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花の香の種


戸を開いたら、
春の香りが広がった。
たしかに今朝は
心叩く音を感じていた。

一瞬の風にさらわれる香気に、
問いかけようとする口を噤めば、
いつだって、世界は生まれ変わろうとする。
いつかを知るのは今の私だけ。

ある夜に、
悲しいアリアの種を包んで、
胸元にそっと忍ばせていた。
これ以上泣かないですむように、と。

さあ話そうか。
夜の続きじゃなく、
また手を繋いでさ。
また新しく。

ご支援頂いたお気持ちの分、作品に昇華したいと思います!