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松谷信司@キリスト新聞
2019年12月13日 10:32
いよいよ、本欄で読者諸氏に会えるのもこれが最後の機会となった。キョウカイジャーの諸君においては2014年春の連載開始以来、我が輩のムチャぶりにめげることなく、よくぞここまでついてきてくれた。最後まで素性を明かすことなく、誰に褒められるでもなく、「神の国」からの極秘任務を忠実に全うしてくれたことに心からの敬意と謝意を表しておきたい。特命を帯びて離任中の初代ゴールド、そして追加戦士の奮闘にも目を見張
2019年10月20日 16:12
「牧師夫人」「特別伝道礼拝」と並んで最近気になっている表現がある。それは、「私の教会」「私の教派」「私の国」――。あくまで所有格の「の」ではなく、「私が属する」の意だとは分かりつつ、どうもしっくりこない。「それは本当に『あなたの』教会なんですか?」と聞き返してみたくなる。教会はもとより、教派も国も、誰か個人のものではない。 「私の~」と聞くたびに覚える、そこはかとない違和感の正体は、小さな自
2019年5月29日 17:33
長く教会文化にひたり過ぎたせいで、それが一般社会(俗に言う「シャバ」)でも通用する用語かどうか見分けられなくなることがままある。教会内の専門用語、いわゆる「教゛会(ぎょうかい)用語」だが、有名なのは「主」「御心」「御名」「憐れみ」「贖い」「罪」「赦し」「救い」、そしておそらくトップ3に入るのが「兄弟姉妹」。 同じ教会の会員に面と向かって「○○兄弟」「○○姉妹」と使われる場合もあれば、週報など
2019年4月26日 17:35
宣(戦)隊ヒーローの一員として、決して見逃せないテレビドラマが放映された。その名も『トクサツガガガ』(NHK総合・毎週金曜夜10時)。主人公である商社勤めのOLは、特撮をこよなく愛する隠れオタク(隠れオタ)でありながら、職場の同僚たちには一切その秘密を明かしていない。原作は2014年から『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載中の丹羽庭による漫画。同じ趣味を持つ仲間と出会い、友情を育み、成長
2019年4月14日 12:57
ヒ―ロ―とは孤独なものである。昔からそう決まっている。正体を隠しながら人助けをし、誰から褒められるでもなく、特段儲かるわけでもなく、時に理不尽な理由でなじられ、罵倒され、家族にも打ち明けられないような秘密を抱えることもある。我らが大先輩であるデビルマンは、自分が守ろうとしていた人間の本性に絶望してしまうし、スパイダーマンはヒーローとして生きるか、1人の人間として生きるか究極の選択に苦悩した。
2019年4月6日 02:06
夏本番。学校が軒並み夏休みへ突入するこの時期は、教会関係者にとって「キャンプ」シーズンの始まりでもある。少子化の影響もあってか、泊りがけの行事は年々減少傾向にあるものの、やはり「〇〇キャンプ」や「夏期学校」の名で教会文化として根強く残っている。教会学校に通う子どもたちにとっても楽しみの一つかもしれない。 天幕を張って野営するという行為自体、旧約聖書にも頻出する通り、起源ははるか古代ローマ以前
2019年4月3日 11:02
教会文化の中には、「愛と奉仕と献身」という〝三種の神器〟……もとい〝伝家の宝刀〟を振りかざして、異論を唱えようとする者を黙らせるという伝統が根付いている。かつて当欄でも「『奉仕』という名の甘え」と題して、その暴力性について指摘したことがあった。今回は「献身」について、語弊を恐れず言わせてもらおう。 キリスト教系の団体・企業ではありがちだが、せっかく使命感を持ち、スキルも身に付け将来有望と目さ
2019年4月1日 12:16
「間に合っています」という表現がある。目下、必要としていないサービスや勧誘をやんわりと断ることのできる便利な日本語である。電話口や路上で押しの強い人に遭遇した際にも、このひと言さえ持っていればたやすく撃退できる。 教会への招きも同様に、このキラーワードで断られることが多い。「わたしは結婚していて家族もおり、衣食も足りて住む家もある。体は健康、仕事も順調。社会的にも成功を収め、今のところ依拠す
2019年3月26日 10:40
最小限のモノだけで合理的な生き方を実践する「ミニマリスト」が注目を浴び、昨年の流行語大賞にもノミネートされた。料理や掃除の手間を省く「時短」テクニックが、主婦層を中心に話題となったのも記憶に新しい。「できないこと」から解放され、快適なシンプルライフを提唱するハウツー本もよく読まれてきた。 何を隠そうこの我が輩も『やめたら、お家スッキリ!』(佐光紀子著、大和出版)にはいろいろ教えられた。ゴム手
2019年3月22日 13:03
「マジ神」「神回」「神ゲー」「神アプリ」「神対応」……。これらはいずれも、主にニコニコ動画(ニコ動)などで頻繁に使われているネットスラングである。それぞれの意味はさておき、何かよくわからないがとにかくスゴいものを表現するための形容詞として「神」が濫用されている。 同様に、それらを愛好するオタクたちは「信者」を自称する。ニコ動内で用いられる用語を解説した「ニコニコ大百科」によれば、「信者とは一
2019年3月20日 12:33
迫り来る魔の手からこの世を救い、地上において「神の国」を実現するためには、不断の努力が欠かせない。地の果てまでも福音を宣べ伝えよという命に準じるためにも、我々キョウカイジャーはありとあらゆる方面に日ごろからアンテナを張っておく必要がある。それがたとえ、バーチャルな世界であっても……。 わたしがこの地に舞い降りて間もない駆け出しのころ、インターネット上でキリスト教に関する情報を検索(我々は「巡
2019年3月17日 15:08
過労死の問題で批判にさらされた「ブラック企業」に続き「ブラックバイト」「ブラック部活」など、巷では何かと「ブラック」が横行しているらしい。世にはびこる「ブラック」は、アクの強いキョウカイブラックだけで十分だ。 「拘束時間が長い」「理不尽な要求が多い」「一度深みにハマると抜けにくい」などが共通点として挙げられる。一連の報道を見聞きしながら、既視感を覚えた牧師や信徒も少なくないのではないだろうか
2019年3月13日 18:38
匿名の「牧師夫人」によるツイッターアカウントがある(@BokushifujinBot)のをご存じだろうか。「今週のつぶやき」欄でも何度かお目にかかったことがあるが、ご覧いただける方はぜひ検索してみてほしい。そこには、ほとんど公には語られない牧師の妻によるありのままの悲喜こもごもが綴られている。 「牧師は孤独だっていうけど、妻も孤独です。彼の重荷を共有することはできないし、自分の魂のうめきを打
2019年3月10日 16:45
かつて5月7日付本欄「続けるだけが能じゃない!」の回で、「時にはやめる勇気も持とう」と提言した。今回はその続編。 「仕分け」や「スリム化」が叫ばれて久しい。あらゆる場面で「コンプライアンス(法令遵守)」と「アカウンタビリティ(説明責任)」が求められる世知辛い世の中でもある。教会は長く、それら世俗的な「企業の論理」とは無縁の世界にあった。 信仰共同体としての教会が、効率や実益のみを最優先す