たろぺッツ

たろぺッツ

記事一覧

“ドライブアウェイ・ドールズ”を観て

イーサン・コーエンの作品 80年代を彷彿させる自由奔放な生き方のジェイミー 一方で、自閉症がちな堅物キャラのマリアン ジェイミーのレズビアンはジェンダーをマリアンの…

たろぺッツ
4週間前
2

“クジラアタマの王様”を読んで

ラテン語でハクビシンのことを指すらしい 発表された2019年は、コロナ感染が広まった年だ 物語は、見ず知らずの3人が夢と現実で繋がる、パラレルワールドで展開され、ハク…

たろぺッツ
1か月前
2

“フェラーリ”を観て

終始ダンディズムを感じたマスキュリズムではない 正妻ラウラと亡くなった息子ディーノへの想い ラウラは関係性は破綻していても、共同経営者として企業を支え続ける 小切…

たろぺッツ
1か月前
1

“関心領域”を観て

 人のエゴは第三者の目線つまり社会的評価によって、善悪の判断さえも全く異なってしまうのが主題のように思える。  興味深いのは、戦時下特有の時代背景によるというよ…

たろぺッツ
2か月前
2

” マッドマックス フュリオサ“を観て

北斗の拳に影響を与えたジョージ・ミラーの作品は、他の追随を許さない突出した世界観の一言に尽きる。 今回は怒りのデスロードのフュリオサに焦点当てた番外編の位置付け…

たろぺッツ
2か月前
2

“シーソーモンスター”を読んで

対立する二人という螺旋プロジェクトの設定で書き下ろされた作品で、”スピンモンスター“との二作で分かれているが、時代設定が違っており、本筋は違うが実は一つの繋がっ…

たろぺッツ
2か月前

“ゴジラ-1.0”を観て

CGを使わずに昔ながらの特撮で、戦後の日本を撮っているが、フィルムやカメラワークは今風であるギャップが心地よい斬新さを醸し出している。 戦時、戦後の過程での人との…

たろぺッツ
3か月前
1

“オッペンハイマー”を観て

クリストファー・ノーランらしく、フィルム・ノワールでないが、映像や世界観にグレーな印象を受ける。 エンリコ・フェルミ賞を受賞した知識人であり、先入観をもつが、あ…

たろぺッツ
4か月前
1

“東京都同情塔”を読んで

キーワードから話が展開し、そこから次のワードが出てまた話が展開し マトリョーシカのように、開けたら次といった印象を受けた だが、キーワードを調べてみると、 シンパ…

たろぺッツ
6か月前

”逆ソクラテス”を読んで

伊坂幸太郎の話は大抵、題名が本題と絡むことはないが、十中八九、話の道標になっていることが多く、今回は決めつけを無知の知の逆であるとして比喩っているところからきて…

たろぺッツ
7か月前
1

"君たちはどう生きるか"を観て

演題からくる道徳観は全くなく何か自分探しの旅の感じで 海辺のカフカのように現実から非現実世界へ飛び込み そこから一気に深層心理が具現化する感じでもあった 亡くなっ…

たろぺッツ
7か月前

”首”をみて

これは脚本が相当練られている ラスト”俺にとっては首なんてどうでもいいんだよ”で一気にエンディングに入るが そう、別にタイトルに意味はないけどって感じな喜劇に受け…

たろぺッツ
8か月前
2

“二番目の悪者”を読んで

噂を流した者が悪者というのは誤りだと考える 勧善懲悪とは常に片側視点の疑念が生じる 例えば第二次世界大戦の勝者は連合国であるが ファシズムを産んだ一つのきっかけは…

たろぺッツ
9か月前

“キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン”を観て

デイヴィッド・グランのノンフィクション「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」が原作で、石油発掘で一財を手にした先住民オーセージ族を言葉巧みに操り…

たろぺッツ
10か月前
1

”フーガはユーガ”を読んで

不幸とは、逆境を越えることで、運命を切り開くことに繋がる。 双子の風雅と優雅は母に捨てられ、明らかなDV依存症の父親に育てられる。 暴力に対する諦めに似た従順性があ…

たろぺッツ
10か月前

“アステロイド・シティ”を観て

スカーレット・ヨハンソン、トム・ハンクス、ティルダ・ウィンストン、エドワード・ノートン、ウィレム・デフォー、マーゴット・ロビーと出演者の顔触れが凄い 劇画のよう…

