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本の旅

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中年の希望の星「伊能忠敬」は日本を測りたいわけじゃなかった⁉ 

中年の希望の星「伊能忠敬」は日本を測りたいわけじゃなかった⁉ 

子ども用に図書館で借りてきた歴史マンガ。

「50を過ぎてから日本各地を旅して地図を作った人」というのは漠然と知っていたけれど、いろんな意味で思ってたのと違った。

想像:幕府の役人で、測量の仕事を任された。
実際:地主階級で商家に婿入り。隠居してから上京して日本地図を作る。

学問のために隠居を願い出るも有能であるがために認められず。3年かかってようやく息子に家督を譲り隠居。
隠居してから江戸に

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中国とメタバース『世界2.0』中国語版に思うこと

中国とメタバース『世界2.0』中国語版に思うこと

佐藤航陽さんの著書『世界2.0』の中国語版が出版されるという、ご本人の投稿を見てちょっと驚いた。

この本って、中国で出版していいの⁇

佐藤さんの語る未来は、テクノロジーの進化が人間の意識の大変容を促し、中央集権的なものが縮小していくことを予見する、どことなくアナーキズムを思わせるような印象で、中国では発禁扱いだろうと勝手に思っていたんだけれど。

我々とは全く違う方法で世界を認知する新しい世代

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ゲーム中毒とメタバース『世界2.0』を読んで

ゲーム中毒とメタバース『世界2.0』を読んで

小学生の頃、ゲームのやり過ぎが原因で入院した。

発売当時、子どもたちの間で爆発的人気となった任天堂ゲームウォッチ。
お年玉でようやく手に入れてから2週間後のある日、プレイ中に片目が閉じなくなった。顔面神経痛だった。

地元の医療機関では治療する術がなく、遠方の病院で手術を受けることになり、手術前検査のために事前入院となった。

小児病棟の同室の子たちは、院内学級に通っているような、長期入院の子ば

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ぼっち好きへの福音書『 「居場所がない人」たち 超ソロ社会における幸福のコミュニティ論』を読んで

ぼっち好きへの福音書『 「居場所がない人」たち 超ソロ社会における幸福のコミュニティ論』を読んで

しばらく「つながらなくてもいい居場所」について考えていた。

すごく自分勝手かもしれないけれど、自宅以外に居場所が欲しいのに、「居場所」という言葉にもれなく付いてくる「コミュニティ」「つながり」は欲しくない。

というのは、誰かにとっては大好きな居場所でも、他の誰かにとっては居心地が悪いかもしれないから。「つながり」は常にポジティブに作用するとは限らない。

たとえば「居場所」の一例としてあげられ

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「本」という言葉に感じる日本らしさと本の未来

「本」という言葉に感じる日本らしさと本の未来

「本」という字は、中国伝来の漢字のはずなのに、大和ことばのような、翻訳された和製漢語のような、どことなく日本っぽい印象を受ける言葉だなと思っていた。

というのも、日本語と中国語で使い方がだいぶ違うから。
日本語では「本」と「書物」はほぼ同義のように使われるけれど、現代中国語では書物はあくまで「書」であって、「本」という字は使わない。
中国語では「本を読む=看書」「勉強する=読書」。

「本物」「

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もしホリエモンと同じガチャを引いていたら?『ゼロ』を読んで

もしホリエモンと同じガチャを引いていたら?『ゼロ』を読んで

堀江さんの自伝と言われている本。
子ども時代のエピソードも多く語られているんだけれど、私も同世代、同レベルの田舎出身ということもあり、デジャブ感がハンパない。

デジャブその1 唯一の家族旅行がサンシャイン60
都内移動は地下鉄ではなくもちろん山手線。そしてはとバス。
食事も同じく蕎麦。
展望台から59階のレストランに向かったけれど、一番安いのが1人12000円のコース、しかもその値段でも順番待ち

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スマホと人生偏差値『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』を読んで

スマホと人生偏差値『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』を読んで

『HORIE ONE』での作者の麻布競馬場(アザケイ)さんのトークが最高におもしろかったので、即入手した。

私も上京して20代を東京で過ごし、地方に出戻った人間の1人。
泉麻人さんの『東京23区物語(1988年)』みたいに、「東京あるある、わかる~」と自虐的に笑えるかと想像して読み始めたら、だいぶ違った。

中学生が『人間失格』を読んだ時のような、そんな何とも言えない読後感。
自分がもし東京で暮

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