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アンビバレンス

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どんな形容詞も邪魔だ。
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2017年3月の記事一覧

真逆すぎる友人と自分が、もはや違いすぎて似ているように見える、との指摘を共通の友人からも言われた。
「+17と−17って、なんか似てるじゃん」
スッキリ、する感覚ってこれか。

ただいま。

君のことを考えるなというのは、自分で自分の心臓を引きちぎれと言われているのと同じだ。死刑宣告だ。いっそ単細胞生物にしてくれたら、気が楽だ。

好き嫌いというワガママを言えなくなるくらい、知らぬ間に感情を超えていた。そこでは私は存在しなくなったみたい。私は宇宙に進化した。君を求めてしまうのは引力であり宿命であり自然なことだから、人間が語る理性はとっくに放棄されている。小賢しさなんて屑だ。

好きだ愛

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恋愛や旅で常に直面する不条理な出来事というのは自分にとってはそのまま放置されていた方がいい問題なのかもしれなくて、そうであるなら定住や定職や歓迎されるべき幸せ像には一生近づけないのだけど

パエリアのためには

パエリアのためには

パリで出されたフランスパンやらコーヒーの少なくとも三倍の量はある食べ物を、途方に暮れながら凝視した。

スペインの首都マドリッドからホステル到着後、とにかく米を欲してレストランに入った結果だ。
美味そうなパエリアの写真を見つけ、格式張っていない入り口の木製扉を開けると、近所の中年男女が酒盛りをしていた。その辺のカウンター席に押しやられるのかと思いきや、髪を撫で付けた洒落たウエイターに案内され

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旅しているときはいつでも振られた気分なのはなぜだろう。ということは、人生すべてがずっと失恋と共にあるということだ。いつも旅の、道を知らない、星を見上げる余裕のない、間違いばかりの路上にいる。

そこでは人がすべて風景に見える。賑やかな笑い声も、衝突されたときの痛みも、欠伸が移ることも、錯覚でしかあり得ない。自分が歩くこと自体が夢との境界を失くす。いつでも行方不明であるならば、その何処にもない場所こ

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忠犬が病気だとしても

忠犬が病気だとしても

なぜ書くのかと問われれば、心を支配することがそれしかないから、と答えるほかない。
なぜ書かないのかと問われれば、それを書くだけの適切な言葉を見つけるのは困難で、そもそも値する言葉が世の中に漂っているとも思えないからだ、と言うだろう。

その日の待ち合わせも、渋谷だった。
狭く曇った空から儚げな太陽光が挨拶をする。スクランブル交差点に歪んだ列を作った人々は青になると無言ですれ違い、ア

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会えば会うほど寂しい症状は何に似ているだろう。甘い物食べた後に塩辛い物、その逆、を無限に繰り返すアメリカンフードを思い浮かべたけどそんなカワイイものじゃないし、麻薬と呼ぶにはそっけないし、好きというのも足りない。

魔力ある関係

性格が真逆の友人がいる。莫大なエネルギーで他者を巻き込むのが得意で、ゼロから創り上げたサークルの幹事長を務めるような。
私は自分の殻に閉じこもって精神世界に沈み過ぎているらしい……。

その友人と話すと、会話が成り立たないほど本当に真反対な存在だと毎回感じる。人生で関わった人間の中で最も異質で、会話が噛み合っていない。
そう、会話になっていない。一体なんで一緒にいるのかわからない。

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自由を語るな

旅が好き。と言うと、嘘になるのだと最近気づいた。

純粋に好きと言うより、好きだと思わなきゃやっていけないから好き、なのかもしれなくて。

「今此処にいる」ことに我慢できず、逃れなきゃならないような、圧倒的に、自分の居場所は此処ではない、と内側が疼くから、当てもなく彷徨う必要がある。旅したいのではなく、旅そのものが生き様になっているだけだ。

常に此処じゃ駄目だ、自分が腐る、という強迫観念にも近い

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好き過ぎるとぶっ壊れてしまって好きと言えないし、書きた過ぎるとそれを当てはめる言葉がどこにもないと気づくし、痛過ぎると痛みを感じないし、あ。寒過ぎるときにあえて食べるアイスって美味いだろ、って以前好きだった彼が言っていたのを思い出した。

好きなだけ。

私の弱点は、君です。
病だと思っております。自覚はあるんです、ずっと前から自覚はあるんですよ、誰に言われなくたって。

君と会って別れた後が一番、喪失感に襲われて、私は虚無なのだと知るのです。自分には何もないと思い知り、今の時間は何だったのだろうと、何も握れなかった手にせめて幻影ならば残っていまいかと、じっと自分を顧みるのですけれど、やっぱり私は空っぽのままです。振り返っても改札に君の姿があ

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