いつもとは違った朝
不思議な朝だった
なにか変だなと眠りの底で
僕は唐突にそう感じた
そのなにか変だなあは意識していくにしたがい
どうやらそれは自分を取り巻く
状況にあるのだと分かってきた
それがなんなのか分からない、、
分からないが確かに変だ
、、ん?
、、、変だないつもならうるさいくらいなのに
今日は嫌に静かすぎる
全くの静寂だ
際立つ静けさがむしろ違和感となって
僕の眠りを覚まさせた
朝6時の違和感
この変てこりんな感覚はなんなのだろうと
僕はぼんやりする頭で考えた
自分を取り巻く周囲の状況に意識を向ける
昨日と今日と記憶による今日の天気
総合して照らし合わせて
導き出されたのは
聞こえるものが聞こえないのだ
当たり前にあったものが
今日は見当たらないのだ
雨はしばらく降らないはずだ
雨ならば聞こえないのもわかる、、
だが、今日も暑くなると
天気予報は言っていたはずだ
どこに行ってしまったのだろう
夏が終わるには
まだ早いはずだろうに、、
蝉たちよ、、
夏の代名詞たちよ
どこに行ってしまったのだ、、
意識を集中させて
耳を澄ませてみるが
、、、、、
何も聞こえない
いつもはうるさいくらい
鳴き喚いていた蝉の声が
今日は聞こえないのだ
どうして?
分からない、、
1匹や2匹がたまたま
いなかったとかではない
全く聞こえないのだ
ただの一匹もいない、、
時折アパートの前を電車が走る音が
聞こえるだけでその異質な静けさが
たまらなく気になってしまい
眠気はどこかに行ってしまった
夏の当たり前がぽっかりと失われた
朝に目覚めた僕は
見知らぬ世界に迷い込んだ
迷子にでもなってみたいな気分だった
弾ける音符がいつの間にか我が頭に
しっかり染み込み 当たり前になっていた事に
いまさらながら思い知らされた
寂しいとはこの事なのだろうか
悲しいとはこの事なのだろうか
たまたま今日の朝
僕の住むアパートの周囲の木々に蝉が
全くの1匹も止まっていなかったと言う事も
あり得るわけだ
夏が終わるだなんて信じられない
熱い夏
巡る地球と太陽の関係は
これからがクライマックスだろうに、、
蝉たちよどこに行ってしまったんだ、、
もっともっとこの夏を盛り上げて
いってもらわなければ困るのに
熱い夏には蝉の声がなくてはならないのに
その朝は静かすぎて
むしろうるさいくらい気になり
わんわん鳴きまくる蝉の声が
どこからか聞こえてこないものだろうかと
ついつい聞き耳をたててしまったほどだった
微かに戸惑い少し寂しい気持ちを抱えたまま
職場に向かう木曜日の早朝
気持ちのどこかで探す蝉の声
一匹でも鳴き声が聞こえたのであれば
僕の気持ちも少しは落ち着きを取り戻すだろう
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