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RIPPLE〔詩〕

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#短詩

四行詩 22.

四行詩 22.

ひとことで片付けられる気楽さと

つらさとの間を今日も生きていく

ひとことも役に立たない悲しみと

よろこびとかで世界は出来ている

今日の書いて出し。さらりと二行詩。
(本当は句会中に思いついたイメージを転用)

四行詩 21.

四行詩 21.

   行き場を失くした悲しみたちに

   わずかな水でも与えましょうか

   気のままに空を射る矢とはせず

   ぬかるみに暮れなずむ蛇となれ

四行詩 20.

四行詩 20.

  かの眩さに粉々に散る雲の真下で

  千切れたがったこの身がひとつ

  つなぎ止めている宿命ひとつ

  許されたのは内に広がる時の空だけ

四行詩 19.

四行詩 19.

  嵐の去りて凪いだ日常、
   恋の名残が陽だまりに沈む。

  激しい渦に羽を裂かれた、
   鳥の群れは大海へと墜ちた。

  幸運な雛がただ一羽、
   天を突き抜け帰れなくなった。

  嵐の上で声なく暮らし、
   微かに届くのは福音の羽音。

四行詩 18.

四行詩 18.

弱々しい指の感触残る左手

幻にしては鮮やかすぎて ふと見やる

歩こうか 引き連れるべき瑞々しさよ

花びらが 光を透かして青く照る路

短詩

短詩

心ゆらゆら瞳も揺れる
鏡を見ればまた取り繕う
誰かが言った「私はいない」

信じられること信じること
どんな本にも書いていない
誰の口からも出ない言の葉

ーーそれは
誰かの涙の底に宿る詩
誰かの瞳に火を灯した詩
言葉であることを忘れた詩

四行詩 17.

四行詩 17.

そこにある雲 繭の切り屑

その天井は 今日のカンバス

生きているのは 数限りない色

生かしているのは 奥深い 白

花の香の種

花の香の種

戸を開いたら、
春の香りが広がった。
たしかに今朝は
心叩く音を感じていた。

一瞬の風にさらわれる香気に、
問いかけようとする口を噤めば、
いつだって、世界は生まれ変わろうとする。
いつかを知るのは今の私だけ。

ある夜に、
悲しいアリアの種を包んで、
胸元にそっと忍ばせていた。
これ以上泣かないですむように、と。

さあ話そうか。
夜の続きじゃなく、
また手を繋いでさ。
また新しく。

四行詩 16.

四行詩 16.

   掴んだ手 懐に寄せて開いた手

   何も残らない 時は大地と宙を巡り

   砂塵にきらめく 夢のつぶてが

   告げる みずから此処に佇めと

四行詩 14.

四行詩 14.

  蜜も涙も溢れて漏れて

  小さき器を恨めしく見ていた

  月には目もくれなかった長夜

  明ける頃には 海の一部でいたかったのに
#詩 #短詩 #四行詩 #ポエム #エッセイ

四行詩 13.

四行詩 13.

朝が黄色い涙落とした

夕べは青く鳴いていた

移ろう色こそ恋と呼ぶなら

望むのは 永遠でなく あと1分
#詩 #短詩 #四行詩 #エッセイ #小説 #ポエム #恋

四行詩 12.

四行詩 12.

衣かへして抱きしめたのは

薄い紅のまま残った心

退く紅は秋の空色

今宵、別の色恋へと向かう
#詩 #短詩 #四行詩 #ポエム #エッセイ

ソネット 1.

ソネット 1.

距離は旅になり
時間は紙になる
会いたい人がひとりいるなら
伝えたいことがひとつあるなら

淡々と過ぎる日常の挿話に
そんな紀行文があるといい
思い出のひとひらでも持ち帰れたら
きっとまた旅をしたくなる

いま揺られながら夢を見ている
同じ月を見上げていた人と
同じ角度で見上げる場所を

そんな夢と現の乖離も
足を運ばぬ理由にならない
旅に意味など端からない
#詩 #短詩 #ソネット #ポエム

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