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帯に短し襷に短歌

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素朴に歌を詠むということへの憧れがある。素朴に詠めるようになりたいと思うのである。とにかく詠んでみないことにははじまらない。「こんなものは短歌とはいいません」なんて言われたってい…
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たまに短歌 デジタルライフ

たまに短歌 デジタルライフ

丁半か当たり外れかOn-Offか
二択ばかりのアタシの暮らし

ちょうはんか あたりはずれか おんおふか
にたくばかりの あたしのくらし

先週木曜日に職場の昼休み勉強会の講師の番が回ってきた。今回は核分裂の話をした。一応の決め事として、持ち時間15分で話10分、質疑応答5分となっている。今回で何度目の講師役なのか、勘定していないのだが、きちんと尺に収まったためしがない。非公式な部署内の勉強会で、

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たまに短歌 少子化対策

たまに短歌 少子化対策

お願いだカネを出すから産んでくれ
その後のことは知らないけれど

おねがいだ かねをだすから うんでくれ
そのごのことは しらないけれど

というのが、どこかの国の「少子化対策」とかいうものであるように見える。わかりやすいのは結構だが、政策として、つまり政治として、更に言えば人として、野卑で低俗に過ぎないかと思う。たまたま最近手にした『興福』の令和6年9月1日号の巻頭で興福寺寺務老院の多川俊映さん

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たまに短歌 そんなふうに見てたんだ

たまに短歌 そんなふうに見てたんだ

あのひとがあの日あのとき見つめてた
知らないけれど知っているひと

あのひとが あのひあのとき みつめてた
しらないけれど しつているひと

日曜日にポール・マッカートニー写真展を観てきた。ポールを写した写真ではなく、ポールが写した写真だ。1963-65年頃のものだそうだ。順路の始めから七割くらいが白黒で後がカラー。カラーで写っているのはマイアミで撮影されたもの。空や海はカラーがいい。

写ってい

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たまに短歌 夕立前

たまに短歌 夕立前

雲湧いて後のあれこれ諦める
煮湯ばら撒く夏の夕方

くもわいて あとのあれこれ あきらめる
にえゆばらまく なつのゆうがた

体温に近い気温となると暑いとか寒いとか感じないのではないかと思うのだが、大変暑い。一応、出かける前には天気予報のサイトを確認するのだが、このところちょいちょい夕立がある。それも直前に警報が飛んでくるほど激しいものだ。昨日は陶芸に出かけた後、中村橋の美術館に寄って、それから行

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たまに短歌 それで台風は

たまに短歌 それで台風は

台風は島の東を北へ行く
いつもの朝のいつもの駅で

たいふうは しまのひがしを きたへゆく
いつものあさの いつものえきで

朝5時50分現在、台風7号は八丈島の東約100kmを北に移動中、という「台風情報」があった。いつものように午前4時30分に起床して、午前5時40分に家を出て、午前5時52分発の電車に乗って、途中で午前6時9分発の電車に乗り換えて、スマホを見たらそう出ていた。

東京の在来線

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たまに短歌 燕発つ

たまに短歌 燕発つ

野分前燕は無事に巣立ちけり
暑さや地震心揺らして

のわきまえ つばめはぶじに すだちけり
あつさやじしん こころゆらして

毎年駅前の集合住宅の1階店舗軒下に営巣する燕が、台風が接近するという日の前日に巣立って行った。一組目が巣立った7月上旬にやってきて、一組目と同じ巣で営巣を始めたので、最初は一組目のなかで置いてきぼりをくった個体が戻って来たのかと思った。しかし、その後も立ち去らず、そのうち雛

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たまに短歌 かわったこと わかったこと

たまに短歌 かわったこと わかったこと

いつまでもあるはずのない「いつも」あり
年に数度の故郷の空

いつまでも あるはずのない いつもあり
ねんにすうどの ふるさとのそら

今年は家人の実家に帰省中の元旦に地震に遭い、5月の連休中に地下鉄の駅で倒れて救急搬送されて入院し、夏に風呂釜が壊れて銭湯通いをし、盆の帰省先を台風が掠めて行った。宮崎では大きな地震があり、予て危惧されている南海トラフの危険性が現実味を増した。今や線状降水帯の発生に

