日本文化と英語文化の交通事故。英会話上達の鍵は「I think...」を連発しないこと!?
こんにちは、語学の裏設定のゆうです。今日は日本人が多用する、ふにゃふにゃで頼りない英語表現「I think...」についてメスを入れていきます。
一見すれば問題なさそうなこの表現、実は使えば使うほどあなたの印象が下がってしまうという裏の顔を持っています。
その原因は他でも無く、日本の「包みたがる文化」と、英語圏「包まなくてもよい文化」の衝突に起因しているのです。
いわば、この2つが「I think」という交差点でぶつかり合い、交通事故を起こしているのです。
事故の原因は何なのか。どうすれば回避できるのか。今日はこの2つについて「包み隠さず」お話していきます。
1.「包みたがる日本」と「包まなくて良い英語圏」
お金を渡す時はご祝儀袋に、モノを包む時はふろしきや包装紙を、本は文庫本ですらブックカバーで包んでいるように、大事にしたい・丁寧に扱いたい、という時に日本人は包みたがるのです。
英語圏では違います。
お金やモノは日本ほど包みませんし、たとえ包んだとしても簡素です。本はもっと顕著に違いが表れます。洋書にはブックカバーがついていません。
この通り、英語圏では包む文化は一般的ではありません。あったとしても、日本とは意味合いが違い、「包むこと=丁寧感」という構図は成り立っていないようです。
つまり、英語圏ではモノを包まなくても良いのです。というより、正確には包むことは「ムダ」であると考えます。
日本では包むことは「美徳」ですが、英語圏では「微毒」なのです。
さて、ここで、具体的なモノを包む場合から、言葉を包む場合へと話を広げていきましょう。
日本語では、たとえ包む対象が言葉であっても基本的な心理は同じです。丁寧さ、思いやりを重んじ、やんわりと伝えたいと思う日本民族は、文章を「~だと思います。」など、オブラート言葉で包みたくなるものです。つまりは、日本人的な優しさと礼儀と表れであります。
一方英語はどうでしょうか。「包み隠さず話す」という表現あるように、英語はこのようなコミュニケーション様式を好みます。ハッキリと言い換えると、「包んじゃダメ」なのです。
英語に限った話ではないですが、親切心が誤解されたときほど、悲しいことはないです。それはちょうど、相手を思い道を譲ろうと思った結果、事故やに発展してしまうケースと似ています。こちらは親切心で行動したのに、相手がこちらの意図通りに受け取らないので事故に発展するのです。
それゆえ「I think」という表現が、英語ネイティブを不快にさせるというのは、日英の文化の交通事故だと思うのです。
2.「I think...」はどんな印象を与えるか
それではここから、この問題の表現がどのような印象を英語圏の人に与えてしまっているかの考察をしてきます。思いつく限り、下のような3つの悪影響があるものだと考えられます。
・稚拙
もしも「I think...」を会話中に1~2回程度しか使わないのであれば、悪い印象を相手に与えることはないでしょう。しかし、日本人の「I think...」の最大の問題は、全てをオブラートに包もうとする気持ちからの、高すぎる使用頻度にあり、日本人の英語の品格を小学生の書いた読書感想文レベルにまで突き落としているのであります。
感動したときに、「ヤバイ」としか言葉を発せない人を見たとき、どのような印象を受けるでしょうか。もし印象に点数があるとすれば、落第点レベルであることでしょう。
処方箋としては、まず「I think...」以外のフレーズから文を始めらる術を身につけることです。これに関しては、本記事の最終章に書いていきますのでそちらを是非ご覧ください。
・押し付けがましい
少し意外かもしれません。「I think...」と言っている本人は「~であると思います」という、丁寧調を頭の中に思い描いているかもしれませんが、受け手は違う印象を感じてしまっているのであります。
やや無理があると思いますが、あえて対応する日本語のフレーズで考えていくと、「~だと思うんだよねー」になるでしょうか。
横棒があることから、丁寧な印象は感じられず、むしろ言い放っている印象すら受けます。さらに、多くの場合「どう思うか」は言いますが、「なぜそう思うか」という根拠は言わないため、聞いていて謎です。おまけに、下から目線であるため、なおタチが悪いのです。
上から目線で失礼な輩には、こちらも突っぱねた態度で返してあげればよいのですが、下から目線で根拠のない感情を言い放たれた場合、対応に大変苦労することになります。一言で言うなら、心労です。
・ふわふわした印象
これは根拠がない、ということを別の表現に言い換えただけに過ぎないかもしれませんが、ふわふわ感を強調したいために、あえて独立して取り上げました。
日本人の会話には、感情と事実を切り離さないという特徴があります。感情と根拠、または感情と意見、と言い換えても良いのかもしれません。いずれにしても、感情とそれ以外を分離して考えるのが苦手な傾向にあるようです。
