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客席からの眺め

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お箏の演奏会は楽しい! お箏の演奏会に行くといろんな曲、いろんな情景に出会うことが出来ます。 どんな物を聴いて、何を感じたのか。素人が聴きに行った演奏会の感想を、綴ります。
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#邦楽

「明日佳ソロ琴ライブ「明日、佳人になれ #2」」

「明日佳ソロ琴ライブ「明日、佳人になれ #2」」

明日佳さんの、待望のソロ琴ライブ。
とても良かった!面白かった!楽しかった!
美しい和室で、PAもエフェクターも無し。
目の前で演奏される箏音をダイレクトに浴びるという、とても贅沢な時間でした。
明日佳さんのまっすぐな演奏は、とても清々しくて、心が洗われるようでした。

ポイントは3つ
1.箏の生音
2.アナログ
3.お客様

プログラムは、
前半は明日佳さんオリジナル曲で「世界を駆ける、お琴

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「第9回 山本亜美 箏 二十五絃箏リサイタル ~手繰る、みちしるべ~」

「第9回 山本亜美 箏 二十五絃箏リサイタル ~手繰る、みちしるべ~」

昨年行きそびれてしまった山本亜美さんのリサイタル。
ようやく行くことが出来ました。
今年のテーマは「手繰る、みちしるべ」
様々なご縁が繋がり実現したという、貴重なプログラムを披露してくださいました。

まずは何と言っても、「太助箏」
江戸時代の名工、菊岡太助が作った箏が、100年以上の時を超えて、舞台に登場しました。
美術館のコレクションになってもおかしくない、骨董品のような楽器です。
それが、

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「The 箏 KOTO spin-off」

「The 箏 KOTO spin-off」

深海さとみさん、福永千恵子さん、吉村七重さん
大御所お三方による「The 箏 KOTO」の4回目の公演です。

サブタイトルはspin-off。
これまでは大曲が多かったのですが、皆さまの声にお応えして、「聴きやすい曲」にしてみたとのことです。
確かに、他の演奏会でも耳にしたことのある「聴きやすい曲」のラインナップです。
ですが、全然違います。

トップバッターは福永千恵子さん「鳥のように」

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「佐藤亜美 二十五絃箏リサイタル」

「佐藤亜美 二十五絃箏リサイタル」

2日前はオール長澤勝俊作品でしたが、今回はオール伊福部昭作品です。
長澤作品が「湿った日本の風土」だとしたら、この度の伊福部作品は「乾いた西アジアの風」。
演奏スタイルも、大合奏とは対照的に、お一人だけでの演奏です。
一音一音丁寧に紡ぎ出される音を聴いているうちに、いつの間にか伊福部ワールドに引きずり込まれていました。

プログラムは3曲ながら、いずれも大曲ばかり。
「胡哦(こが)」
「胡人のう

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「日本音楽集団第240回定期演奏会 長澤勝俊生誕100年~長沢勝俊の軌跡~」

「日本音楽集団第240回定期演奏会 長澤勝俊生誕100年~長沢勝俊の軌跡~」

長澤勝俊作曲「まゆだまのうた(尺八と箏のためのまゆだまのうた)」。
箏の波の活動を始める前に、箏とフルートの演奏で聴きました。
美しい旋律と演奏に魅了されて、いまでも忘れられない1曲です。

その後いろんな曲を聴いて、この曲素敵だな、と思うと長澤勝俊さんの曲ということが何度もありました。
日本音楽集団は、長沢勝俊さんが創設にも参加されたプロの和楽器オーケストラです。
その定期演奏会で、オール長澤

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「現代邦楽名作選ー創作の軌跡ー」

「現代邦楽名作選ー創作の軌跡ー」

2時と5時、内容の異なる2回公演。
両方欲張りたいところでしたが、5時の会に足を運びました。

興味深いプログラムはもちろん、今をときめく演奏家の皆さま方、あの方も、その方も、この方も聴ける!と気分が大いに盛り上がります。
チケットを取る前から楽しみにしていましたが、当日は期待以上、ものすごく面白かったです。

未知の世界である現代曲は、解説を先に読むか、あとで読むか悩みます。
今回は、まっさ

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「当道音楽会 第140回定期演奏会 ー未来へつなぐ伝統の音ー」

「当道音楽会 第140回定期演奏会 ー未来へつなぐ伝統の音ー」

当道音楽会は明治38年に設立された、箏・三絃・胡弓を伝承している団体です。
伝統文化の維持・継承をはかる団体であることに公益性を認められ、公益社団法人の認定を受けられています。
この度、第140回定期演奏会が、超豪華ゲストを招いて開催されるとのことで、足を運びました。

