Hiroyuki KONNO

「元気で行こう。絶望するな。では、失敬。」

Hiroyuki KONNO

「元気で行こう。絶望するな。では、失敬。」

記事一覧

「バッハ・コレギウム・ジャパン第162回定期演奏会 ≪B→B ブクステフーデからバッハへ≫」

#BCJ の定演、今回はJ S.#バッハ の大先輩世代であるD.#ブクステフーデ の作品にフォーカスしたプログラムです。 オープニングは #鈴木優人 によるオルガン独奏で、ブクス…

Hiroyuki KONNO
13日前

「大塚直哉レクチャー・コンサート第10回 ~オルガンとチェンバロで聴き比べるゴルトベルク~」

歴史的鍵盤楽器の名手・大塚直哉によるレクチャー付きの演奏会です。今回取り上げられたのは、J.S.バッハ「ゴルトベルク変奏曲」BWV988です。 舞台上にはポジティーフオル…

Hiroyuki KONNO
13日前

『母という呪縛 娘という牢獄』齊藤彩

2018年の滋賀県で、31歳の看護学生の娘が58歳の母親を殺した事件。その背景には、母親による長年に渡る苛烈な敎育虐待がありました。この母と娘の異常な歳月を克明に浮かび…

Hiroyuki KONNO
13日前
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『続窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子

名作『窓ぎわのトットちゃん』(1981年)の42年振りの続編です。しかし、単に話の続きと言う訳でもなく、幼少期からの記憶を織り交ぜつつ、戦時中の激動の生活と、戦後に音大…

Hiroyuki KONNO
13日前
2

「1秒先の彼 (One Second Ahead, One Second Behind)」(2023年 日本映画)

何をするにも周囲よりも1秒早く動いてしまうために、人生損ばかりしている郵便局員の男。一方で、何をするにも周囲よりも1秒遅く動いてしまうために、やはり人生損ばかりし…

Hiroyuki KONNO
2週間前

「The Great Escaper (2度目のはなればなれ)」(2023年 イギリス映画)

イギリスでケアホームに住む老夫婦。フランスで開催されるDデイ(ノルマンディー上陸作戦)の70周年記念式典に、元軍人である夫は出席したいとは思いつつ、妻の体調を思いた…

Hiroyuki KONNO
2週間前
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「Killers of the Flower Moon (キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)」(2023年 アメリカ映画)

20世紀初頭の米国オクラホマ州の片田舎の街で、原油が噴出します。その採掘権は先住民たちが持っているため、先住民と結婚して権利の一部を得ようとする白人が現れます。主…

Hiroyuki KONNO
2週間前

「おいしい給食 Road to イカメシ」(2024年 日本映画)

「おいしい給食 Road to イカメシ」(2024年 日本映画) 1989年の函館を舞台に、学校給食を食べることに情熱を傾ける中学教師を巡るコメディです。今まで3シーズン放映され…

Hiroyuki KONNO
2週間前

コンコルディア 第52回定期演奏会

所属している社会人 #マンドリンオーケストラ #コンコルディア の第52回定期演奏会が終わりました。団員の皆さま、ご来場くださいました皆さま、ありがとうございました。 …

Hiroyuki KONNO
1か月前

『ガザに地下鉄が走る日』岡真理

『ガザに地下鉄が走る日』岡真理 パレスチナ人と数十年にわたって関わり続けて来た著者が、必ずしもきちんと認識されていない、パレスチナの悲惨な状況と、イスラエルの蛮…

Hiroyuki KONNO
1か月前
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コンコルディア第52回定演

私が所属する社会人 #マンドリンオーケストラ #コンコルディア の定期演奏会が、いよいよ今週末に迫りました。 「コンコルディア 第52回定期演奏会」 日時: 2024/06/15(土…

Hiroyuki KONNO
1か月前

「関心領域」(2023年 米国・英国・ポーランド映画)

アウシュヴィッツ強制収容所の所長ルドルフ・ヘスの一家は、収容所の隔壁に隣接する土地に瀟洒な新居を構えます。塀の向こう側からは、番犬の咆哮や、よく分からない機械や…

Hiroyuki KONNO
2か月前

コンコルディア 第52回定期演奏会

私が所属する社会人 #マンドリンオーケストラ #コンコルディア の定期演奏会が、いよいよ来週末になりました。 「コンコルディア 第52回定期演奏会」 日時: 2024/06/15(…

Hiroyuki KONNO
2か月前
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『存在のすべてを』塩田武士

1991年冬、厚木市で男子少年が誘拐された翌日に、横浜市で男児が誘拐された、異例の二児同時誘拐事件。前者の少年は間もなく発見されたものの、後者は身代金の受け渡しに失…

Hiroyuki KONNO
2か月前
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『チューリップ・ブック』國重正昭、他

チューリップの栽培の歴史や文化への影響を網羅的に盛り込んだ、意欲的な一冊です。5つの論考による多様な切り口から、人々を魅了し翻弄してきたチューリップの知られざる…

Hiroyuki KONNO
2か月前
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『続きと始まり』柴崎友香

