投稿の間隔があいてしまい、申し訳ありません。
『ストーリー ロバート・マッキーが教える物語の基本と原則』のレビュー第二十一回を投稿します。
(各回をまとめたマガジンはこちらです。)
※ こちらのレビューは、非常に内容が濃い本書を私なりにまとめた「概要」です。
興味をお持ちになった方は、ご購入の上、本レビューを副読本的にお読みになることをお勧めします。
第4部 脚本の執筆
19 脚本家の創作術
【外側から書く】
「芽が出ない脚本家は……」「売れない脚本家は……」「行き詰った脚本家は……」と辛口な言葉が続きますが、「友人に読んでもらい、感想を聞きながらお気に入りの場面以外に手を加えていく」というのは、おそらくそれほど珍しい書き方ではなく、これを読んで「えっ、まさにこの通りにかいてるんだけど?」と思われた方もいるのではないでしょうか。
【内側から書く】
ビートシート
構成を考える際にカードを使うのは、並べ替えが簡単にできるからでしょうね。
ちなみに私はカードではなく、大きめの付箋を使い、それらをA3サイズの紙に貼って、あれこれと並べ替えてみることが多いです。
「脚本とは直すことと心得たり」というのが私の持論です。
ただ、この章で語られている通り、「どうやって直すか?」が肝心ですね。
これは私も頻繁に行っています。
例えば原稿をメールで送って感想を返信してもらうという方法ですと、著者の言う通り相手の時間を奪い過ぎますし、生の反応を見ることもできません。
メール等の文章ですと、相手が「ピンと来ないな」と思いながらも私に気を遣って「面白かったよ」書いているのだとしても、それを察知するのが難しいですが、直接顔を見て話していれば、正直な思いを感じ取れるはずです。
トリートメント
日本の映画、ドラマ制作の現場においては「ビートシート」「トリートメント」という言葉は一般的ではない(少なくとも私は見聞きしたことがない)ですが、内容から考えると「ビートシート」が大バコ、「トリートメント」が小バコ、という理解で良いかと思います。
脚本
「内側から書く脚本家」は、この段階まで来てようやく脚本形式の原稿を書き始めるというわけです。
上の引用のなかに「綿密な準備のもとに書かれる台詞は登場人物ごとに独自の声を持つ。ほかの登場人物とは異なる話し方をし、脚本家自身とも似ていない。」とあります。
これは私の実体験と照らし合わせても、その通りだと思います。
プロになる前の私も、まさに「外側から」書いていた時期がありますが、当時の作品は、どの登場人物の台詞も、私自身の話し方にそっくりでした。
脚本形式の原稿に取り掛かる前に、ビートシート、トリートメントを作るという方法は、手間が掛かるように思えて、実は効率的なはずだと私は思います。
作品全体を俯瞰すること、問題点をあぶり出すことがしやすいからです。
逆に始めから脚本形式で書き始めると、直しに時間がかかり、それにしては「稿を重ねているのに、あまり変わり映えがしない」という事態に陥りやすい、と自分の経験を通して感じます。
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さて、2019年1月から続けてきたこのブックレビューも、この投稿で最後となります。
『ストーリー』には、この章のあとにエピローグ的な「フェードアウト」という章もありますが、そちらはぜひ購入してお読みになってください。
毎回冒頭に書いてきた通り、非常に内容が濃く、全章レビューするのに2年以上かかってしまいました。
ですが、レビュー投稿をすることで私自身の理解が深まり、多くを学ぶことができました。
決して「一度読んだら終わり」の本ではないので、今後も繰り返し読み、活用し続けていこうと思います。
これまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
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脚本、小説のオンラインコンサルを行っていますので、よろしければ。
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※このブックレビュー全体の目次は以下の通りです。
第1部 脚本家とストーリーの技術
(1)ストーリーの問題
第2部 ストーリーの諸要素
(2)構成の概略
(3)構成と設定
(4)構成とジャンル
(5)構成と登場人物
(6)構成と意味
第3部 ストーリー設計の原則
(7)前半 ストーリーの本質
(7)後半 ストーリーの本質
(8)契機事件
(9)幕の設計
(10)シーンの設計
(11)シーンの分析
(12)編成
(13)重大局面、クライマックス、解決
第4部 脚本の執筆
(14)敵対する力の原則
(15)明瞭化
(16)前半 問題と解決策
(16)後半 問題と解決策
(17)登場人物
(18)ことばの選択
(19)脚本家の創作術
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