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素晴らしいnote集

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皆さんが人生で培った経験が、古今東西、普遍的価値をもつnote
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#短編小説

ハイジと「傭兵」のお爺さん

ハイジと「傭兵」のお爺さん

大自然の中のハイジは輝いている

スイスの景色は素晴らしい。
限りなく緑の山々が続き、牧場の空気がおいしい。
遠景に見えるアルプスの山々・・・
アニメの「ハイジ」の世界が広がっている。

ハイジは可愛いですね。特にアニメに描かれている少女に備わっている
自然の賢さ・他人を愛する姿勢のすなおさに感動しない人はいないですね。
それに、頑固爺の愛情にあふれた「まなざし」に共感する人が多いで

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【短編小説】石鹼に励まされた話

【短編小説】石鹼に励まされた話

 もし石鹼と会話ができる能力を手に入れてなかったら、僕はいまだに出口の見えない人生の迷路をさまよっていたに違いない。石鹼のおかげで僕は生きる指針を手に入れることができたんだ。

 流れ星に必死に願い続け、ある日ついにその能力を手に入れた。

 急いで家に帰ると、流しの隅に置いてある古びた石鹼に声をかけた。

「あのー、石鹼さん」

 石鹼はぎょっとして僕を見る。そりゃそうだ。今まで話しかけられるこ

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小説 ある兵士Aと兵士Bの話 

小説 ある兵士Aと兵士Bの話 

 兵士Aは、ただ死を望んでいた。
 彼は天涯孤独だった。彼はこの世界に対して希望を抱けなくなり、ついに願った。「早く死にたい」と。
 彼は自分の生きる時間を縮めるために兵士となった。

 兵士Bは、死にたくなかった。
 兵士として働いて得たお金で、貧しい家を立て直して父や母、幼い兄弟に楽をさせたかった。故郷にいる恋人との結婚資金も必要だった。
 彼はより良い生を送るために兵士となった。

 これは

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#創作大賞2024  #漫画原作部門 仇討ちのその後 最終話

#創作大賞2024 #漫画原作部門 仇討ちのその後 最終話

あらすじ
 家族の敵を討って空っぽになった「私」と、刺客に狙われ続ける男。男もまた、家族の敵である王を討った後、虚しさにとらわれていた。過去を清算するために、男と「私」は刺客を放っている王の弟を倒しに向かう……。

 先代の王の弟は、王が殺されたのを機に、西のはずれにある小さな城に暮らすようになったとのことだった。

 先代の王を補佐する立場にいながら、悪政に対して見て見ぬふりをしていたということ

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#創作大賞2024  #漫画原作部門 仇討ちのその後 第2話

#創作大賞2024 #漫画原作部門 仇討ちのその後 第2話

あらすじ
 家族の敵を討って空っぽになった「私」は刺客に狙われ続ける男とともに旅をし、次第に生活に心地よさを見いだす。このあと、男の過去が明らかになる。

 ある国についたとき、男は「行きたい場所があるんだ」と言った。どこに行くのかと思えば、小綺麗な家についた。

 男は「危険がないか中を見てくる」と言って私に外で待つように指示をした。しばらくすると男が出てきて私に入るように言った。

 恐ろしい

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#創作大賞2024 #漫画原作部門 仇討ちのその後 第1話

#創作大賞2024 #漫画原作部門 仇討ちのその後 第1話

※創作大賞2024 漫画原作部門 に応募いたしました。第1話:約2700字、第2話:約3000字、第3話:約2300字の合計7000字です。お時間のある時にお読みいただけると幸いです。では、以下あらすじと本編です。どうぞよろしくお願いいたします!

あらすじ
 家族の敵を討って空っぽになった「私」と、刺客に狙われ続ける男。2人が見出す「生きる意味」とは。

 

 ドサリ、と男は倒れると、もう二度

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【短編小説】支柱

【短編小説】支柱

俺はとなりにいるあさがおを横目で見て舌打ちをする。
今日もきれいに咲いていやがって。一体誰のおかげでここまでこれたと思っているんだ。

いつも注目の的は、あさがおだ。
支柱である俺にはだれも見向きもしない。

この前、子どもが熱心に書いてた絵日記には、やっぱりお前しか描かれてなかった。

きっと、俺はこのまま誰の記憶にも残らず一生をおえるんだろう。

ある日、あさがおに異変が起きた。
鮮やかな色は

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【短編小説】「神よ、」

【短編小説】「神よ、」

 西への旅の途中で、ある異国の地を訪れた。

 正午を告げる鐘がなったその時。ところどころ崩れてぼろぼろになった石造りの神殿に群衆の大合唱が響いた。

「神よ、我らをお助けください!」
「お助けください!!」

 皆、つぎはぎだらけの貧相な服を着て、天を仰いでいる。虚ろな目で必死に叫んでいるさまは、まるで酒や薬物におぼれているかのようだった。

(……すごいところに来てしまったな)
 私は内心苦笑

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【短編小説】三途の川の渡し賃が足りない

【短編小説】三途の川の渡し賃が足りない

「ハイ、次の人ー」
 そう呼ばれると、僕はいそいそとポケットの中からお金を取りだして渡した。

「ん? 足りないですよ。あともうちょっとないですか?」

「えっ……」
 あいにくもう手持ちはない。目の前が真っ暗になる。

「じゃ、戻ります?」
 係の人は現世の方向を指で示してみせる。

「いや……それはいやです」
 控え目ながらもはっきり言うと、係の人の目が丸くなった。

 三途の川の渡し賃がたり

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【短編小説】分断がある国 あとがき

【短編小説】分断がある国 あとがき

 みなさま、物好きにこのあとがきまで来てくださって本当にありがとうございます!

 【短編小説】分断があった国はいかがでしたでしょうか。
論理が破綻しているところがなければ良いのですが…(笑)。

 さて、私が最近考えていることなんですが、

「相手が自分と別の世界の住人だと感じる」時ってないですかね?

 私は結構あって。
出会った瞬間、「あーなんかこの人とは話が合わないかもな」みたいな(笑)

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【短編小説】分断がある国

【短編小説】分断がある国

 その国の人たちには、妙に隔たりがあった。

 複数の民族がいるわけではない。
 言語が違うわけでもない。
 ましてや、経済的な格差がはげしいわけでもない。

 他国と比べると均一的な国なのに、なぜか隔たりが生まれ、人々が2つに分かれてしまうのだ。

 例えば、4人で議論を始めると、自然と2人ずつに分かれてそれぞれで話が盛り上がり、全員での議論が進まない。

 小学校でいすとりゲームをしようと、ク

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