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#146 出向は「元本保証付の転職」

感染症の影響で業績が悪化している企業が雇用を守るために休業ではなく、他企業への出向を選択する動きがあります。
昨日(12月6日)の日経新聞1面にも関連した記事がありました。
私も出向の経験者なのですが「元本保証付の転職」だったなぁ、というメモ。


1、日経の記事の概要

厚生労働省が従業員を出向させる企業と受け入れる企業の双方を対象とする助成金を創設するという内容です。

この助成金創設の背景としては、

☑️ 現在主流の雇用調整金は休業手当に対する助成金であること
☑️ 休業が長引くと労働者の意欲低下などが懸念されること
☑️ 成長分野や人手不足の業種への人材供給を妨げる側面もあること

を挙げた上で、

☑️ 出向は失業せずに別の仕事を経験したりする利点がある

としています。

新制度は出向元と出向先それぞれの賃金負担を国が支援するものです。

出向の例として、すでに報道されているノジマがANAやJALから従業員を受け入れる動きがあることを挙げています。


2、出向は「元本保証付の転職」

これまでに出向がこれだけ話題になることはなかった(高い視聴率を記録した某銀行員のドラマ中では話題(?)でしたが…)と思います。

私の話で恐縮ですが、数年前に出向を経験しました。

ここでは、出向を経験して私が個人的に感じたことをメモしたいと思います。

まず、出向した経緯ですが、ちょっと変わっていて、10年以上同じ上司で何度も異動希望を出したものの叶わず(握り潰されてました…)、最後は自分で取引先に出向を売り込んで、出向契約書も自分で作って、双方の会社の上層部ともネゴって、話を進めてしまったものです。

最後に知ったのは上司でしたが、役員にお願いして一芝居打ってもらい、私は何も知らないことにして、上司から辞令をもらう形にして円満出向(?)しました。

出向した先は取引先で、業界的には近く、長いお付き合いもあり、知っている方も比較的多い、という恵まれたスタートでした。

それでもやはり、違う業界の違う会社で働くというのは、文字通り「転職」です。

幸い仕事も出向元と関係の薄いことをやらせていただき、様々な異なる業務をする部署に入れてもらえたことで、日々気持ちを新たに勉強させて頂きました。

ここでは書ききれないぐらいの学びがあった大変貴重な経験だったのですが、振り返って私にとって出向の最大の学びは以下でした。

全く異なる仕事を、全く異なる環境で行うことで、自分の能力を強制的に棚卸しする機会を得たこと

長く同じ会社で仕事をしていると、当然ですが色々とうまくできるようになります。でも、それは、他でも通用する汎用性のある能力がついたのか、それとも単なる経験値や知り合いが増えたことによる、他では通用しないものなのか、分かりません。

ヘタをすると本当は後者なのに、前者だと勘違いしているかもしれません。

それをふるいにかける(かけられる)のです。

当然、本当の転職でもできますが、もし、勘違いだったら?

戻りたくても戻れませんし、採用した企業としても期待外れです(見る目がなかったという自己責任の面はあります)。

でも、出向ならその貴重な気付きを得た上で、元の会社に戻れます。
つまり、出向は「元本保証付の転職」なのです。


3、まとめ

出向というものに対するイメージは様々だと思います。

私の経験を投稿しようと思ったのは、今回取り上げた、日経新聞の記事の見出しが、出向に対する助成金なのに、なぜか「出向」ではなく「従業員シェア」という言葉をメインに使っていることが気になったからです。

もしかしてネガティブにとらえているのなら大変にもったいないことだ、と思います。

もちろん、私の経験はちょっと変わっているかもしれません。

ただ、今日ご紹介した点はどのような出向にも当てはまると思います。

いろいろなイメージがある「出向」かもしれませんが、他のあらゆることと同じようにプラス面とマイナス面、両方あると思います。

出向について、「元本保証付の転職」というふうに感じた経験者もいるんだな、ぐらいに思っていただければ幸いです。


最後までお読みいただいてありがとうございます。

出向についてネガティブに捉えてる方に少しでもポジティブな面に目を向けていただけるようでしたら嬉しいです。

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