2020年3月から2022年2月まで、すなわち新型コロナウイルスが最大に蔓延していた時期。衣料品や雑貨の卸業者で働く女性、居酒屋の料理人として働く男性、フリーランスの写真…

Hiroyuki KONNO
2か月前
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「バッハ・コレギウム・ジャパン第162回定期演奏会 ≪B→B ブクステフーデからバッハへ≫」

「バッハ・コレギウム・ジャパン第162回定期演奏会 ≪B→B ブクステフーデからバッハへ≫」

#BCJ の定演、今回はJ S.#バッハ の大先輩世代であるD.#ブクステフーデ の作品にフォーカスしたプログラムです。

オープニングは #鈴木優人 によるオルガン独奏で、ブクステフーデ: プレリュードト短調BuxWV149。目まぐるしく曲調が変化する激しい音楽でした。

メインは、ブクステフーデ: 我らがイエスの御体BuxWV75。いつもよりかなり小編成で、5人のヴィオラ・ダ・ガンバ・コンソー

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「大塚直哉レクチャー・コンサート第10回 ~オルガンとチェンバロで聴き比べるゴルトベルク~」

「大塚直哉レクチャー・コンサート第10回 ~オルガンとチェンバロで聴き比べるゴルトベルク~」

歴史的鍵盤楽器の名手・大塚直哉によるレクチャー付きの演奏会です。今回取り上げられたのは、J.S.バッハ「ゴルトベルク変奏曲」BWV988です。

舞台上にはポジティーフオルガンと2段鍵盤チェンバロが設置されています。変奏に応じてより効果的な楽器が使用され、時には弾き比べや、驚きの2台同時演奏まで、両楽器がフル活用されました。

演奏は概ね3変奏毎に区切られ、その合い間に解説が入りました。この曲の全

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『母という呪縛 娘という牢獄』齊藤彩

『母という呪縛 娘という牢獄』齊藤彩

2018年の滋賀県で、31歳の看護学生の娘が58歳の母親を殺した事件。その背景には、母親による長年に渡る苛烈な敎育虐待がありました。この母と娘の異常な歳月を克明に浮かび上がらせたルポルタージュです。

報道記者である著者は、娘との面会を繰り返し手紙をやりとりするなど丁寧な取材を重ね、娘本人の了承の元で本書を刊行しています。

見えてくるのは、この母親の異様なまでのプライドの高さと、娘への過剰な期待

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『続窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子

『続窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子

名作『窓ぎわのトットちゃん』(1981年)の42年振りの続編です。しかし、単に話の続きと言う訳でもなく、幼少期からの記憶を織り交ぜつつ、戦時中の激動の生活と、戦後に音大を経て黎明期のTV女優として活躍を始めた頃までの物語が、断片的に綴られています。

著者が当時としてはかなり特殊な恵まれた家庭環境で育ったことが伝わって来ます。それが戦時下となると、著者自身は勿論のこと、著者の母親の逞しい変貌ぶりに

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「1秒先の彼 (One Second Ahead, One Second Behind)」(2023年 日本映画)

「1秒先の彼 (One Second Ahead, One Second Behind)」(2023年 日本映画)

何をするにも周囲よりも1秒早く動いてしまうために、人生損ばかりしている郵便局員の男。一方で、何をするにも周囲よりも1秒遅く動いてしまうために、やはり人生損ばかりしている大学生の女。男は、ストリートミュージシャンの女性に恋をして浮かれまくっていますが、その女性の裏の顔を偶然目撃してしまった女は、たまたま発生した特異現象の一日を利用して、男を伴って思い切った行動に出るのです。そこから、この男と女が子供

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「The Great Escaper (2度目のはなればなれ)」(2023年 イギリス映画)

「The Great Escaper (2度目のはなればなれ)」(2023年 イギリス映画)

イギリスでケアホームに住む老夫婦。フランスで開催されるDデイ(ノルマンディー上陸作戦)の70周年記念式典に、元軍人である夫は出席したいとは思いつつ、妻の体調を思いためらっています。しかし彼は意を決して、黙ってホームを抜け出し、タクシーやフェリーを自力で乗り継いで、式典の会場へと辿り着くのです。そこで彼はようやく、亡き戦友を真に追悼することか出来ました。そして帰路についた彼は、自身がいつの間にか新聞

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「Killers of the Flower Moon (キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)」(2023年 アメリカ映画)

「Killers of the Flower Moon (キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)」(2023年 アメリカ映画)

20世紀初頭の米国オクラホマ州の片田舎の街で、原油が噴出します。その採掘権は先住民たちが持っているため、先住民と結婚して権利の一部を得ようとする白人が現れます。主人公である白人男性は、表向きには先住民の手厚い支援者を装う強欲な叔父に唆されて、先住民の女性に近付き結婚にこぎ着けます。しかしその頃から、先住民が変死する事件が相次ぐようになり、地域は不穏な空気に満たされます。主人公は、妻への愛情と叔父か

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「おいしい給食 Road to イカメシ」(2024年 日本映画)

「おいしい給食 Road to イカメシ」(2024年 日本映画)

