アンドレア・バイヤーニ『家の本』(白水社)、「訳者あとがき」
[2022年9月に日本語訳が出版された、アンドレア・バイヤーニ『家の本』(栗原俊秀訳)の「訳者あとがき」を、版元である白水社の了承を得た上で、以下に転載します]
二〇二一年、イタリアでもっとも著名な文学賞「ストレーガ賞」のロングリスト(一次選考候補)に選ばれた十二作品を紹介する動画のなかで、審査委員長のメラニア・G・マッズッコは、同年の候補作に共通して認められる特徴として、作家の私的な経験を反映させた物語が多いことを指摘している。作品の舞台は往々にして、地方、郊外に設定され