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久留米青春ラプソディ

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僕のアホで、くだらくて、それでいて愛おしい青春期のお話。
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#青春

久留米青春ラプソディ vol.12

久留米青春ラプソディ vol.12

青春時代の男の子。

この実態を皆さま、ご存知だろうか?

あまりにもアホで、あまりにも単純で、あまりにも素直。

地球上で最も愛おしい存在と言っても過言ではない。

これは僕が中学3年生のころのお話。

ある時、当時日本中の少年のバイブルとなっていた「HOT DOG」という雑誌を立ち読みしていた時、僕を釘付けにする特集記事を発見した。

「童貞を捨てたいなら、左手でブラジャーを外せ!」

僕はそ

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久留米青春ラプソディ vol.11

久留米青春ラプソディ vol.11

<<vol.10の続き>>

Y尾を待つ間、僕らは歩いてD君を探しつづけた。

商店街の脇の路地裏や暗がりの駐車場など、思いつく場所を片っ端から探した。

しかし、D君は見つからない。
さらに言えば、もうほとんど商店街周辺には人さえ歩いていない。

祭りの後の微かな余韻だけ残して、もう街は眠りにつこうかとしていた。

その静寂を切り裂くように、T君の電話が鳴った。

僕らは急いで駐車場に戻った。

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久留米青春ラプソディ vol.10

久留米青春ラプソディ vol.10

<<vol.9の続き>>

タンクトップ君の右の拳が僕の顔面をとらえる。恐らく右眼あたりだろう。

その強い衝撃とともに、背後のレンガの壁で後頭部を強打。

多分一瞬なのだが、TVの砂嵐のように視界が壊れる。

でも、不思議なことに痛みは感じない。頭は驚くほど冷静だ。

倒れてはいけない、絶対に。
僕はそれだけを考えていた。

相手がこういう集団の時、倒れてしまったら「顔面キック」という恐ろしいパ

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久留米青春ラプソディ vol.9

久留米青春ラプソディ vol.9

夏が終わる。

1年で1番大好きな季節。
もうそりゃ、ダントツで。

夏の何が好きって、そりゃ全部が好き。

家から出た時のモアッとした空気も、突然の雨の匂いも、セミの泣き声も、見上げるほどの入道雲も。

そんな夏の終わりに思い出す出来事がある。

それは、18歳の夏のお話。

夏のある日。
僕は高校の友達、T君とD君とお隣の県、佐賀で開催される夏祭りに出かけた。

僕には2パターンの友達がいて、

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久留米青春ラプソディ vol.8

久留米青春ラプソディ vol.8

(汗と涙の野球部物語 編 最終話)

いよいよ、最後の大会前日。

僕は興奮と不安で落ち着かなかった。

今までの歩みが不思議と頭をよぎる。

入部初日、同級生がたった3人だったこと。

一つ下の経験者メンバーの入部に喜んだこと。

そして、僕が暴力という最低の形でそのメンバー全てを失ったこと。

その後の辛い時期。3年生3人と入学したばかりの1年だけのチーム。勝てない日々が続いた。正確に言うと、

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久留米青春ラプソディ vol.7

久留米青春ラプソディ vol.7

(汗と涙の野球部物語 編 第6話)

ウメが入部してから、野球部は一段と野球部らしくなった。

特に1年生は<抜群君>のセンスあるバッティングとフィールディングに目を輝かせ、<俊足君>のセフティバントを度肝を抜かれた。ジャンボ君の打球は、はるか対面のソフト部女子を何度も直撃した。

僕はウメとブルペンで久しぶりのバッテリー練習を開始した。小学生時代からから20センチ以上背の伸びた僕のストレートを久

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久留米青春ラプソディ vol.6

久留米青春ラプソディ vol.6

(汗と涙の野球部物語 編 第5話)

中学校を出るとすでに日は暮れ、少し肌寒い風が僕を通りぬける。

いつもとは違う帰り道。鈍行しかしか止まらない地元の小さな駅をすぎると、長い下り坂が見えてくる。

その坂を降りると右手にウメが住む小さなアパートが見える。

小学生の時に何度か遊びにきたことがあるこの場所にこうして訪れてみるとなんだか不思議な気持ちになった。

僕は自転車を止めると2階の部屋の窓を

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