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1分程度で読める怪談です。
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#オカルト

信号で止まる斜め前のデリバリーピザのカゴから、容量を遥かに超える黒い虫が溢れ出している

ある10階建てマンションの05と付く部屋の明かりが、9時を過ぎた辺りで上階から順に1回だけ明滅する

蛍光灯を外して替えようとしたところ
「はい」
と渡され素直に受け取ったのだが、後ろには誰もいなかった

【1行怪談】

学校の数ある廊下の中で、理科棟へ繋がる渡り廊下だけは走ってはいけない。

【1行怪談】
夢の中でこれは夢だと自覚した時は、勢いに任せてムカつく上司を殺す事にしているが、一向に夢が覚めない。

異物【怪談】

「痛っ」
目に違和感を覚え、それはすぐ痛みになって現れた
「目に何か入ったみたい」
「鏡貸したげよっか」
「ありがとう」
下瞼を指で押し下げ鏡で確認すると、目頭の部分に細く黒い物が写っている
「まつ毛入ったみたい」
鏡を置いて人差し指で先端を押さえながら親指も使って引いていく

するするする……

くちゃっ【怪談】

くちゃっ【怪談】

「あっ」
「え?あ〜も〜!」
その場で足を上げると、靴底にねっとりと張り付いている。
「早く言ってよねー?」
「ご、ごめん」

その日を境に、彼女は私の目を見ながら、魚の目をつついて食べるようになってしまった。

彼女は踏んだのはガムだと思っているようだが、本当の事を伝えた方が良いのだろうか。

提灯の火を消す女【怪談】

提灯の火を消す女【怪談】

まただ。
俺が夜出掛ける時には絶対にいる。
それが多分……この世の者ではない事は何となく分かっている。
どんな土砂降りであろうが傘も差さずにそこにいるし、誰1人としてそいつに見向きもしないからだ。

自宅を出、駅方面に向かう途中、鳥居がある。
普段はなんてことの無い鳥居だが、何かの節句にはその鳥居に提灯が幾つも吊り下げられる。詳しい日程は知らないが、大体四季ごとに1回、多分1ヶ月くらいの間だとは思

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テニス【都市伝説】

テニス【都市伝説】

学校にまつわる都市伝説がある

夜中にその校舎を訪れ誰もいないテニスコートに行き、1~6ゲームの間で指定し
「試合をしませんか」
と言って、相手のコートにガットの切れたラケットとボールを置く。この時、出来るだけボロボロの物を渡す事をおすすめする。
暫くすると

トーン、トーン

と地面にボールを打ち付ける音がして、誰もいない筈のコートからサーブが放たれる。
相手のガットが切れている事もあってそこま

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サブリミナル選挙【不思議な話】

サブリミナル選挙【不思議な話】

「バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!」
パチパチパチパチパチパチ
「当選おめでとうございます!」
「流石ですね!」
「得票率9割越えなんて感動すら覚えます!」
「いやいや、これも全て君たちのおかげだよ。ありがとう!」
S県O市市長選挙で、これまでに類を見ない程の投票率、そして得票率を獲得し私は市長に当選した。

君たちのおかげと言ったが、それは文字通りの意味であり、私の思惑通りでもあった。
ある

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天の糸【不思議な話】

天の糸【不思議な話】

その現象を初めて発見したのは、アメリカ南東部に住む15歳の男の子だった。ふと空を見上げると、純白で途轍もなく細長い紐の様な物が見えたと言う。不思議な形の雲かと思ったが、それにしては風に靡く様子も無ければ大きさも変わる様子も全くない。そしてその紐は自分以外には見えず、近付けば手の届く高さにあると気付くのに時間は掛からなかった。
その紐は世界中で発見された。他人が観測出来ないが為に実証のしようが無かっ

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気にしてはいけない子供【都市伝説】

気にしてはいけない子供【都市伝説】

父方の祖父の実家には小さな子供が住んでいる。
しかし、誰もその子の世話をした事がない。
勝手に物を食べ、飲み、風呂に入って服を着る。
特に悪さをする訳ではないが、寝室に立っていたり音もなく廊下の角から現れたりと、驚く事が多々あった。
何故この家にいるのか、何故誰も気にしてはいけないのか、明確な理由は定かではない。一度話しかけた事もあったが、無視された挙句祖父に大目玉を食らったので、以降は話かける事

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大声で話す男

透き通った青
空高く聳える入道雲
そこかしこで泣き喚く蝉
少し下に目を向ければ青々とした森が目に飛び込んでくる
茹だるような暑さの中、私は次の電車を待っていた

次の電車まであと15分
今にも溶けてしまいそうだ
構内アナウンスが回送列車の通過を知らせる

列車が通れば数秒だけでも涼しくなるだろうか
さっき買った水も既に飲み干し、それでもまだ喉の渇きは収まらない
無意味どころか悪化させると分かってい

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