ときの砂 作/yoake 絵/happy bird
あらすじ
『ときの砂』を首に下げて、
みんなの記憶を未来へと運ぶ、ふくろう。
そんなふくろうは月に一度だけ、森へ還ります。
理由は、知られざるふくろうの生い立ちにありました。
これはふくろうと、どうぶつたちの物語。
静まり返った深い夜、月が闇を照らす。
風が木々を揺らし、
森に住む者たちへふくろうの気配を知らせる。
『ほう、ほう』と鳴きながら降り立つふくろう。
森に住む者たちが、一斉に集まった。
月に一度、森へ訪れるふくろうは、『とき』を運ぶ。
ふくろうが話し始めた。
『静かだ。とても。月の光が程よく暖かい。
皆の衆、いかがお過ごしでしたか。
今宵、ようやくこの森へ戻ることができた。
揃って出迎えてくれたこと、感謝します。』
丁重に挨拶をするふくろうに、尊敬のまなざしを向ける森の者たち。
『お待ちしておりました。
お戻りになられたこと、
心より喜び申しあげます。
長旅のほど、お疲れでしょう?
どうぞ羽を休めてください。』
森の長、たぬきがキャンドルに火を灯しながら、ゆっくりと話しだす。
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