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弟橘比賣命 別れの歌 倭建命其の三〇 神話は今も生きている ことの葉綴り五五五

五五〇回!明日は二十四節気「白露」と新月

こんにちは。新しい一週間のはじまり。
皆さん、いかがお過ごしですか? 涼しく過ごしやすいですが、今週半ばからは厳しい残暑が戻りそうですね。
そして、「ことの葉綴り」今回で、5、5、5!Go! Go! Go!(笑)となりました。粛々と続けております“地味”な神話の物語に、いつも応援と励ましを、本当にありがとうございます。
これからも淡々と粛々と精進しますので、どうぞ引き続き宜しくお願い致します。

明日九月七日(火)は、二十四節気の「白露」、そして朝、乙女座の新月。季節の大きな変わり目。これは、お参りしたい朝ですね(^^)。
先週、葉についた雨の水玉の画像をあげましたが、「白露」は、草花に、空気中の冷えた水蒸気の霜が降って輝き、秋の気配を感じるころですね。
暦では、六曜は、朝と夕が吉で、勝負けが何事にもない「友引」。十二直「(おさん)」で、物事を納めいれる日。食料の買い出し、秋の日用品などの買い物などよさそうです。
二十八宿の「(しつ)」は、祭祀、ご祈願はじめ、お祝い後に吉。そして「神吉日」です。
やっぱり、朝のお参り、ぜひぜひ。新しい目標や願いをたてるのもよさそうですね。

さて、今日も倭建命(やまとたけるのみこと)さまの神話の物語へと入ります。ちょっと大切な場面、です!!宜しくお願い致します。

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<ことの葉綴り>ご案内

「ことの葉綴り」全体の神話の物語のご紹介です。
神話は、「神さまも“失敗して成長した”」「“神話は今も生きている”」と、日本の魅力的な神様の物語編。
約二千年前、伊勢の神宮ができるまでの「元伊勢」編。
ときおり綴る「エッセイ」編と、「マガジン」に分かれています。
下記のトップページから、スクロールしていただくと、物語別、神様べつに「マガジン」が選べるようになっております。
神さまの名前や、ご興味あるものを読んでいただけると幸いです。

最新のマガジンは、天照大御神さまが伊勢の神宮にお鎮まりになられるまでの「元伊勢」物語 神話13~17です。

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<倭建命様の物語。これまでのあらすじ>

景行天皇の御代四〇年、皇子の倭建命(やまとたけるのみこと)さまは熊曾建兄弟(くまそたける)討伐後、勅命を受けて東国の荒ぶる神の討伐へ出立されます。
焼津で罠に嵌められた倭建命さま一行を救ったのは、伊勢の神宮の斎宮(いつきのみや)で叔母の倭姫命(やまとひめのみこと)さまから賜った、皇統を受け継ぐ「草薙剱(くさなぎのつるぎ)」と「御袋」の火打石でした。

そして走水(神奈川)「旗山崎」の岬から、房総半島の上総国へ向けて御船で出港されますが、海の神の激しい怒りに遭われ、激しい風雨の嵐が巻き起こり命の危機に襲われます。

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弟橘比賣命さまの入水

御船が沈没しかけたその時です。
愛するお妃の弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまが、
私が皇子さまの代わりとなり、海に入り身を捧げ、海の神の祟りを鎮めます。建命(たけるのみこと)さまは、どうか、勅命を成し遂げられて、必ずや天皇のもとへお還りください
 自らのお命を犠牲にして、海の神の“生贄”となること、そして倭建命(やまとたけるのみこと)さまには、天皇から命じられた東征を果たすことを願われて、海へと入水されたのです。

荒れる波の上に、(すげ)、獣皮、絹の敷物を敷かれて、倭建命(やまとたけるのみこと)さまに、お別れの微笑みを向けられると、そのまま、その敷物へと飛び降りられたのです。

弟橘比賣(おとたちばなひめ)――――!!!

大きな波が、勢いよく弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまを呑み込み、そのまま海の中へと沈んでいかれます……。

倭建命(やまとたけるのみこと)さまの叫び声も、強風に煽られて声になりません。

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海の神の怒りが静まる

あっという間に、弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまの可憐なお姿は、消えていってしまわれたのです。

すると、海の神が、「もらいうけた」とでもいわんばかりに、一度、大きな渦を描くと、その渦の中へ波も呑み込まれていき、猛威を振るっていた風も、嘘のようにぴたりと治まったのです。
黒雲に覆われて、夜の様に暗かった空も、雲が遠ざかり明るくなってきました。

弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまのご覚悟が通じたのでしょうか。
みるみるうちに、あの大嵐は収まり、穏やかな海となりました。

海の神の祟りがおさまった~~

家臣の御鉏友耳建日子(みすきともみみひこ)の声がしています。

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弟橘比賣命さま 別れの愛の歌

けれど、あまりのことに倭建命(やまとたけるのみこと)さまは、呆然と、妃が消えていった海をただ、見つめることしかできませんでした。

弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまは、このとき、こんな歌を残されていました。

さねさし
相模の小野(をの)に
燃ゆる火の
火中(ほなか)に立ちて
問ひし君はも

相模の野(焼津)で、燃え立つ野火に囲まれ火の中に立ったとき、
私の安否を気遣って呼びかけてくださった、あなた……

これが、お別れの歌です。

焼津で罠にはめられて野火に囲まれて命の危機に瀕したときにも、倭建命(やまとたけるのみこと)さまは、愛する妃の弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまのことを気遣われました。
そのことを、弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまは、どれほど感謝されていたのでしょうか。
それが伝わってきませんか?

きっと、このとき、弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまは、東征する中、これからも命の危機に遭うことを痛感されたのでしょう。
そして、「その時は、今度は、必ず私が、皇子さまをお守りする!
そう、ご覚悟なさっていたのではないでしょうか……。

神話好きの方には、このお話が大好きという方も多いですね。
私もその一人です。

そして、美智子上皇后陛下も、子ども時代にお読みになり、この弟橘比賣命さまの物語に、いたく感動なさったそうですよ。

次回は、そのことにも少し触れてみたいです。
ではでは、皆さま、今週は気温差もありそうですが、御身お大切になさってくださいね。
いつも、ありがとうございます。

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―次回へ
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