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サラダバス|毎週ショートショートnote
バスが停まると、乗客席の中ほどに座っていた男が突然立ち上がり、運転席のそばへと歩いて出た。手にはライフル銃のようなものが握られている。
「このバスはオレが乗っ取った。これから全員、言うとおりにしてもらう。おとなしくしていれば命は保証する」
満員の乗客たちを見回しながら、彼はポケットから大きめのビニール袋を取り出した。
「おまえたちが持っている野菜サラダをこれに詰めるんだ。このバスの中にある野
サラダバス #毎週ショートショートnote
そこはバスの中だった。
「起きたかい?」
レタスに話しかけられて僕は驚いた。
「どうしたの?」
玉ねぎが心配そうに言った。
「どうして野菜が喋ってるの?」
「ここがサラダバスだからさ」
そういえばママが言ってた。「好き嫌いしてたらサラダバスに乗せられちゃうよ」って。
見ると、トマトやパプリカ、その他にもいろんな野菜がいた。
バスが停止して、コーンとブロッコリーが茹でバスから乗り継いでき
涙鉛筆2【毎週ショートショートnote】
先月我が社が販売に漕ぎ着けた新製品、『ティアーズペンシル』通称"涙鉛筆"の売上が好調とのことだ。
どんなものでも滲ませることができる涙色の彩色ができると新しもの好きの文具女子のあいだで人気らしい。
あまりに多用すると嘘泣き鉛筆になってしまいますよ、と注意書きを入れなくてはならないくらい使われているそうで、発案したのが新入社員だというからたいしたものだと思う。
実はこの鉛筆、工場での製造方法が
動かないボーナス【毎週ショートショートnote】
子供が産まれてから、家の中は荒れる一方だった。
食事も洗濯も最低限、掃除に至ってはほぼゼロだ。
でももちろん不満なんかない。家事と育児を一手に引き受けてくれる妻には感謝しかない。
そんなある日、ふと気づいた。
今日は妻の誕生日だ。毎日頑張ってる妻をねぎらってあげなきゃ。
俺は帰りに大きな花束と豪華なホールケーキを買った。きっと喜ぶぞ。
「ただいま!ほらこれ!」
「……?」
「今日は君の誕生日だ
ショートショート「サブスク彼女」(読了時間3分)
サブスクリプション、略して「サブスク」と呼ばれるサービスがずいぶんと増えてきた。
元々は音楽や動画の配信サービスなどで使われ始めた言葉で、定額で継続的に課金すればサービスが使い放題になる。
サブスクは今では様々なジャンルに広がっている。車や飲食店、オモチャのサブスクなんかも存在する。
そんな中で、僕が今ハマっているのが…
「お待たせ!」
弾むような声で、彼女が僕に話しかける。
「
ショートショート 落っこちるなら【ショートショート100|No.18「雨具」|400文字】ヒスイさんといっしょ
「ねえ、落っこちるならどこがいい?」
雨雲のお母さんの中で雨粒のこどもが仲間たちに聞きました。
「そうだな。屋根の上がいい。」
やんちゃな雨粒のこどもが言いました。
「瓦をさーっと滑り降りるんだ。きっと楽しいよ。」
「私は海の上がいい。」
のんびりな雨粒のこどもが言いました。
「そしたら私、海になれるでしょう? 大きな大きな海に。」
みんなの思い思いの場所に、聞いた雨粒の子供は、びっ
【ショートショート】珍しい箱
むかしむかし、あるところに大層食いしん坊なお殿様がおられたそうな。
お殿様にはある悩みがありました。
いつも食事の時間を楽しみにしているのですが
目の前で家来が必ず長い時間をかけて料理の毒味をし
いざお殿様が食べる時にはすっかり冷めてしまいます。
「一度でいいから熱々を食べたいのぉ」
何度か家来に命令しましたが
「殿の身を案じての事のでございます」の一点張りで叶いません。
ある日、遠方からはるば