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『続窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子
名作『窓ぎわのトットちゃん』(1981年)の42年振りの続編です。しかし、単に話の続きと言う訳でもなく、幼少期からの記憶を織り交ぜつつ、戦時中の激動の生活と、戦後に音大を経て黎明期のTV女優として活躍を始めた頃までの物語が、断片的に綴られています。
著者が当時としてはかなり特殊な恵まれた家庭環境で育ったことが伝わって来ます。それが戦時下となると、著者自身は勿論のこと、著者の母親の逞しい変貌ぶりには感服せざるを得ません。この母親の奮闘があってこそ、この家族は戦後を生き抜き、シベリアから帰還した父親を無事に迎えることが出来たのです。また、テレビ黎明期のドタバタぶりは、既に他の著作でも触れられてもいましたが、やはり面白く興味深いです。
しかし、年代も場所も断続的なエピソードがとりとめもなく連ねられていて、まとまりに欠ける感は否めません。戦時中の苦難のリアルな描写はあるものの、前作のような鮮烈な反戦メッセージにはなっていない気がします。結局のところ、何故これを『続』と銘打って今出すことにしたのか、ちょっと分からない気もしました。
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[2024/07/06 #読書 #続窓ぎわのトットちゃん #黒柳徹子 #講談社 ]