たろぺッツ
11か月前
2
“ドライブアウェイ・ドールズ”を観て

“ドライブアウェイ・ドールズ”を観て

イーサン・コーエンの作品
80年代を彷彿させる自由奔放な生き方のジェイミー
一方で、自閉症がちな堅物キャラのマリアン
ジェイミーのレズビアンはジェンダーをマリアンの堅物キャラはインド系の躍進を感じさせ、現代社会を色写している
一方、冒頭のスーツケースの奪い合いやその後のギャングのやり取りはコーエンならではのシニカルなコメディタッチを感じさせる
全編に渡ってテンポが早く軽い感じは、何かロックンロール

もっとみる
“クジラアタマの王様”を読んで

“クジラアタマの王様”を読んで

ラテン語でハクビシンのことを指すらしい
発表された2019年は、コロナ感染が広まった年だ
物語は、見ず知らずの3人が夢と現実で繋がる、パラレルワールドで展開され、ハクビシンとの攻防が見てとれるように書かれる
伊坂作品の特徴として、前振りが多い割にクライマックスは淡々と進むことが多い気がする
感動モノよりストーリーの構造に力点をおいてるから、感情の移入が少ないのかもしれない
とはいえ、ハッピーエンド

もっとみる
“フェラーリ”を観て

“フェラーリ”を観て

終始ダンディズムを感じたマスキュリズムではない
正妻ラウラと亡くなった息子ディーノへの想い
ラウラは関係性は破綻していても、共同経営者として企業を支え続ける
小切手を現金化したが、無条件で貸付し、生きている内は認知をしないで欲しいとお願いする
愛人リナ・ラルディとその子ピルロの関係性
リナは多くを求めないが、ピルロへの認知には想いがある
エンツォの類稀なる自動車設計の才覚とレーシング界へのこだわり

もっとみる
“関心領域”を観て

“関心領域”を観て

 人のエゴは第三者の目線つまり社会的評価によって、善悪の判断さえも全く異なってしまうのが主題のように思える。
 興味深いのは、戦時下特有の時代背景によるというより、現代社会でも十分通じるものだということだ。
 ウクライナやパレスチナの紛争で、モスクワやエルサレムの意外に裕福にみえる様子は、程度の差はあれ映画と同様な状況にも映る。
 国家という枠に一般の人が抗うことは到底難しく、大多数の人間は、その

もっとみる
” マッドマックス フュリオサ“を観て

” マッドマックス フュリオサ“を観て

北斗の拳に影響を与えたジョージ・ミラーの作品は、他の追随を許さない突出した世界観の一言に尽きる。
今回は怒りのデスロードのフュリオサに焦点当てた番外編の位置付けだが、本作並みの見応えである。
この世紀末の破滅感は、二十世紀に出来たものだが、隣国との紛争が絶えない現状では、性善説として風刺しているようにも見え、爽快感すら漂う。
行き詰まる社会には、やはり強烈な個性が求められるのだろうか。

“シーソーモンスター”を読んで

“シーソーモンスター”を読んで

対立する二人という螺旋プロジェクトの設定で書き下ろされた作品で、”スピンモンスター“との二作で分かれているが、時代設定が違っており、本筋は違うが実は一つの繋がった世界が元になっている
シーソーモンスターは嫁姑、スピンモンスターは交通事故を共にした同級生が、犬猿の仲のような敵対関係として描かれるが、どちらも最終的には助け合いや共存に近い関係へ進化していく
これは、敵対と思っていたのは自身の心の中に作

もっとみる
“ゴジラ-1.0”を観て

“ゴジラ-1.0”を観て

CGを使わずに昔ながらの特撮で、戦後の日本を撮っているが、フィルムやカメラワークは今風であるギャップが心地よい斬新さを醸し出している。
戦時、戦後の過程での人との関わり方が、現実離れしたフィクションの印象を強く受けるが、神木隆之介、安藤サクラら俳優の演技力は一級だし、アカデミー賞で視覚効果部門賞をとったのは納得の内容だった。

“オッペンハイマー”を観て

“オッペンハイマー”を観て

クリストファー・ノーランらしく、フィルム・ノワールでないが、映像や世界観にグレーな印象を受ける。
エンリコ・フェルミ賞を受賞した知識人であり、先入観をもつが、あくまで人物像に焦点が向けられ、戦争の映像が一切ないのは意図的だと受け取れる。
冒頭の星が圧縮する空想世界は、ブラックホール発見に繋がったが、原爆を完成させる起源にもなる。
知的探求の好奇心が倫理観を越えるといったとこか。
人一倍強い探求心が

