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気にしてはいけない子供【都市伝説】

父方の祖父の実家には小さな子供が住んでいる。
しかし、誰もその子の世話をした事がない。
勝手に物を食べ、飲み、風呂に入って服を着る。
特に悪さをする訳ではないが、寝室に立っていたり音もなく廊下の角から現れたりと、驚く事が多々あった。
何故この家にいるのか、何故誰も気にしてはいけないのか、明確な理由は定かではない。一度話しかけた事もあったが、無視された挙句祖父に大目玉を食らったので、以降は話かける事もしないし意識的に視界に入れる事もしなかった。

私が高校卒業後県外の大学へと引っ越す事が決まる頃には、例の子供を家の中で見る事も殆ど無くなり、あれは幼い頃の妄想の類だったのだと考えていた。



引越しの当日、荷物が届く前に軽く掃除しておこうと、ワクワクしながらドアを開けた。

するとそこには大量の衣服が散乱していた。そのどれもが子供用で、そのどれもが見覚えのあるものだった。
呆然とする私はぶると震えた携帯で我を取り戻した。画面には「母」の文字が。

「お母さん、どうなってるのこれ」
「大変なの!」
「子供用の服が・・・・・・って、え?どういう事?」
「訳わかんない事言って!あなたお父さんから聞いてないの!?」
「え、何が?」
「今家が燃えてるの!」
「何が燃えてるって?」
「だから家!こっちの家が燃えてるの!」

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