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詩と小説。目指せ太宰治!

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自分の中の痛みや弱さ、その時感じた事。詩と小説で表現していきます。その内温かい作品も出てくると思います。ありのままに、素直に正直に。
弱さを表現する事で誰かの太宰治になれたら。最後は前向きな締めくくりの文章になってます。読んで頂けた…
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2020年12月の記事一覧

嗚呼、私のこの身体よ。

嗚呼、私のこの身体よ。

嗚呼、私のこの身体よ
貴方には、可能性がある
握りしめた手に
明日と光がある

三十と幾年か経っても
私にはまだ
貴方に甘えられる心がある
遠い明日を夢見る心がある

人と明日を信じる事

それは
強い意志で成り立つ事を
知った

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蓄膿とあなた。

蓄膿とあなた。

 蓄膿になった。私は蓄膿の匂いが好きだ。宇宙と繋がった。そんな気がして恍惚となる匂いだ。そうあなたに伝えたら馬鹿にされた。頭おかしいんじゃないのって笑われた。
 私は知ってる。あなただって人から馬鹿にされるようなくだらない事に夢中になれる事。そうそう、足の裏の匂いが好きだよね。耳の裏を掻いた後に指の匂い、嗅ぐよね。その姿見て、嫌がりながら笑う時間も嫌いじゃないんだよ。
 子供みたいで、ピュアで純粋

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お父さん。

お父さん。

 父親の、娘に対する愛情って、並々ならぬものがあると感じます。勿論自分の父親からも感じるし、通りすがりの親子を見ても思います。年頃の娘が、お父さんに素直に甘えている姿を見ると、泣きそうになる位幸福な光景だと感じます。少し気恥ずかしい気持ちも感じながら。
 私自身は、小さい頃から父親の並々ならぬ愛情を感じながら、その不器用な愛情表情に反発心も感じていました。父が私に触れるのは、家族写真を撮る時に肩を

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家族の季節の形。

家族の季節の形。

 大晦日の宴の買い出しのついでには、毎年お餅を買う。正月にはお雑煮をして、冬の間に食べきる。
あべかわ、磯辺焼き、おしるこ。冬のお昼ご飯の楽しみだ。
 冬になると、甘酒も良くやる。実家の父が作った甘酒は、麹の粒が大きいやつで、小さい頃は嫌いだったけど今はたまに飲みたくなって、粒ありのと無しのを交互に買っている。

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北国の冬。

北国の冬。

 北国の冬は寒い。外に出て、家に帰って来ると冷えた手や、身体の奥が、ストーブの熱で溶けていくのが分かる。だが、それも全部ではない。芯が、いつまで経っても冷えたままだ。それを溶かすにはお風呂に入るしかない。
 何かしらの用事で外に出て、一日中身体が冷えたままでいると少しずつ、少しずつ、疲労感が溜まっていくのが分かる。夏の暑さとはまた違った身体の疲れ方。

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雑草。

雑草。

踏まれても
強風に晒されても
咲いている
雑草に
意味をつける
事なんて
馬鹿げている

そう言う人も
いるかも知れない

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血脈。

血脈。

 冬空の凍てつく寒さが、身に染みる。カラっと晴れた空の下、足を滑らせながら、コンビニに急ぐ。
何枚かの小銭を握りしめて、今日のご褒美を買いに。
 続いていくやらなきゃいけない事達。代わり映えのないようで、少しずつ変化していく日々。そんな日々に細やかな彩りを与えて、一歩でも前に、進んでいく。

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ご機嫌に過ごそうじゃないか。

ご機嫌に過ごそうじゃないか。

 剥がれた赤いマニキュア。生活感に溢れた短い爪。でもその短い爪と、骨ばった短い指が、私はちょっと気に入っている。大きなあの人の手に包まれる時、自分の存在の心許なさと同時に、力強さも感じる。
 今、ここで、踏ん張って、前を向く自分を。

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魂の目指す処。

魂の目指す処。

 魂のレベルで
人と人の存在が呼応し合っている

それを感じる事が可能なのかも知れない
と思う瞬間がある。

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大事な人。(内観的私的小説)

大事な人。(内観的私的小説)

優しい事を言ってくれる人だけ周りに置いとけばいいんじゃない。そういう事を言ってしまう事が私にはある。皮肉とも突き放した言い方とも言えるそんな冷たい一言を。
頭で考える前から、暴言が口に出てしまう、そんな瞬間。あなたは優しい。そう言われた事が何度あっただろう。自分でも、そう思っていた。目の前にいる相手が幸せであって欲しい。そして共に笑い合いたい。そう思って笑顔や気遣いや思いやりをバラまいてきた。本当

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冬の足音(自叙伝的短編小説)

冬の足音(自叙伝的短編小説)

 白い枝のクリスマスツリーが欲しいと何年も前から思っていた。赤い飾りが映えるやつ。キラキラした玉や、リボンをこれでもかと付けて部屋の片隅に置きたかった。
「今年も買えなかったな」
そう思いながら、コーヒーの茶色が染み込んだカップで安い粉のコーヒーを今日も飲む。コーヒーカップの染みをクレンザーで磨いたのはいつの事だっただろう。ネットオークションで格安で買った花柄のコーヒーカップが与えてくれた、買った

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