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「運動脳」を読んでの感想:運動で不安を減らし、集中力を高めよう!

「運動脳 アンデシュ・ハンセン (著)、 御舩由美子 (翻訳)、 サンマーク出版 、2022年」を読んでの感想や、自分が気に入っているポイント、不安を軽減するための実践などについて書いてみました。

(あくまでも、私の主観や憶測を書き記した仮の意見です。なんらかの価値観を読まれた方に押し付ける意図はございません。) 



①   自分なりにまとめると

「心拍数」が高い負荷のかかる運動を習慣的に続けると、心身が健康になり、脳の働きが強化されるということが、色々な研究論文を元にわかりやすく説明されている本だと思います。
※巻末に参考文献一覧のURLが記載されていました。

 ・『脳のための最高のコンディションを保つためには、ランニングを週に3回、45分以上行うことが望ましい。重要なポイントは、心拍数を増やすことだ。(p355)』
・『たとえわずかな一歩でも脳のためになる、…より高い効果を望むなら、最低30分のウォーキングをしよう。(P355 )』
・『週に数回の運動を半年ほど続ければ、目覚ましい変化を実感することだろう。(p356)』

 と、最後の10章「運動脳マニュアル どんな運動をどのくらい?」にどのような運動をどれくらいすればいいかの目安もまとめられていると思います。

 心拍数を増やすことに関しては、

・『理想的な心拍数の目安は、最大心拍数(220から年齢を引いた数字)の70~75%だ。たとえば、あなたが40代であれば、1分あたり130~140回を目標にするとよい。…(P160 )』

 と記載されているので、自分の年齢で計算すれば、運動で目指すべき心拍数も具体的にわかると思います。

私の場合(アラフィフ)なので、心拍数130くらいを目標にすればいい感じです。

 心身の健康に関しては、運動によって脳の働きが強化されると、不安の軽減が期待できるとも記載されていると思います。

 ・『身体を動かすことで「心拍数や血圧が上がっても、それは不安やパニックの前触れではなく、よい気分をもたらしてくれるものだ」と運動が脳に教え込むのである。(p105)』
・『運動を終えるとコルチゾールの血中濃度が下がり、次回からはあまり上がらなくなる。また、ストレス反応のブレーキペダルである海馬と前頭葉が強化され、不安の引き金である偏桃体の活動が抑えられる。(P87 )』
・『運動をした直後にドーパミンの分泌量が増えることがわかっている。運動を終えた数分後に分泌量が上がり、数時間はその状態が続く。(p138)』

 運動によって、海馬と前頭葉が偏桃体を制御できるようになったり、ドーパミンの分泌により報酬系の心地よい感覚が発生したり、継続して運動することで、コルチゾール(ストレスホルモン)の分泌量が次第に増えにくくなり、運動後に下がる量が増えるとのことです。いわゆる「闘争・逃走」反応(過度な不安やイライラ)が運動によって、起きにくくなるという理解をしています。

   ※「闘争・逃走反応」に関係している主なホルモンはアドレナリンで、アドレナリンの元になるのがドーパミンと認識しております。


②   私が気に入っているポイント

まずフレーズとして好きなのは、『私たち人類は1万2000年前からほとんど変わっていないのである。(P29 )』、という一節で、身体機能や認知機能や感情の初期設定は1万2000年前(日本では縄文時代草創期)と変わっておらず、もともと人間が適応していた生活から、現代の生活様式は、かなり遠ざかっているという視点です。

 ホモサピエンスが誕生したのが、約20~30万年前とされ、日本では狩猟時代から農耕時代へ移ったのが約2300年前(およそ弥生時代)だとすると、現生人類が誕生してから、狩猟時代が続いた期間は少なくとも19万8000年以上はあると考えられます。現代のインターネットが普及した生活様式は、2000年くらいからだとすると、23年しか経っていない生活様式です。

 ・『生活習慣が一変し、その結果、もともと身体が適応していた生活からはますます遠ざかってしまったが、あなたや私の脳は、今もまだサバンナで暮らしている。そして、私たちが活発に動くことに、脳は何より敏感に反応する。(p31)』
・『ほんの少し先祖の生活に近づけば、つまりもっと身体を動かせば、私たちの脳は、今よりもずっと効率よく働いてくれることだろう。(p31)』

 という記述があります。

私の捉え方としては、他の人類(ネアンデルタール人等)や捕食動物から逃げたり、戦ったり、狩猟のために、歩きまわったり、持続的に走ったりというその日を生き残るための活動が、現代社会では基本的に無くなってしまい、そういったストレス負荷のかかる状況、いわゆる生存のための「闘争・逃走反応」が起こる状況がほぼない中で、「闘争・逃走反応」の誤作動(過剰反応)が、同じコミュニティ(家庭、学校、会社等)の中で起こっていると考えます。

 意図して体を動かし、身体の反応を手なずけないと、同じコミュニティ(家庭、学校、会社等)の中で、「闘争・逃走反応」の誤作動がおきて、人間関係のトラブルが起こりやすかったり、偏桃体が暴走して、不安の過剰反応が起きやすくなってしまうという状況が今の社会にあるように思います。

 運動不足(「闘争・逃走反応」の経験不足)によって、コルチゾールがあまり抑制できない状態、海馬や前頭葉の機能の低下、しいては偏桃体の過剰反応が起こることに繋がっていくのかなと思いました。

