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歴史・郷土史・民俗

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2023年2月の記事一覧

山下清、天衣無縫の大将 その3

山下清、天衣無縫の大将 その3

※これは2022年に書いたもので、記事中の情報も当時のものです。

●民藝家山下清

実は山下清にも民藝家としての性格がある。茨城大学の藤原貞朗(ふじはらさだお)氏の指摘によると、テレビドラマの印象で「放浪の画家」というイメージの強い山下清だが、実は陶磁器作品こそ彼の注力の的であり、「放浪の陶芸家」「放浪の絵付師」と呼んでもいいという。そしてその足跡は、湯町(ゆまち/島根)・小鹿田(おんた/大分)

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山下清、天衣無縫の大将 その2

山下清、天衣無縫の大将 その2

※これは2022年に書いたもので、記事中の情報も当時のものです。

●「民藝(みんげい)」という美の提案

前章の「あるがままの美しさ」という考えを、柳宗悦(1889-1961)らが体系化して提唱したものが「民藝(みんげい)」である。民藝とは何か、日本民藝協会の説明を見てみると、

とある。すなわち柳は、これまで顧みられることのなかった、日本津々浦々の名もなき工匠の、名もなき実用作品の中に潜む美に

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山下清、天衣無縫の大将 その1

山下清、天衣無縫の大将 その1

※これは2022年に書いたもので、記事中の情報も当時のものです。

●山下清と北迫正治(しょうじ)

今春、垂水市立図書館では、「山下清と北迫正治の世界」という展示会が開かれていた。
ご存じ山下清(1922-1971)は、1956(昭和31)年、当時大学生だった川畑弘見さんという方に連れられて垂水に来ており、3週間ほど市内の民家に逗留しながら、風景や人物を描いている。

元垂水出身の北迫正治(19

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