空が広い。
なだらかな里山に囲まれて、低い家並みが続くから。
頭の上にぐるりと広がる空は、季節によって様々に色を変える。
その青いキャンバスの上に、

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赤ずきんはどうなった? 〜読書の記録〜

赤ずきんはどうなった? 〜読書の記録〜

近頃子どもの本に接する機会が増えました。
だから目についたのかもしれません。

『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』 青柳碧人 著 (双葉社)
どんなパロディーなんだろう? と、軽い気持ちで手に取りました。

軽妙な文体にのせられて、サラサラっと読めました。
でも、お酒の後のお茶漬けみたい……などと思ってはいけません。
サラサラ掻きこんでいる最中も、時々びりっと舌にくるものがあり。
最後まで食べ

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外伝が好き

外伝が好き

私は、外伝が好き。
本編では脇役だった人物にスポットライトを当てて、その人が過ごしてきた人生の喜怒哀楽を描くような外伝が好きです。
物語の大きなうねりを楽しむ本編の中で、主人公を支え引き立てる人々。
ほんの少ししか出番がなくても、その人の人生が確かにあると思うと、物語の陰影が一層濃くなる気がします。

私の好きな外伝は……
 上橋菜穂子さんの『獣の奏者』の外伝『刹那』
 雪乃紗衣さんの『彩雲国物語

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