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伝わる図を作る4つの要素

こんにちは、くぼみ(@kubomi____)です。「グラレコのヒミツ」では、グラフィックレコーディングの実践で気づいた学びを紹介していきたいと思います。

前回、伝わる図のつくり方について解説したところ、多くの反響をいただきました。ぜひ合わせてご覧ください。

前回の伝わる図のつくり方のまとめ

図とは
図とは関係性の視覚化
図=要素+関係性

図のつくり方
①まずは「要素」と「関係性」に分解します。
②「要素」を抜きだします。
③「関係性」を書き込みます。
④「要素」をスケッチに置き換えます。
⑤感情や状況を描き加えます。

今回は、図を構成する4つの基本要素「点・線・面・矢印」について解説します!

図は、複数の要素と、その間の関係性で構成されます。関係性の表現は、多種多様なパターンがあります。この関係性のパターンを知り、図解の引き出しを増やしておけば、議論を聞いて構造化するときや、プレゼン内容を図解するときに、役立ちます。この記事では、点・線・面・矢印という図の4つの基本要素の使い方を紹介します。


4つの要素で図は作れる

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図の表現には、多種多様なパターンがあります。見慣れてはいても、いざ自分で作るとなると、難しい印象があるかもしれません。

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ここでは、「点・線・面・矢印」という4つの基本要素に分解して、それぞれの使い方を紹介します。視覚表現の最小単位は点です。点を並べると線になり、線を並べると面になります。矢印は、線の一種と捉えることもできますが、その表現力の高さを考慮して、あえて4つめの要素として取り上げています。これら4つの基本要素の特徴と働きを理解して、使える表現の引き出しを増やしていきましょう。

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デザインあ『てん せん めん』の映像で、「点・線・面」の関係について、美しく直感的に表現されています。最高なのでぜひ観てください。

点は「位置・距離・密度」

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点はすべての視覚表現の最小単位です。ひとつひとつの点は位置を持っています。複数の点を組み合わせることで、要素間の多様な「位置関係」をあらわすことができます。それによって、規則的・不規則的な並び方や、遠いか近いかの「距離感」、密か疎かの「密度」など、様々な複雑な関係性を伝えることができます。

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並べ方にも様々なパターンがあります。

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たとえば点を人に見立てると、見る人の想像力と解釈によってその意味が補われ、さまざまな人間関係の表現を創り出すことができます。

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↑点を使って人間関係をあらわした図。

線は「繋がり・境界・軌跡」

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要素と要素を線で結ぶことで、要素の「繋がり」をあらわすことができます。直線と曲線を使いわけることもでき、例えば直線で並列の繋がり、円系の線で循環の繋がりを表現できます。繋がり方を変えると、家系図や、ネットワークや、木構造といった様々な繋がりのパターンが生まれます。

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要素と要素を線で結ぶとき、線の太さで強度を、線の長さで距離を表現することができます。

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また、線には、「境界」としての役割もあり、要素を区切ったり、囲んだりすることができます。

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そして、線の形状を「軌跡」として捉えると、経路や、道順、動線などを表現することもできます。

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↑線を使って、中央集権的にお金を管理する従来の銀行の構造と、みんなで管理するブロックチェーンの構造をあらわした図。

面は「量・集合・空間」

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面にはさまざまな種類や捉え方がありますが、ここでは円形の面を使って、図表現としての面の使い方を紹介します。点や線とは異なり、面には面積があることが特徴です。面の大きさを変えるだけで、面積=「量」をあらわすことができます。また、面は内と外を分けることができるので、部分や全体といった「集合」をあらわすことができます。数学の授業で習う集合の考え方は、数字だけではなく、さまざまな要素を分類するのに役立ちます。そして、円をすこし潰して楕円で描くと、斜めから見た円に見えます。これを利用して、縦方向の階層や、奥行きといった「空間」をあらわすことができます。なにかを立体的に描くというと難しそうに感じますが、このような簡単な工夫で、見る人に立体的な視点を持ってもらうことができます。

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↑面を使って、BTC型人材の必要条件をあらわした図(左)と人間関係の距離感をあらわした図(右)。

矢印は「因果・順序・流れ」

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矢印は、「方向を持った線」なので、線の一部と捉えることもできますが、ここでは特出ししてその使い方を紹介します。なにせ矢印は万能です。ここまで紹介した図の構成要素「点・線・面」と比較して、最も使いやすく、またその意味の範囲が広いのは、矢印だと思います。その使い勝手の良さゆえ、何気なく使っている方も多いのではないでしょうか?私も、万能矢印に頼って、その意味を深く考えずに使っていましたが、矢印の働きがとても奥深いことを知り、意識的に使い方を選択するようになりました。
矢印には方向があるので、原因と結果の「因果」や、連続した「順序」、モノや金の「流れ」といった関係性をあらわすことができます。

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矢印の面白さのひとつは、その角度によって、異なる意味が想起される点です。角度の意味は、要素の位置関係との組み合わせから生まれます。

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↑矢印を使って、素材の循環をあらわした図(左)と変化の前後をあらわした図(右)。

伝えたいことに最も適した表現を選ぶ

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ここまでで紹介したように、関係性の表現には、多種多様なパターンがあります。さらにこれらを組み合わせたり、応用することによって、無数のパターンを創り出すことが可能です。しかし、重要なことは、自分の伝えたいことに最も適した表現を選ぶということです。


参考文献

こちらの書籍の内容が非常に参考になりました。公立はこだて未来大学で情報デザインを教えられている原田泰教授による、非常に網羅的にかつ奥深く図表現について学べる一冊です。
原田 泰『デザイン仕事に必ず役立つ 図解力アップドリル』(2010)

ミニワーク「商品がお客様に届くまで」を図にしてみよう

ここまで紹介してきた点・線・面・矢印を使って、図をつくる練習をしてみましょう。あなたが勤めている会社の商品や、あなたが普段よく使っているサービスなど、身近な例から「商品がお客様に届くまで」をひとつの図にしてみましょう。
このとき、モノとお金の流れ、お客様の体験のタイムライン、製造工程、産地からの運搬、など、様々な視点で捉えてみて、あなたが誰かに伝えたいと思う視点を見つけましょう。

回答例

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キリンビバレッジの企業内勉強会キリンアカデミアでのグラフィックレコーディングワークショップにて、「ビールがお客様に届くまで」というテーマでミニワークを行ったときの回答例です。

まとめ

4つの要素で図は作れる
点は「位置・距離・密度」
線は「繋がり・境界・軌跡」
面は「量・集合・空間」
矢印は「因果・順序・流れ」
伝えたいことに最も適した表現を選ぶ

ワークショップや研修もやっています

今回の内容は、ワークショップ/研修でお伝えしている内容です。イベントや会議のグラフィックレコーディングに加えて、最近は、企業や大学からグラフィックレコーディングやビジュアルシンキングのワークショップ/研修のご依頼を受けることも増えてきました。ご興味あれば、TwitterのDMか、ポートフォリオサイトのコンタクトからコンタクトお願いします。プロフィールに実績もまとめています。

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キリンビバレッジの企業内勉強会キリンアカデミアでのグラフィックレコーディングワークショップの様子

前回 伝わる図のつくり方

前々回 伝わる絵を手早く描くコツ


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