リアルカイジ~ギャンブルで世界を旅する男~
今から20年近く前、
私は自分探しやら何やらの理由で南米にいた。
この話は南米の某都市に住む日系人、
橋本さん(仮名)に聞いた話。
橋本さんはプール付きの豪邸に住んでいる金持ちで、
1人旅やJICAやNPOのボランティアで南米を訪れた日本人に話しかけていき、
家に泊めてあげたり食事をご馳走して、
見返りとして一緒に遊んだり日本の話を聞かせてもらうのが趣味だった。
そんな彼が、数年前に出会った日本人の若者が森君(仮名)。
彼は特に特徴の無い普通の日本人の若者で、南米1人旅をする若者の常として金は無かった。
日本での職業を聞くとマッサージ師だと言う。
『これはいい』
と、彼を自宅に泊めて食事を与える代わりにマッサージをしてもらったり、
一緒にテニスをしたり、
娼館に遊びに行ったりする日々を送っていると、
ある時。
まったく唐突に、
森君が、
日本円にして200万円分ぐらいの札束を持っていたそうだ。
その当時の南米の貨幣価値は日本の6分の1ぐらいなので、
札束と言っても30万円分ぐらいの価値なのだが、
それでも凄い額だ。
南米なら1ヶ月3万円ぐらいで暮らせるので、
森君は10ヶ月分の生活費を手に持っていることになる。
橋本さんは森君が金が無いことは知っている。
南米1人旅をする若者にはあまりにも似つかわしくない札束にビックリした橋本さんが、
『え?!森君、それどうしたの?!』
と聞くと、
札束を振ってパタパタさせながら、
『ゲーム喫茶で勝ったんですよ。
いやーこの町チョロいっすねー』
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