「おいしい給食 Road to イカメシ」(2024年 日本映画)

1989年の函館を舞台に、学校給食を食べることに情熱を傾ける中学教師を巡るコメディです。今まで3シーズン放映されたTVシリーズがあまりにも面白く、応援の気持ちも込めて映画版を見て来ました。

TVシリーズと同様に、給食を更に美味しく食べるセンスに長けた一生徒との対決が軸になっています。主人公である教師は、毎回歓喜して給食を食べて

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コンコルディア 第52回定期演奏会

コンコルディア 第52回定期演奏会

所属している社会人 #マンドリンオーケストラ #コンコルディア の第52回定期演奏会が終わりました。団員の皆さま、ご来場くださいました皆さま、ありがとうございました。

個人的に失敗した箇所は多々あるものの、全体的にはあまり緊張することなく楽しく演奏することが出来ました。#清田和明 さんの自作自演の新曲2曲は、これを聴いた他の楽団の方々が採用したくなることを期待しています。#帰山栄治 「劫」の初稿

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『ガザに地下鉄が走る日』岡真理

『ガザに地下鉄が走る日』岡真理

『ガザに地下鉄が走る日』岡真理

パレスチナ人と数十年にわたって関わり続けて来た著者が、必ずしもきちんと認識されていない、パレスチナの悲惨な状況と、イスラエルの蛮行の実態について、事実を正しく伝えています。表題だけ見ると希望的な内容かとも思われますが、実際には全くそうではないです。

書かれているエピソードは全て、著者自身が出会った人だったり目撃した風景だったり、徹底して直接見聞きしたものです。そ

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コンコルディア第52回定演

コンコルディア第52回定演

私が所属する社会人 #マンドリンオーケストラ #コンコルディア の定期演奏会が、いよいよ今週末に迫りました。

「コンコルディア 第52回定期演奏会」
日時: 2024/06/15(土) 16:00開演
会場: かつしかシンフォニーヒルズ

今回の会場には、第2部で演奏するかの高名なる作曲家、ジュゼッペ・マネンテ氏(1867-1941)の等身大パネルがお出ましです。何と、一緒に記念撮影も出来てしま

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「関心領域」(2023年 米国・英国・ポーランド映画)

「関心領域」(2023年 米国・英国・ポーランド映画)

アウシュヴィッツ強制収容所の所長ルドルフ・ヘスの一家は、収容所の隔壁に隣接する土地に瀟洒な新居を構えます。塀の向こう側からは、番犬の咆哮や、よく分からない機械や工事の物音や、人間の怒号や悲鳴などが聞こえて来たり、煙突から煙が流れて来たりますが、新天地での新生活を満喫する家族は、それらを意に介しません。特にヘスの妻はいたくご満悦で、転勤を命じられた夫に単身赴任を強いてまでも、ここでの生活に執着するの

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コンコルディア 第52回定期演奏会

コンコルディア 第52回定期演奏会

私が所属する社会人 #マンドリンオーケストラ #コンコルディア の定期演奏会が、いよいよ来週末になりました。

「コンコルディア 第52回定期演奏会」

日時: 2024/06/15(土) 16:00開演

会場: かつしかシンフォニーヒルズ

今回も濃密な演目を盛り込んでおり、大いにお楽しみ頂ける筈です。是非ともお越しください。

プログラムやチケットの詳細については、画像をご参照ください。

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『存在のすべてを』塩田武士

『存在のすべてを』塩田武士

1991年冬、厚木市で男子少年が誘拐された翌日に、横浜市で男児が誘拐された、異例の二児同時誘拐事件。前者の少年は間もなく発見されたものの、後者は身代金の受け渡しに失敗し、しかし約3年後にその男児はふらりと戻って来ました。それから30年を経た今、あの被害男児は今や、気鋭の写実画家となっていたのです。当時事件を取材していた新聞記者は、謎だらけのこの事件を再検証すべく、関係者を訪ね歩くに従い、予想外の事

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『チューリップ・ブック』國重正昭、他

『チューリップ・ブック』國重正昭、他

チューリップの栽培の歴史や文化への影響を網羅的に盛り込んだ、意欲的な一冊です。5つの論考による多様な切り口から、人々を魅了し翻弄してきたチューリップの知られざる全貌を教えてくれます。

「チューリップの品種の歴史」(國重正昭)では、とかくオランダのイメージがあるチューリップが、原種は中央アジアで自生していたもので、トルコで少しずつ品種改良がなされ、それが16世紀に欧州に持ち込まれてからオランダで劇

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『続きと始まり』柴崎友香

『続きと始まり』柴崎友香

2020年3月から2022年2月まで、すなわち新型コロナウイルスが最大に蔓延していた時期。衣料品や雑貨の卸業者で働く女性、居酒屋の料理人として働く男性、フリーランスの写真家として働く女性、この互いに無関係な3人の主人公の視点から、あの特異な歳月の模様を浮かび上がらせます。コロナ禍の影響は、当然ながら主人公たちにも直接降り掛かり、彼ら彼女らはそれぞれの容易でない人生の選択を迫られます。そこに、未だに

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