 それから、私が気に入っているポイントは、

 ・『ADHDの特性を持つ人は報酬中枢におけるドーパミンの受容体が少ない(P129 )』。
・『運動をした直後にドーパミンの分泌量が増えることがわかっている。運動を終えた数分後には分泌量が上がり、数時間はその状態が続く。そのため運動後には感覚が研ぎ澄まされ、集中力が高まり、心が穏やかになる。頭がすっきりして、物事に難なく集中できるようになる。(P138)』

 などで、ADHDの特性による、不注意や衝動性の軽減が運動によって可能だったり、ADHDの薬の代替としての運動の可能性があるという点にとても興味関心が湧きました。

  

③   実践してみての感想

少なくとも、半年間は続ける必要はありますが、一か月続けてみての振り返りです。

 心拍数を上げるというのがポイントというのが納得です。とにかく何らかの手段(私の場合はランニング)で心拍数をあげる(今の自分だと130~160)と、高揚感に包まれて、走っている今の自分しか感じられなくなり、走り終わった後に、頭がスッキリする感覚があります。脳の血流量が上がり、その後ドーパミンが分泌されている作用だと推測しています。私の場合、15~20分でのランニングでも感じることができます。

 ※ほかにも運動で、ノルアドレナリン、セロトニン、BDNF(脳由来神経栄養因子)が出ていると思われます。

 私は朝になると、昨日の出来事が実はうまくいっていなかったのではないかと後悔の念を想像したり、今日これから行うことをプレッシャーに感じ、あれやこれやと不安な要素を想像してしまうのですが、心拍数を上げる運動をすると、そういったモヤモヤがいったん消え去り、頭がリセットされる感覚があります。そして、不安が起きづらい状況がしばらく続いている感覚があります(3~5時間くらいのイメージ)。

※セロトニンがドーパミンとアドレナリンを制御するということもあるので、最初にウォーキングから入って、リズム運動でセロトニンを出してから、ランニングをして、セロトニンの制御下の元、ドーパミンやアドレナリンを出せるといいのかなとも思いました。


 それから、面白いと思うのは、運動した後に家に帰ると、なぜか苦手な整理整頓ができるという点です。この本では、運動後のドーパミンの分泌によるADHDの注意力や衝動性の改善に関する言及もありますが、それと関連するのでしょうか?

私にADHD傾向がどれくらいあるのかはわかりませんが、運動後に片付けが促進したことが何度も起こったのが不思議です。

 

④   まとめ

まずは、自分で半年間、毎朝心拍数を上げる運動を続けてみたいと思います。
具体的には、15~30分くらいのランニングをジムのトレッドミルで実施し、徐々に心拍数を上げて150~160を目指して走りたいと思います。あと筋トレもしているので、そちらも20~30分ほど行って、60分くらい毎朝運動できればと思います。

不安の改善や集中力の改善ができるといいなと思います。すでに実感としての効果は感じていますが、客観的に見るにはどうすればいいのか勘案中です。きっと、参考文献を見たり、Chat-GPTに聞けばヒントが見えてくるのでしょう。

自分の心身の健康の維持、向上でも、「運動」という要素はうまく取り入れたいと考えています。

⑤ 余談:不安を軽減するための様々な実践

私は、不安を軽減するために、「対話」と「あそび」、「運動」をうまく活用したいと思っています。
私の中では、まず対話の習慣が自分の安心感、自己受容感という面で大切だと感じています。少なくとも週に2回は自分の話を聴いてもらえる場で、ただただ受け止めてもらえると、気持ちが穏やかになります。対話でオキシトシンが出ている気がします。そんなフィンランドの対話の場がりすにんぐファームにはあったりします(宣伝です。すみません)。

それから、他者と交流して安心を感じる時間も大切だと思います。家族や気の置けない仲間と一緒に過ごす時間は、ポリヴェーガル理論的には、腹側迷走神経を機能させ、やはりオキシトシンが出るような安心をもたらす活動だと思います。対話もその一つですし、一緒におしゃべりしたり、一緒にあそんだり、一緒に何を作ったり、一緒に運動したりなど、始める時は緊張するけど、楽しかった、安心した、信頼感が生まれたという体験が日常的にあるといいなと思います。

ということで、同じコミュニティ(家族、学校、会社等)の中で、心拍数の上がる運動を含んだ「あそび」を日常的に実施すれば、人間関係で発生する強い持続的なストレスへの耐性がつき、不安の軽減につながると思います。例えば、毎朝、おにごっこ大会などやって、大人や子供が一緒に遊べるといいのかなと思ったりしております。
私自身は、定期的に親子や、こども同士、おとな同士が一緒に遊べる、ドッチボール体験などの遊び体験も企画していきたいと思います。
こちらも宣伝で、定期的に開催中のの林でドッチボール体験のお申込みはこちらです。

 

この文章を書くにあたって参考にした書籍

「脳を鍛えるには運動しかない!」ジョン J. レイティ (著), エリック ヘイガーマン (著) NHK出版 2009年

「サピエンス全史 上」ユヴァル・ノア・ハラリ(緒) 河出書房新社 2016年

「ポリヴェーガル理論入門」ステファン・W・ポージェス 春秋社 2018年

「最高の体調」鈴木祐 株式会社クロスメディア・パブリッシング 2018年

「THE THREE HAPIINESS」樺沢紫苑 飛鳥新社 2021年

 

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