第1部は、ゲストの競演
「笹の露」
富山清琴さんの三絃と、菊原光治さんの箏、善養寺惠介さんの尺八です。
清琴さんと光治さんの掛

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「風薫る箏コンサートin古民家カフェ」

「風薫る箏コンサートin古民家カフェ」

連休最終日。
残念ながら、風は薫らず、まあまあな雨模様でした。
しかし、雨音も演出の一部になるような、素敵なひとときになりました。

東京藝術大学を卒業した同期生で結成された、箏アンサンブル十色(といろ)。
このメンバーの内3名によるカフェライブです。
場所は、北千住駅すぐ近くの古民家カフェ、路地裏寺子屋rojicoya。

第一部「うさぎの落とし物」
中條亜耶さんのかわいらしい日本画に、箏奏

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「小池典子 箏・三絃・胡弓 リサイタル」

「小池典子 箏・三絃・胡弓 リサイタル」

数多くの舞台で素晴らしい演奏を披露してくださる小池典子さん。
記念すべきリサイタルと伺い、万難排して馳せ参じました。

長磯箏での「梅が枝」
柳川三味線での「ゆき」
胡弓での「荒城の月」
三絃での「尾上の松」
いずれも小池さんでなければ叶わないプログラムです。

合間に、野川美穂子さんによる楽器の解説がありました。
長磯箏は、京都を中心に使われた装飾性に富んだお箏です。
普段見かけるお箏より、

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「高畠一郎 箏三絃十七絃リサイタル」

「高畠一郎 箏三絃十七絃リサイタル」

10月16日には箏のリサイタルを開催された高畠一郎さん。
伺ったのは11月3日の箏・三絃・十七絃のリサイタルです。

演奏曲はいずれも、原曲は昔ながらのお箏の曲。
これらが、高畠さんの手のかかると、古典だけど古典じゃない、とても、音が楽しい「音楽」会でした。

「嵯峨の秋幻想」高畠一郎編作曲2018
原曲は明治に菊末勾当により作曲された箏2面の曲「嵯峨の秋」です。
「嵯峨の秋」は平家物語「小督の

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「下野戸亜弓 箏曲リサイタル ー山田検校作品連続演奏会Ⅲ-」

「下野戸亜弓 箏曲リサイタル ー山田検校作品連続演奏会Ⅲ-」

山田流箏曲演奏家である下野戸亜弓さん。
2019年から、古典の会と現代曲の会をそれぞれ開催されています。
本日の公演は、古典の会の3回目にあたります。
山田流は、声の表現も重視した流派で、歌も聴きどころです。
下野戸さんは、箏曲演奏家であり、かつ日本の歌唱法の専門家でもあります。
そのお歌を聴くのも楽しみに、足を運びました。
それぞれ趣向が凝らされた3曲が演奏されました。

「小督曲」
平家物

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「新宮順子演奏会 いにしへをたづねて-絵巻-」

「新宮順子演奏会 いにしへをたづねて-絵巻-」

お箏といえば、お正月に流れる「春の海」。
皆さまご存じのこの曲を作曲されたのが、宮城道雄さんです。
この宮城道雄さんの教えを、守り伝承されている新宮順子さんの演奏会。
目で見ても耳で聴いても大変美しい「絵巻」そのものでした。

越天楽変奏曲
昭和3年、昭和天皇即位大典の奉祝曲として作曲された独奏箏とオーケストラによる協奏曲。
今回は宮城道雄さん本人が、邦楽器の合奏曲として編曲したバージョンとのこ

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「第二回 奥田雅楽之一 演奏会」

「第二回 奥田雅楽之一 演奏会」

「客席からの眺め」は、当初は、和楽器を聴く機会も触る機会も無いけれど、音楽を聴くのは好きだという方々に、「和楽器の演奏会」の面白さをお伝えして、是非とも足を運んでいただきたい、との思いで書き始めました。
しかし、書いている本人があまりにも素人過ぎて、皆さまに面白さが伝わるのか、大変心許なく、今ではただの個人的な備忘録として書き連ねております。
何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。

さて

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「紀尾井町サロンホール木曜コンサート『和醸』」

「紀尾井町サロンホール木曜コンサート『和醸』」

文字通り、待ちに待った公演でした。
過去2回延期され、3度目に設定されたこの日も、開催が危ぶまれ、祈るような気持ちで当日を迎えました。
万全の対策をとって開催してくだった主催者さまと関係者のみなさまには、本当に、心より御礼申し上げます。

タイトルは「和醸 邦楽と洋楽が醸し出す和の世界へ」。
場所はアーク紀尾井町サロンホール。
こだわりの音響設計がされた、暖かみのあるサロンです。
通常は縦長に使

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