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#164 オーセンティック・リーダーシップの罠

ザ中間管理職です。リーダーシップを取る方ではなく、マネジャータイプ(運動部とかのマネージャーです)を自認しています。
リーダーシップ論で最新(?)のオーセンティック・リーダーシップに関しての論文を読んだのでメモ。


1、リーダーシップ論の歴史

会社という組織が生まれて以来(その前は軍隊や国家でしょうか?)組織をうまく引っ張っていく手法というのが必要とされてきました。

当初はリーダーに向く素質や特性がある、という考え方が主流だったようですが、現代では、身につけることができる、という考えが主流になっています。

テンプスタッフさんのHPにその歴史が簡潔にまとめられていましたので以下転載します。

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2、オーセンティック・リーダーシップ とは?

リーダーシップ論で最も新しい理論です。

「オーセンティック(authentic)」とは「本物の、誠実な、真正な」という意味で、自分とはどういう人間か、自分が大事にする価値観は何かなど、自分の考えに根ざしたリーダーシップのことを言います。

ごく簡単にいうと、型にハマった「こうあるべき」というリーダーシップ像ではなく、「本当の自分らしく」「誠実な、嘘のない」リーダーシップが有効だ、というものです。

オーセンティック・リーダーシップは4つのステップを行うこととされています。

① 自己理解を促進する
② 自身が持つ「道徳性」を理解する
③ 自分の行動を振り返る
④ 関わる人たちと「公平」かつ「透明性」のある関係を目指す

つまり、自分はどんな時にどんな感情を持つのか、を過去の自分の行動やその時の感情を振り返ることで理解し、本音でメンバーと交流をする、というものです。

本音ですから、時に自分の「弱み」を見せることも必要とされています。

無理して偽りの自分で嘘のコミュニケーションをするより、自分に忠実に、隠さず本音でぶつかることでリーダーシップを発揮できる、というものです。


3、オーセンティック・リーダーシップの罠とは?

この理論を背景として、自分が何者であるかを明確にすることから、リーダーシップを身につけよう、というHow to本が多く出されました。

一方で、この理論には以下のような限界、留意点も指摘されています。

自分が何者かを過去の自分を振り返って見つけ出すやり方では、過去に囚われて身動きできなる可能性がある。
新しい仕事についた場合には、過去の延長線上に正しいリーダーシップがある可能性は低く、むしろ、将来に目を向ける必要がある。その時に、「過去の自分に」素直に正直に、というリーターシップスタイルが果たしてマッチするか?


4、まとめ

リーダーとして成長する唯一の方法、が本論文の結論でしたので引用します。

リーダーとして成長する唯一の方法は、自分は何者かという枠を広げていくことだ。新しいことをすれば不安に駆られるが、じかに経験することで、自分がどうなりたいのかということに気づくことができる。完全に別人のように変わらなくても、こうした成長を遂げることは可能だ。振る舞いやコミュニケーション、人との接し方を少し変えるだけで、たいていの場合、リーダーとしての力量に雲泥の差が生じるのである。

「自分を知ること」「自分らしく振る舞うこと」は良いこと、とされています。
一方で、それだけになってしまうと、「過去の自分らしさ」という枠の中でしか動けなくなる、というリスクもある、ということでしょう。

大事なのは、今の自分を作っているのは確かにこれまでの自分の過去、ではあるが、未来を作っていくのは、「これからの自分」である、という認識を持つことでしょう。

過去の延長線上と、「これからなりたい自分像」がずれるとしたら、そのズレを埋めるための努力はどんなものが必要か、という発想ができれば、そして、その努力をきちんとできれば、「これからの自分」は変えられるのですから。


最後までお読みいただきありがとうございました。

参考論文:「自分らしさ」が仇になる時
INSEAD教授 ハーミニア・イバーラ著


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