もっとみる
“東京都同情塔”を読んで

“東京都同情塔”を読んで

キーワードから話が展開し、そこから次のワードが出てまた話が展開し
マトリョーシカのように、開けたら次といった印象を受けた
だが、キーワードを調べてみると、
シンパシータワートーキョー = 東京都同情塔
サラ・マキナ = マサキ・セト
ザハ・ハディド = マックス・クライン
ホモ・ミゼラビリス = ウェル・ビーイング
と完全ではないが、対応の関係にある言葉がみつかる気がした
すなわち、言葉から構図を

もっとみる
”逆ソクラテス”を読んで

”逆ソクラテス”を読んで

伊坂幸太郎の話は大抵、題名が本題と絡むことはないが、十中八九、話の道標になっていることが多く、今回は決めつけを無知の知の逆であるとして比喩っているところからきている。
話は担任の先生の決めつけや先入観を打ち負かすために、仲間でカンニング、絵コンテスト、通り魔事件、プロ野球選手からの指導といった機会で鼻をへし折るような画策を練り上げ、淡々とスリリングな展開が繰り広げられる。
ただ、ラストは一気に時間

もっとみる
"君たちはどう生きるか"を観て

"君たちはどう生きるか"を観て

演題からくる道徳観は全くなく何か自分探しの旅の感じで
海辺のカフカのように現実から非現実世界へ飛び込み
そこから一気に深層心理が具現化する感じでもあった
亡くなった母が銀河鉄道の夜のカムパネルラのように
成長途中の自我の抑制を背中を押してくれ
父と継母との関係性の構築へ現実へと戻るのだが
申し分のないジブリの世界観が素晴らしかった

”首”をみて

”首”をみて

これは脚本が相当練られている
ラスト”俺にとっては首なんてどうでもいいんだよ”で一気にエンディングに入るが
そう、別にタイトルに意味はないけどって感じな喜劇に受け取れる
ただ、全編を通して、史実は変わらないが、そこからの人物描写や会話は今までのドラマや映画のそれともまるで異なる独自色を出してる点が秀逸過ぎる
名古屋弁丸出しの信長やどちらかというと家康のイメージ感がある秀吉などは、今までに無いキャラ

もっとみる
“二番目の悪者”を読んで

“二番目の悪者”を読んで

噂を流した者が悪者というのは誤りだと考える
勧善懲悪とは常に片側視点の疑念が生じる

例えば第二次世界大戦の勝者は連合国であるが
ファシズムを産んだ一つのきっかけは賠償金であり
1320億マルクを課した英仏の貸付先は米国である
当然ながらモルガン商会が責められることはない

帝国主義による覇権争いが第一世界大戦の端であり
レーニンが唱える資本主義の最終段階を是とすれば
元は産業革命が産み出した市場

もっとみる
“キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン”を観て

“キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン”を観て

デイヴィッド・グランのノンフィクション「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」が原作で、石油発掘で一財を手にした先住民オーセージ族を言葉巧みに操り財産を強奪していく話である。
レオナルド・ディカプリオが、往年のマーロン・ブランドと重なって見え、ロバート・デ・ニーロが霞んで見えるぐらい、演技力が熟していた。
マーティン・スコセッシのフィルムワークもまた素晴らしい。
時代背景が開拓史

もっとみる
”フーガはユーガ”を読んで

”フーガはユーガ”を読んで

不幸とは、逆境を越えることで、運命を切り開くことに繋がる。
双子の風雅と優雅は母に捨てられ、明らかなDV依存症の父親に育てられる。
暴力に対する諦めに似た従順性があり、DV家庭に特有の症状である。
だが、この話の風雅と優雅は逞しく生きていく。
誕生日に2時間おきに入れ替わる超能力的な力を授かった。
このギフトが様々なトラブルを解決する力になる。
だが、ギフトはあくまでキッカケに過ぎない。
あくまで

もっとみる
“アステロイド・シティ”を観て

“アステロイド・シティ”を観て

スカーレット・ヨハンソン、トム・ハンクス、ティルダ・ウィンストン、エドワード・ノートン、ウィレム・デフォー、マーゴット・ロビーと出演者の顔触れが凄い
劇画のような話の展開だが、色褪せたパステルカラー調のフィルムが独特の世界観を産んでいる
話の内容より、独特の世界観と豪華キャストの演技に魅せられる感じ
中でもスカーレット・ヨハンソンの妖艶な感じとトム・ハンクスの厳つい感じがさすがだった