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旅先で受けた親切は…

知る人もない旅先で、ちょっと声をかけてもらったこと。
見ず知らずの人に助けてもらったこと。
そういうことは、心の中に『ウレシイ』の旗が立って、いつまでも忘れない。

昨日、久しぶりに乗った特急電車で隣に座ったのは、桜見物に行くインドネシア人の女性だった。
「このままこの電車に乗っていて、目的地に着くかしら?」
「大丈夫、大丈夫」
そんなやりとりをしていたら、自分が旅した時のことを思い出した。

旅先で受けた親切で忘れられないNo.1は、ニュージーランドでの出来事。

南島の中心地クライストチャーチでレンタカーを借りて、マウントクックへ向かった。
ホテルにチェックインした後、近くの氷河見物に出かけ、帰ってきてホテルの玄関近くに車を停めた。
用事を済ませ、さて自分のコテージに戻ろうかとエンジンをかけたが、ブルルルル、キューっと変な音がして、それっきりエンジンは沈黙。私はパニック!
仕方なく、つれあいがホテルのフロントに手助けを求めに行った。
その時、ひとり車の周りでオロオロしていた私に、見ず知らずの男性が声をかけてくれた。
「ケーブルを持ってるから、充電してあげるよ」(と言われたんだと思う)
そしてごつい4WDを私たちの車の前に止めると、ケーブルを繋いでエンジンをかけた。
頃合いを見計らって、私たちの車のエンジンをかけると、ちゃんとかかるではありませんか。
私は思わずガッツポーズをして、くだんの男性とハイタッチ!
すると、頭の上から拍手と歓声が降ってくる。
どうしたんだ?と目を上げると、ホテルの2階のオープンカフェのお客さんが、私たちに向かって手を振っている。
トラブルの一部始終を見ていた人たちが、一緒に喜んでくれたらしい。
その人たちにもありがとうを言って、恩人とハグまでしてしまった。
やがて彼はケーブルを外すと、何度もお礼を言う私たちに手を振って去っていった。

日本にいたら別に珍しくもないトラブルでも、言葉が十分に通じないところでは本当に困るし、悲しくなる。
そんな時に手を差し伸べてもらった嬉しさは、何年経っても忘れない。
そういう人と人との暖かいつながりが生まれると、その国を好きになる。

コロナが一段落して、外国からのお客様が増えてきた。
もしもどこかで戸惑っている人を見つけたら、今度は勇気を出して声をかけてみようと思う。
「どうかしましたか? 大丈夫?」
それでその人の役に立てるなら嬉しい。
その人が日本を好きになってくれたら、もっと嬉しい。

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