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今も昔もボクたちは「木」でつくる:感覚する構造ー法隆寺から宇宙までー

こんにちは

現在、東京にあるWHAT MUSEUM(寺田倉庫)で開催されている建築構造の展覧会。
前期後期と分かれていて、後期展が始まっています。

WHAT MUSEUM

今回は、感覚する構造の後期展を鑑賞した話をしていこうと思います。

お時間のある時にのぞいてもらえたら嬉しいです。


|後期展「感覚する構造」

ではまずは、
どのような展覧会なのかを知っていこうと思います。

感覚する構造展は昨年(前期展)に同タイトルで開催された展覧会の後期展。

前期展から大きく模様替えをし、1フロアのみの開催から2フロアに広がり、4つのテーマに分けて構成されていて、より濃い内容の企画展になっていました。

Aゾーン
伝統建築と木造の未来
法隆寺の五重塔が印象的

展覧会概要
本展は、建築の骨組みを創造してきた「構造デザイン」に焦点を当てた展覧会です。

日本には世界に誇る建築家が数多く存在しますが、建築家の仕事を支える構造家の存在はあまり知られていません。
重力や風力といった力の流れや素材と真摯に向き合い、その時代や社会とともに創造してきたのが建築の構造デザインです。

このたびの後期展では、近年サステナブルな建材として注目が高まる木材を用いた建築にフォーカスします。
日本の伝統的な木造建築から最先端のものまでを取り上げ、木造の特質を歴史的に俯瞰し、未来の木造建築の可能性を考察します。
また、構造デザインを応用したファッションや宇宙開発など、他領域との横断的な取り組みを通じて、構造デザインの広がりを提示します。

公式サイトより抜粋
大阪万博 大屋根リング模型(藤本壮介 設計)
奥に展示されているのが木構造の模型
鳥取県 三徳山三佛寺 投入堂模型
いつか行ってみたい

大枠の流れは、歴代の伝統的な木造建築の構造模型作品が展示され、歴史を追うように現代に至るまでその構造はどのように変化していったのか、を見ていきます。

さらに昔と今との木造の違いや新たな試みを実寸モデルと合わせて鑑賞することが出来ます。

Bゾーン
次世代を担う構造家たち
手掛けた建築構造と構造家のインタビュー

また現代建築になると建築家を支える構造家に焦点を当てて、物体を成り立たせるために建築構造とどう向き合っているのかなど関わったプロジェクトと合わせて構造家のインタビューも交えて紹介されていきます。

と、ここまでが木造の歴史と構造家を追った前半で、

後半はグローバルな視野の一つとしてバックミンスター・フラー氏が提唱したと言われているテンセグリティ構造、またその構造技術が建築のみならず身近な道具や衣服などにも転用されていることを見ていき、最後に前期展でもあった宇宙技術へとつながっていく、という流れを見ていく展覧会となっています。

Cゾーン 構造デザインの展開
テンセグリティ構造
力が圧縮、引っ張りし合って成り立っている
難しいけどもっと詳しく知りたい
影の方がわかりやすいかも

後期展では歴史の時間軸で「構造」というものを追いながら前期展でもあった内容を継承しつつ、さらに充実した展示になっていました。



|やっぱり木の国


上記でもお話しましたが、後期展は4つのテーマに分かれています。

1番初めの[Aゾーン]では歴史の流れに沿って木造建築を見ていきながら現代の木造にまでを追っていきます。

会津若松 さざえ堂
実際の内部
二重螺旋スロープの不思議

ボク個人的には、ここのゾーンが楽しく多くの時間を費やしていたと思います。

以前、前期展について記事を書かせていただきましたが、展示されている木造の模型作品の多くが日本各地にある名所と呼ばれる伝統的な木造建築です。

▼前期展の記事


行ったことがある、見たこと聞いたことある建築が模型化されています。

ですので、「知っている」ということが構造という専門的で一般の方が行くとちょっと難しく感じてしまいそうなしまいそうな部分に和らぎを与え、入り込みやすくしている「アイデア」を感じます。

水戸市民会館 模型(伊藤豊雄 設計)
模型で建築の全体像を知る
木架構が特徴的なホール
実物は木の質感と構造に目を奪われる


模型の良いところ
は普段、目にすることが出来ない場所を見ることが可能な点。

本展ではスケールを縮小させた模型作品のため「真上から」「直近から」など鑑賞できます。
実際に見ると大きな建築物は下から見上げることしかできませんので、そう考えると(特に建築関係者は)貴重な視点だと思います。

法隆寺 五重塔模型
直近で
法隆寺 五重塔
実際だと下から見上げるしかない

また改めて歴史の流れで建築を見ていくとやはり日本は木の国だと感じます。

現代の社会的な背景
つまり環境配慮からくるサスティナブルな建築や素材活用という点と建築資材として植樹した国産材(スギ、ヒノキ)の使用時期とのタイミングが重なっている部分もあると思います。

そうだとしても今尚、ボクらがいる日本は1000年以上、木と共に生きてきたということも本展に行ってみると気づきます。

屋根を支える組物
実寸モデルはとても学びが多い

伝統的な建築構造模型を通して、歴史巡りや名所巡りが出来ますし、ボクのような建築関係者にはとても学びのある企画展

2024年8月25日までと期間も長く設定されておりますので、建築に関わる方、旅や歴史が好きな方にはおススメな展覧会です。

東大寺 南大門
荷重を支える組物

興味がありましたら足を運んでみてはいかがでしょうか。

ボクもまたいこうと思います。


ということで、
今回はこの辺りで失礼します。

ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

ではまた



▼バックミンスター・フラーの代表的な書籍
地球を宇宙船と捉え、ボクら人類含め全ての生命体が乗組員だ、という前提の考えを示してくれています。とても面白いですのでぜひ。



▼よろしければこちらもご覧ください。

▼KURAMOCO


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