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映画評/書評

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#雑記

チェイサーは王道少年漫画である!

チェイサーという漫画をご存じだろうか?

僕がいまもっとも好きな漫画である。
ざっくり言うと「マンガの神様・手塚治虫と同時代を生きた架空の漫画家が、手塚を追跡(チェイス)するようにライバル視してマンガ黎明期時代を生き抜く」というようなもの。
その独特の設定から、「手塚治虫をライバル視する漫画家」という部分だけが取り上げられて、ニッチな作品だと思われがちだけど……。

実はそうではない。
このマンガ

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私の坂口安吾

私の坂口安吾

 坂口安吾『堕落論』を読んだ。友人に薦められてのことである。私はそれまで坂口安吾の著作を一冊も読んだことがなかった。『堕落論』は、その名が示すように、どこか退廃的な、破滅的な、暗い論理が書かれているのだろうと思って読んだ。

 いやはや、驚きである。確かに堕落論の骨子は「人は皆、堕落する」であり「むしろ堕落するべきだ」というひと言に尽きるが、このエッセイ集(ちなみに私は角川文庫版を読んだ)を全て読

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中島らもに乾杯

中島らもに乾杯

 中島らもの『今夜、すべてのバーで』を読了した。爽やかな、甘酸っぱい、青春の味を思い出させるアル中小説だった。

 中島らもを読んだのは初の試みだ。私はらもに詳しくない。ある人かららものことについて色々と教わった。

 それによると、らものこの小説はかなり事実を基にしていて、半自伝的小説であるらしい。らもも主人公と同じ歳にアル中で入院しているし、エピソードもそのままそっくり使っている箇所が多い。

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誰の心にもウェルテルは居る

誰の心にもウェルテルは居る

 ゲーテの名作古典『若きウェルテルの悩み』を読了した。これについては以前からその存在は知っていたが、いまいち手が伸びず、ずるずると先送りになっていた小説である。

 今回、友人が読むということを聞きつけて、ならば私もと読んでみることにした。

 内容はひと言でいえば「青年ウェルテルが婚約者のいる女性を好きになってしまい、許されない相手への愛に悩みまくり、ついには自殺してしまう」というものである。

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