騒がしい夏が来た
長雨が続くと耳の奥に雨音が染み付いて
雨が止むとその静けさが
なんだか逆に煩わしかったり寂しかったり
だけどもこれでようやく
しばらくは静かになるんだなあと
思っていた矢先に
お次は蝉の声が降り注いできた
しゃんしゃんしゃんと
土砂降りのように頭の上から降り注いでくる
鳴きわめくクマゼミの大合唱
雨雲が切れてのぞく青空の下
むわっとする重たい空気の中で
なぜにそこまで元気なのだと
問いかけたくなるくらい
生命力溢れるその声に
ぐったり汗だく呆れて茫然自失
なすすべもなく聞き入るしかない無力感
傍若無人有形無形な音の塊
豊かな緑と煌めく太陽
小さな身体で夏を飲み込み
自分たちの生命でもって夏を盛り上げる
蝉たちの力強さは圧倒的だ
だくだく垂れ流す汗のたま
360度全方位から包まれる蝉の声
球体状の雨粒としての破裂音と
生命力を音符に変えての合唱曲
どっちが好みかと聞かれても悩むところ
かき鳴らされる真夏の代表曲
耳に張り付き頭の中で繰り返し繰り返し
昼も夜も関係なくかき鳴らされる夏の音
暑さも相まって止まらない汗の玉
ダラダラしゃんしゃんぽつぽつ
弾ける音があらゆるところから聞こえてくる
落ち着かない
それが夏なのだとしたら
僕はその夏の真っ只中にいる
静かな季節が恋しい反面
静かになったらなったで
寂しかったりするから
気持ちは複雑だ
あぁ騒がしい夏が来た
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