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たまに短歌 はるまげどん

たまに短歌 はるまげどん

縁側の蚊遣の先にはるまげどん
誰かと囲む食後のスイカ

えんがわの かやりのさきの はるまげどん
だれかとかこむ しょくごのすいか

株式相場の暴落暴騰の後は大地震で、南海トラフがどうとかこうとか不穏な様子になってきた。地球内部でマントルが対流し、地殻プレートがそこに浮くように乗っかって移動している。日本列島は複数のプレートの辺縁にある陸地で構成されている。じっとしていられるはずはない。相場だって

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たまに短歌 暴騰することもある

たまに短歌 暴騰することもある

暴落の次は暴騰その次は
上を向いたら足を掬われ

ぼうらくの つぎはぼうとう そのつぎは
うえをむいたら あしをすくわれ

日経平均株価は昨日、過去最大の下落幅(4,451円、下落率12.40%)を記録したが、今日は史上最大の上昇幅(3,217円、上昇率10.23%)を記録した。下落率ということでは1987年10月20日の14.90%に次ぐもので、上昇率ということでは2008年10月14日の14.

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たまに短歌 暴落することもあるけれど

たまに短歌 暴落することもあるけれど

株下がりドルも下がった昼下がり
空を見上げて笑うしかなし

かぶさがり どるもさがった ひるさがり
そらをみあげて わらうしかなし

仕事絡みのことはこういうところには書かないことにしている。興味が無いからだ。それでも、日経平均が史上最大の下落幅を記録したとか、つい先日まで1ドル160円台だったのが140円割れを覗っているとか、久々に激しい相場になっていると歌でも詠んでみようかなという気になる。

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たまに短歌 タイムマシーン

たまに短歌 タイムマシーン

様々に思い巡らす二年を
暑中見舞いが辿りたる跡

さまざまに おもいめぐらす ふたとせを
しょちゅうみまいが たどりたるあと

風呂釜の交換が無事に終わり、昨日から家風呂が復活した。ほっとして、ふと気になったのは先月届いた暑中見舞いのことだ。中古カメラやレンズを購入した先なのだが、差し出しの日付が「令和四年盛夏」とある。この店で初めて買い物をしたのは令和五年二月なので、令和四年には互いを知らない。

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たまに短歌 このところ続いているけど

たまに短歌 このところ続いているけど

人知れず朝の光が衰えて
化石に近づくアビイ・ロード

ひとしれず あさのひかりが おとろえて
かせきにちかづく アビイ・ロード

風呂釜の交換を目前に控えて銭湯の料金が520円から550円になった。毎回10円硬貨をかき集めてギリギリの金額を確保し、それに加えてロッカー用の100円硬貨と風呂上がりのコーヒー牛乳用の50円(一本150円だがロッカー使用後に100円が戻るのと併せて支払いに充てる)をポケ

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たまに短歌 寒山拾得

たまに短歌 寒山拾得

本当は私とってもすごいです
そこらのゴミとかわらないけど

ほんとうは わたしとっても すごいです
そこらのごみと かわらないけど

こんどは掃除機の継手が壊れた。ダイソンのV10という機種を使っているのだが、パイプと本体を繋ぐ接続部分のパイプ側の継手に付いているプラスチックのフックが取れてしまった。フックと同じ赤いプラスチック片も飛散していたので、フックのどこかが割れたのだろう。

ダイソンのア

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たまに短歌 都市の幻

たまに短歌 都市の幻

驟雨掌の中だけを通り過ぎ
名残りの奔流外界の事実

にわかあめ てのなかだけを とおりすぎ
なごりのながれ げかいのまこと

昨夜は激しい夕立だった、らしい。スマホには大雨に関する警報が届き、調布には洪水注意報が出た。仕事は事務職で弁当を持参しているので、外を歩くのは家と駅の間だけだ。職場の最寄駅と職場のあるビルの間は地下道で繋がっている。昨日は仕事帰りに出光美術館の水曜講演会を聴講したのだが、職

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