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●ショートショート●

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これまでに書いた短編小説、ショートショートをまとめたものたち。
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2023年6月の記事一覧

【ショートショート】 机上の点

【ショートショート】 机上の点

 俺がそれに気がついたのは、授業終了まであと10分という頃だった。

 片肘をついて、半分居眠りをしながらノートだけは適当に取る。
 授業を受けているような顔をして過ごしていた俺は、机上の真っ白なノートを横切る「点」によって目を覚ます。

(…蟻?)

 午後の授業でぼんやりした頭を、じわじわ覚醒させた動く点は、一匹の小さな蟻だった。

 俺のクラスは、校舎の4階にある。
 どこから現れたのか全く

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【ショートショート】 煙、くゆる今

【ショートショート】 煙、くゆる今

 それは、よく晴れた6月の終わりのことだった。

 元気だったじいちゃんが、本当に何の前触れもなく亡くなった。
 ピンピンポクリとは、まさにこのことと大人たちは泣きながらも、大往生だと頷き合っていた。

 おかげでかなり久しぶりに、いとこのたっくんこと、タクミくんに会えることとなり、不謹慎かなと思いながらも僕は少し嬉しかった。
 そして何より、学校に行かない「正当な理由」を得た気もして、後ろめたさ

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【ショートショート】 私の中の海

【ショートショート】 私の中の海

ついさっき、怪我をした。

数年ぶりの怪我らしい怪我で、あまりに久しぶりに自分の血を見たものだから、必要以上に驚いた。

怪我らしい怪我とは言ったものの、実際別に大したものではない。
ハサミを使っていたときに、少し手元が狂って左手の指先を切った程度のものだ。

止血をするために、右手で切った指の付け根をぎゅっと抑える。ぐっと力が入ったことで、傷口の近くに集まっていた血がわっと盛り上がる。

それは

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【ショートショート】 椅子の話

【ショートショート】 椅子の話

 その部屋には、革張りの立派な椅子があった。
 見た目どおりどっしり重くて、簡単には動かせないくらいの一人掛けソファーのようなものだ。

 長い間、それなりに手入れをされてきたのだと思う。触るとつるつるしていて、ぴかぴかに光沢が出るくらいよく育った革だった。

 それは、祖父の家の西側にある、風通しのよい部屋に置かれていて、よく祖父が西陽の眩しさの中まどろんでいるのを見かけた。
 夏場は暑いくらい

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