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伊雑の鳴きやまぬ鶴!と光明皇后「お守り犬」元伊勢一三三 神話は今も生きている ことの葉綴り四六四

光明皇后の「お守り犬」

おはようございます。週明け、いかがお過ごしでしょうか。
奈良の「法華寺」では、四月~六月十日(木)まで、杜若(かきつばた)が美しい「名勝法華寺庭園」が公開されています。
この庭園は、京都仙洞御所の庭園から移されたそう。
そして、六月五日から十日までは、「初夏の御本尊御開帳」も。
こちらのお寺は、1300年ほど前、第四十五代、聖武天皇の皇后・光明皇后の発願で建てられた尼寺で、元々、光明天皇(父は、藤原不比等)が子どもの頃から暮らされていた邸宅だったところです。
光明皇后は、厄除け、長寿、無病息災を祈願して、手作りの「お守り犬」を自らおつくりになり、人々にお授けになりました。
この「お守り犬」さん。
お寺の護摩堂の灰と土を練り、犬の形にして、胡粉(ごふん)という粉で色を付けて、雲母粉(きら)で磨き上げて最後に文様を施すという、手間暇かけたもの。
身を浄める精進潔斎をした門主と尼僧しかつくることを許されていません。
なんと、時代を超えて今もなお、「法華寺」さんで授けていただくことができるのです。写真でみても、愛らしいです!!

そして六月七日は、光明皇后のご命日。七六〇年に崩御されました。
「法華寺」の御本尊の「十一面観音菩薩立像」は、光明皇后のお姿に模している仏さま。そして、六月七日のご命日にちなんで、六月五日~十日まで、特別開帳されているのです。

六月十日まで、光明皇后のお姿の御本尊に手を合わせ、名勝庭園で美しい花と庭を眺め、また「お守り犬」で、無病息災を祈り、光明皇后のホスピタリティを感じてみる……初夏の大和路、いかがでしょう?

さて、今日もこれから神話の物語に入ります。
宜しくお願い致します。

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<ことの葉綴り>ご案内

神さまも“失敗して成長した”と、“神話は今も生きている”を感じる魅力的な神様の物語と、二千年前、伊勢の神宮ができるまでの物語「神話の物語」(『古事記』『元伊勢』の物語)。そして「エッセイ」と、マガジンを分けてあります。
下記のトップページから、スクロールしていただくと、物語別、神様べつに「マガジン」が選べるようになっております。
神さまの名前や、ご興味あるものを読んでいただけると幸いです。

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美し国伊勢 天照大御神さまの“衣食住”

この神風の伊勢の国は
常世の浪の重浪帰する国なり。
傍国の可怜し(うまし)国なり。
この国に居らんと欲(おも)ふ。

倭姫命(やまとひめのみこと)さまは、皇祖神の天照大御神さまのご神勅のままに、伊勢の五十鈴宮にお祀り申し上げました。
そして、皇太神(すめおほみかみ)さまがお喜びになるように、お召しになる神御衣(かんみそ)を織らせました。
さらに、自ら志摩国へと御船に乗られてお探しになられて、国崎(くざき)の「熨斗あわび」をはじめとする、朝(あした)と夕べに皇太神(すめおほみかみ)さまに奉るお食事(御贄みにへ)も、お定めになっていきます。

志摩国から戻られた倭姫命さまは、またそのあとも、南伊勢町の方へと赴かれて、さらに、堅魚(かつお)や魚介類の御贄(みにへ)をお定めになられたといいます。

美し国伊勢に、天照大御神さまが永久にお鎮まりになられるための“衣・食・住”を、次々とお定めになっていかれたのです。

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昼夜鳴き続ける鳥とは?

二十七戊午の秋九月、鳥鳴声高く聞こえて、昼夜も止まらずして囂
し(かしまし)。
「此れ異し。」と宣りたまひて、大幡主命と舎人紀麻良とを使ひに差し遣はして、彼鳥鳴く処を見令し給ふ。
罷り行きて見れば、嶋の国伊雑方上の葦原中、稲一基在り。
生ひたる本は一基に為て、末は千穂に茂れり。
彼の稲を白真鶴咋へ持ち廻り乍ら鳴きき。

垂仁天皇二十七年、戊午(つちのえうま)の秋九月のことでした。
鳥の鳴く声が高く聞こえてきますが、昼も夜も泣き止まないので、あまりにも騒がしくかしましいのです。
倭姫命さまは、「これはおかしい」と、仰られて、大幡主命(おおはたぬしのみこと)と、紀麻良(きのあさよし)をお呼びになり、その鳥が、どこから飛んできて泣いているのか、現地へ行って、目で見て調べるように、使者として送り出しました。

倭姫命さまの命を受けた大幡主命(おおはたぬしのみこと)と、紀麻良(きのあさよし)は、すぐさま、その鳴きやまない鳥が、戻っていくところを追って探していきました
すると、この鳥は、志摩の国の伊雑(いさわ)へと戻っていきます。この方上の葦原の中に、がひと固まり生えていました。
この生えている本(もと)は一本なのですが、稲の先端は、千の穂に豊かに茂っています。

この稲を、真っ白な可愛らしい真鶴(まなづる)が咥え持ち、天照大御神さまに献上するかのように、五十鈴川の川上の宮上まで飛んできて、その上空を飛び廻りながら鳴いていた……のです。

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