これに関してはまた別の記事で専門的に取り上げたいのですが、とりあえずここでは、和歌の国の日本人は「詩的」であるから、としておきます。
さて、「I think...」が指すものとは、感情であり事実・根拠・意見ではありません。先程日本人は根拠を言わないと書きましたが、この表現を連発すると、感情だけが独り歩きしているように思われるのです。
「ああ、この人とは建設的な議論はできないんだな」とか、「感情だけで動いちゃっている」など、ふわふわしていると思われてしまうのです。
ゆえにI think連発君は会話を続ける前から「この人はダメだな...」と思われてしまうことすらあるのです。
3.英会話のマナー「軸を持つということ」
英語は意見を対立させる言語であります。
それならば、「I think...」と言った後に「Because」で繋いだら良いのではないか、と思う方もいるかもしれません。しかし、「I think...」という表現は議論の場ではほとんど使われることがありません。
その理由は先の章で書いた通り、「I think...」が真に指すのは感情です。根拠を表す「Because」とはどうも相性が悪いのです。
そんな「Because」は、「I believe...」や「In my opinion...」という、立場をハッキリと表明させる表現のほうが向いています。
このような芯の強い表現を使うには、そもそもの前提として、自分の思想上の軸が必要になってきます。時事問題を含めた様々なトピックに対して、何かしら自分なりのスタンスを持っていることが欠かせないのです。
さするに、英会話が進まないというのは、今までの英語の指導経験と観察から見るに、自分の軸の不足であることが理由の半分以上を占めている気がします。単語や文法の問題ではないのです。軸の問題なのです。
「I think...」などというのは、軸の無さの問題の氷山の一角にしか過ぎないと私は見ています。
4.「I think...」の代わりに使える表現
最後に、具体的な処方箋として「I think...」の代わりとなる表現を4選紹介いたしますので、次の英会話から役立てて頂けたら幸いです。
・I guess...
日本人が「I think...」と言いたくなる時、英語圏の人は「I guess...」と言います。Guessには推測するという意味がありますが、こちらは根拠の提示を必要としていませんので「ちゃんとふわふわ」しています。
つまり、Thinkほど、ふわふわ感において中途半端ではないので、下から目線で押し付けがましいイメージはしません。
・I believe...
こちらは「I think...」を強くした言葉です。Believeには確固としてそう考えている、というニュアンスがあります。ゆえに、芯のある主張が可能となり、より英語らしい表現であると言えるでしょう。
・It seems to me...
さていよいよ、黄金フレーズの登場です。これが押し付けがましくない「I think...」の正しい言い方です。直訳すれば、「わたしには~に見える」となります。
この後ろにBecauseを付け、根拠で補給することも可能です。
・I would say...
英語ネイティブ同士の会話を聞いたことがある人なら、恐ろしい頻度で耳にするフレーズです。
「僕だったら~と言うだろうな」というように、明確な根拠な無いけど自分的には~だなぁという主張を展開するときに使えます。カジュアルな会話でよく耳にします。
I think...のような違和感はありません。
いかがでしたか?
「I think...」の問題は日本語と英語の違いを反映した現象ありますし、また日本文化と英語圏文化の違いを反映した現象でもあります。
原因を一言で表すなら、「国民性が違うから」となるでしょう。
解決策を一言で表すなら、「英会話力向上には自分の軸を持つということ」となるでしょう。
英語以外のところが欠けているため、英語ができない状態に陥っていないでしょうか?
それを英語のせいだと主張する、英語学習本、英語学校の宣伝に目と心を奪われていないでしょうか。
題4章で紹介した4つのフレーズは、言うならば小手先のテクニックに過ぎません。根本的に英語能力を向上させたいと思ったら、英語以外の部分に目を向ける姿勢と勇気が求められると私は考えています。
本記事が皆さんの英語学習の糧になったことを祈って、
それではまた!
PS
せっかくなので今日の記事にちなんだ記事を参考記事として紹介致します。
1つ目は、「I think...」問題と似ている「I can't speak English問題」です。こちらも、言いすぎると恥をかくので、手遅れになる前に知っておきたいものです。
ちょっと話がずれるかもしれませんが、軸づくり、からの個性づくりの方法について解説した記事があります。
最後に、日本語と英語の思考回路の違いについて、別の角度から説明した記事があります。この記事も合わせて読むと、より英語らしい英語を話せるようになるでしょう。
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